2021年11月10日
アイデアよもやま話 No.5109 米欧の財政支出は脱炭素・ITに集中 一方日本は・・・
7月15日(木)付けネット記事(こちらを参照)で脱炭素・ITに集中する米欧の財政支出の一方で日本の対応について取り上げていたのでその要旨をご紹介します。 

・米国や欧州が新型コロナウイルス危機の出口を見据え、環境やデジタルの分野で数十兆円規模の巨額の財政支出に動き始めた。
・税財源の計画も打ち出し、数年単位の持続的な成長戦略と位置づける。
・明らかになっているメニューの比較で日本は支出が実質的に10分の1に及ばず、メリハリも効いていない。
・長期構想に基づいて予算を無駄なく戦略的に配分する仕組みを整えなければ国際競争で劣後する恐れがある。
・米欧はもともと産業振興に巨額の補助金などを投じることには慎重だった。ただ脱炭素などの新技術の開発では政府がインフラ開発などで旗を振らなければ、民間の投資が伸びにくい。国家を挙げて技術覇権の確立を狙う中国に後れを取りかねないとの危機感も米欧政府の背中を押す。
・政策を実現する財源確保の一環で法人税率の引き上げや富裕層への課税強化策も表明している。
・欧州連合(EU)は気候変動分野に集中投資する。21年から7年間の中期予算と「コロナ復興基金」の計約1兆8千億ユーロ(230兆円)のうち3割を気候変動対策にあてる。目玉は水素戦略だ。30年までに日本の目標の3倍超にあたる年1千万トンの生産体制を整える。
・EUは14日、国境炭素税の案を公表した(2026年から世界に先駆けて全面的に導入する方針)。環境対策が不十分な国・地域からの輸入品に欧州の排出枠価格と同程度の税を課す。事実上の関税として年100億ユーロ近くの収入を想定し、環境投資の新たなサイクルを回す。
・中国は2014年から基金を作り、半導体関連技術に5兆円超の大規模投資を進めている。上海に二酸化炭素排出枠の取引所を設け、気候変動対策にも本腰を入れる。
・日本もコロナによる経済への打撃を和らげるため、予算は大幅に増やしている。しかし規模ありきの編成の結果、約30兆円を使い残した。無駄な部分を大胆に見直しつつ、民間の投資を促すような戦略的配分が求められる。
・政府は22年度予算編成ではデジタルや脱炭素などに充てる特別枠を2年ぶりに設けた。実際は各省庁のばらばらの要求の受け皿という面がある。経済成長がないまま政府債務ばかり膨らむ危うい状態に陥る恐れがある。
・経済協力開発機構(OECD)の見通しによると日本の21年と22年の実質成長率は主要7カ国(G7)で最も低い。長期展望や柔軟性に乏しい予算や政策の仕組みのままでは米欧の背中がますます遠のきかねない。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

こうしてみてくると、日本政府の政策に関する問題点が浮き彫りになってきます。
そこで記事を通して問題点を以下にまとめてみました。
・長期構想に基づいて予算を無駄なく戦略的に配分する仕組みがない
・予算の裏付けとなる財源確保の有効な手段が曖昧である
・脱炭素などの新技術の開発ではインフラ開発などで政府がリーダーシップを発揮しなければ民間の投資が伸びにくいが、十分に発揮出来ていない
・日本もコロナ禍での経済対策として予算は大幅に増やしているが、規模ありきの編成になっている
・日本は環境やデジタルの分野において財政支出が米欧に比べて実質的に10分の1に及ばず、メリハリも効いていない
・こうした結果、OECDの見通しによると日本の21年と22年の実質成長率は主要7カ国(G7)で最も低い
・このまま長期展望や柔軟性に乏しい予算や政策の仕組みが続けば増々米欧との差がついてしまう

次にSDGs(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)やDX(デジタルトランスフォーメーション)への国家的な取り組み、あるいはコロナ禍といった突発的な問題発生に対する政府としての取り組みにおける要件について以下にまとめてみました。
・総理大臣のリーダーシップ
・縦割り行政の打破
・しっかりした長期構想の構築
  政権が交代しても大筋は変わらない
・長期構想に基づいた、“ジャパン・アズ・ナンバーワン”を目標とした挑戦的な施策の展開
  欧米の動きは飽くまでも参考にし、欧米の動きに追随するのではなく、独自の施策を展開する
・施策の展開を裏付ける資金調達、および予算の確保
・リスクを恐れない積極的な対応
・コロナ禍のような非常事態における柔軟な対応
・過去の歴史を教訓にすること
  ホンコン風邪など過去の事例を真摯に参考にしていれば、コロナ禍への対応はより的確に実施出来ていた

このようにみてくると、時代の大きな変革期、あるいは非常事態においては、政治家、中でも総理大臣のリーダーシップがいかに重要であるかを再認識します。

ということで、政治・経済の低迷する日本において、岸田総理の率いる現政権においてはリーダーシップを発揮して“ジャパン・アズ・ナンバーワン”を目標とした施策を展開していただきたいと切に願います。

 
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