2021年11月16日
アイデアよもやま話 No.5114 iPS細胞関連研究の最前線 ー その2 世界初のがんワクチンの開発が加速!
7月22日(木)放送の「あさチャン」(TBSテレビ)でiPS細胞関連研究の最前線について取り上げていました。
そこで3回にわたってご紹介します。 
2回目は加速する世界初のがんワクチンの開発についてです。

1回目では「コロナと闘う時代からコロナと共存する時代へ」とお伝えしましたが、光が見えているのはコロナの治療薬だけではありません。
ワクチンでがんを治す、そんな夢のようなプロジェクトが進展するきっかけとなったのが新型コロナワクチンだったといいます。
iPS細胞の生みの親、京都大学iPS細胞研究所の所長でもある山中伸弥教授は次のようにおっしゃっています。
「今まで人類に使われたことがなかったmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが「こんなに有効なんだ」ということが世界中で実証されたわけですから、これは非常に大きいと思います。」
「また、ワクチンというのは感染症だけでなく、今はがんに対する「予防」というよりは「治療」としてがんワクチンを使う研究も進んでいるんですが、今回のことによってがんワクチンの研究開発もかなり加速するんじゃないかなと期待しています。」

日本でも承認された新型コロナワクチンの開発メーカー、ビオンテック社が6月18日にホームページで以下の内容を公表しています。

コロナで脚光を浴びたコロナワクチンの技術を使って、次に目指しているのはがんを治すワクチンで、臨床試験の第2段階へと進み、初期段階で既に有望な結果が出ている。

山中教授は次のようにおっしゃっています。
「(iPS細胞も今、がん治療の研究に大いに役立てられていますが、)ものすごく研究が進んでいます。」
「iPS細胞から免疫系の細胞を作り出して、いろんながんを攻撃する細胞を作り出して、それを患者さん(の体内)に戻してがんをやっつけてもらうと。」
「一部もう臨床試験に入っている研究もありますので、少しずつですが、もう始まっています。」
「がんは日本だけでも国民の2人に1人、言ってみたら将来、私か夏目さん(番組MC)か、どっちかはがんになるということです。」
「夏目さんがもし将来がんになったとしたら、その時には絶対間に合うようなスピードで、多くの人が一生懸命研究をしています。」
「(それは10年、20年よりもっと早いスピードの可能性があるということなのかという問いに対して、)なかなか予想は出来ないんですけれども、ただもう数年後に今言ったような治療法が実用化されても全然不思議ではないと思っています。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の要旨を以下にまとめてみました。
・ワクチンでがんを治す、そんな夢のようなプロジェクトが進展するきっかけとなったのが新型コロナワクチンだった。
・今まで人類に使われたことがなかったmRNAワクチンの有効性が世界中で実証されたことにより、がんワクチンの研究開発もかなり加速すると期待出来る。
・コロナで脚光を浴びたコロナワクチンの技術を使ったがんを治すワクチンは臨床試験の第2段階へと進み、初期段階で既に有望な結果が出ている。
・iPS細胞も今、がん治療の研究に大いに役立てられており、ものすごく研究が進んでいる。
・具体的にはiPS細胞から免疫系の細胞を作り出して、いろんながんに対峙する細胞を作り出し、それを患者の体内に戻してがんを攻撃してもらうという方法で、既に一部は臨床試験に入っている研究もある。
・日本だけでも国民の2人に1人ががんにかかっているが、数年後にはがんワクチンによる治療法が実用化される可能性がある。

それにしても数年後にはがんワクチンによる治療法が実用化されるかもしれないというのはがん治療技術として大変な朗報と言えます。
なお、mRNAについて、また数年以内にがんワクチンが開発される見込みについてはアイデアよもやま話 No.5011 数年以内にガンのワクチンが開発される!?でお伝えしました、
このがんワクチンによって、世界中でどれだけ多くのがん患者の命が救われるでしょうか。
まさに世紀の大発見です。
そして、iPS細胞もがん治療の研究に大いに役立てられているのです。

さて、ワクチンについて、またmRNAについてとても分かり易く伝えているネット記事(こちらを参照)を見つけたので以下にその一部をご紹介します。

そもそもワクチンとは、悪いウイルスが体に入ってきたら、免疫システムがそれを認識してやっつけることができるように、やっつける相手を免疫システムに事前に教える薬だ。

そのために、従来は病原性を弱めたウイルス(生ワクチン)や、ウイルスを構成するタンパク質を精製したもの(組み換えタンパク質ワクチン)が使われてきた。

mRNAワクチンは、ウイルスタンパク質そのものではなく、それを組み立てる設計図を体内に届けて、自分でウイルスタンパク質を作ってもらう仕組みを取る。この設計図がmRNAと呼ばれる遺伝物質で、上腕に注射されると筋肉細胞がそれを「翻訳」して、ウイルスタンパク質を作る。このプロセスは注射後24〜48時間に最も活発になるという。

この設計図は、ウイルスの特徴的な部分しかカバーしていないから、それによって組み立てられたタンパク質は、本物の新型コロナウイルスがどんなものかを免疫システムに大まかに教えるだけで、感染症の症状を引き起こすことはない。また、mRNAは構造的にすぐに分解されてしまうため、注射された人の遺伝子に組み込まれることもない。

その一方で、新型コロナウイルスについて重要情報を得た免疫システムは、強力な抗体づくりに着手して、実際のウイルスが入ってきたとき、発症や重症化を防ぐ。

以上、ネット記事の一部をご紹介してきました。

こうして見てくると、mRNAもiPS細胞に負けず劣らず世紀の大発見とも言える医療技術のインフラとも言える素晴らしい発見だと思います。
そして、mRNAワクチンによって、世界中の多くの人たちが新型コロナウイルスに感染しても軽症で済んだり、不幸にして亡くなることも回避出来ているのです。
こうしたことからiPS細胞とmRNAという2つの技術は今後も医療の様々な分野で大いに活躍が期待出来るのです。

 
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