2021年11月17日
アイデアよもやま話 No.5115 iPS細胞関連研究の最前線 ー その3 若返りの研究!
7月22日(木)放送の「あさチャン」(TBSテレビ)でiPS細胞関連研究の最前線について取り上げていました。
そこで3回にわたってご紹介します。 
3回目は若返りの研究についてです。

iPS細胞でがんを治せる病気に、iPS細胞の生みの親、京都大学iPS細胞研究所の所長でもある山中伸弥教授が目指すのはがんの治療法を確立することだけではありません。
新たに挑んでいるのが、人間が避けて通れない老化メカニズムの解明、すなわちiPS細胞を使った若返りの研究です。
山中教授は次のようにおっしゃっています。
「多くの病気は細胞の老化が原因で起こっています。」
「この細胞の老化をどう食い止めるか、出来れば老化した細胞を少しでも若返らせる、そういう技術が根本的な病気の治療という意味では非常に大切だと思います。」
「僕もランナーですけれども、やっぱり毎年毎年タイムをなかなか伸ばすのが大変になってきますね。」
「これやっぱり一つの原因は心臓の筋肉が少しずつ老化していく。」
「マラソンが遅くなるぐらいはいいんですけども、心臓の老化が心不全とかそういう病気につながっていくわけですから、なんとかそれを食い止める。」
「出来たら少しでも元に戻す。」
「そういったことが出来るんじゃないかと。」
「決して不老不死とかそういうのを目指しているんじゃなくて、健康寿命を延ばしたいと。」
「日本は世界で一番長い平均寿命の長寿国ですけれども、健康寿命をみると、平均寿命より10歳くらい短いんですね。」
「で、その10年には介護や看護が必要。」
「やはりその期間を少しでも短くする。」
「そのためには細胞レベルで老化をどう防ぐか。」
「少しでも食い止めて、あわよくば若返らせる。」
「そういうことが根本的には必要になると思います。」
「(そうすると私たちが年を重ねた時に高齢化社会という概念も変わってくるのではという問いに対して、)変わると思います。」
「(これからもiPS細胞に期待しているということについて、)一生懸命頑張ります。」
「決して平たんな道ではないんですけれども、いろんな失敗を乗り越えて患者さんに技術を届けられるようにこれからも頑張っていきたいと思います。」

私たちの未来を明るく照らしてくれるiPS細胞ですが、iPS細胞の「i」だけ小文字です。
どうしてかというと、iPhoneやiMACのように広く・多く・世界中の人に役に立つようにという山中教授の想いが込められているということでした。
番組コメンテーターの堤伸輔さんは次のようにおっしゃっています。
「(山中教授は、頭はクールに、心は熱く、世のため、人のためにと常に考えている方だと思いましたが、)本当にそうですよね。」
「山中教授の研究は実は個人や企業の多くの寄付によって成り立っている部分があるんですよね。」
「日本の科学研究費が必ずしも十分ではない中で、山中さんは「フルマラソンを走って3時間30分を切ったら寄付をお願いします」みたいなことも呼びかけていらっしゃいます。」
「そうやって集めた寄付であるだけに、今回は無償でiPS細胞を世界中に提供してコロナに立ち向かう、役に立ちたい、その想いが今のインタビューからひしひしと伝ってきました。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

若返りの研究の要旨を以下にまとめてみました。
・多くの病気は細胞の老化が原因で起きている。
・細胞の老化を食い止め、更に老化した細胞を少しでも若返らせるような技術が根本的な病気の治療において非常に大切である。
・例えば心臓の老化が心不全といった病気につながっていく。
・従って細胞の老化防止が健康寿命を延ばすことにつながり、高齢化社会という概念も変わってくる。

山中教授は現在iPS細胞を使った若返りの研究にも取り組んでおられるといいますが、そのキーポイントが細胞の老化防止であるとは、なるほどという思いです。
これまでiPS細胞については治療の必要な体の特定の部位をiPS細胞によって再生させるというのが私の理解でした。
ところが細胞の老化を防ぐことが出来れば、そもそも免疫力が衰えず、病気にかかりにくくなり、従って健康状態を維持出来るのです。
ですから、一般的な治療技術というよりも病気にかかるリスクを軽減出来るリスク対応策と言えます。

ということで細胞の老化防止は究極の医療技術と言えます。
この技術がいつ実用化されるのかは分かりませんが、もし実用化されればまさに歴史的な医療革命、あるいは健康革命と言えます。
ちなみに私もその一人ですが、世界中には髪の薄毛に悩んでいる人たちが大勢おります。
しかし、こうした再生医療技術により悩み抱える多くに人たちを解放出来るようになると期待出来ます。

なお、「山中教授の研究は個人や企業の多くの寄付によって成り立っている部分があり、日本の科学研究費が必ずしも十分ではない」という番組コメンテーターの堤さんの指摘がとても気になります。
iPS細胞などの再生医療技術は間違いなく今後の医療技術の中核をなすものです。
そうした分野で最先端を走っているノーベル賞受賞者である山中教授が研究資金の確保に悩まされているという事実は政治家の業務怠慢と言われても仕方ありません。

一方、10月27日(水)付けネット記事(こちらを参照)で、安倍晋三元首相の“肝入り”の新型コロナウイルス感染症対策として、政府が全世帯や介護施設などに配布した布マスクの現状について以下のように報じています。

政府が調達した布マスクのうち、アベノマスク(全世帯向け)約400万枚、福祉施設、妊婦向け布マスク約7900万枚の計約8300万枚が配布されず、倉庫に保管されていることを認めた。保管費用は昨年8月〜今年3月で約6億円という。

国民の多くはまさか未だにアベノマスクも含め、約8300万枚もの布マスクが倉庫に保管されているとは思っていないと思います。
しかも保管費用は昨年8月〜今年3月で約6億円というのです。
こうした様々な国の無駄使いを無くし、その分だけでも再生医療関連の研究機関向けに予算を配分出来れば研究の進展は随分異なってくると思うのです。

なお、優れたiPS細胞関連の技術の中でも、コロナワクチンや治療薬関連だけでも国として世界中に無償で提供すれば、間違いなく世界中の多くの国々から日本は世界に貢献する国として注目されるようになります。
そしてこうした世界的な貢献は多くの国々と良好な関係を築き、間違いなく国家安全保障にも寄与するはずです。

 
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