2021年11月03日
アイデアよもやま話 No.5103 果樹栽培で地球温暖化を防止!?
7月6日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で果樹栽培による地球温暖化防止について取り上げていたのでご紹介します。 

地球温暖化の原因となる温室効果ガスですが、実は農業や林業の排出量は世界全体の排出量の約4分の1を占めているのです。
こうした中、日本の農業も気候変動対策への取り組みを始めています。

都内のカフェの一画、AZLM CONNECTED CAFE(東京・渋谷区)で7月5日から販売が始まったのが山梨県発の地球環境に配慮した果物です。
生産過程で温室効果ガスであるCO2を削減する果物づくりについて今年度から推奨を始めた山梨県、県が認証した果物にロゴマークを付け、ブランド化を進めています。

その生産現場(山梨県甲府市)を訪ねてみると、果樹農家を営む星野一雄さんは県の勧めもあり、今年1月から“脱炭素農業”を手掛けています。
星野さんは次のようにおっしゃっています。
「(気候変動で)収穫期に長雨が続いたりだとか、冬が暖かいことに関してちょっと心配になります。」

星野さんが取り組んでいるのは農地への炭素貯留という手法です。
その方法は、栽培途中で出てくる選定した枝を炭にして土の中に埋めることでCO2を削減出来るということです。
果物の木は光合成で多くのCO2を吸収しています。
通常は焼却する際にまた大気中にCO2が戻ってしまいます。
それを炭にして埋めることで土壌に留めておくことが出来るといいます。
土壌と大気の間で循環しているCO2を農地に貯め込むことでCO2を削減する狙いです。
こうした取り組みなどで土壌の炭素量を毎年0.4%増やせば、人為的に排出するCO2を帳消しに出来るとされています。

この考えは4パーミルイニシアチブとして国際会議(2015年開催のCOP21)で提唱されています。
山梨県農政部の坂内啓二部長は次のようにおっしゃっています。
「農業サイドから温暖化の抑制に貢献出来るのではないかと。」
「果樹栽培を中心に、こうした取り組みが日本各地に広がればいいかなと考えております。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

農業や林業のCO2排出量は世界全体の排出量の約4分の1を占めているという情況において、今回ご紹介した“脱炭素農業”という新たな果樹栽培の要点を以下にまとめてみました。
・栽培途中で出てくる選定した枝を炭にして土の中に埋めることでCO2排出を削減する
・土壌の炭素量を毎年0.4%増やせば、人為的に排出されるCO2を帳消しに出来る
・この考えは4パーミルイニシアチブとして国際会議で提唱されている

さて、この“脱炭素農業”の普及に際して、選定した枝を炭にして土の中に埋める作業の手間を考えると、炭にした後に他の用途はないかと思いついたアイデアを以下にまとめてみました。
・工芸品の原材料
・建築材の原材料
・水の浄化剤
・室内の湿気防止

このような用途を目的として商品化すれば、新たなビジネスにつながるので“脱炭素農業”はより一層の普及が見込まれると思うのです。

これまでも持続可能な社会の実現に向けて、CO2排出量の削減、すなわち“脱炭素”の取り組みについてお伝えしてきましたが、今やあらゆる分野においてSDGsへの取り組みが進みつつあるようです。(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』

さて、こうしてみてくると、“脱炭素”の取り組みにおける究極の手段は以下の2つだと思います。
・人類の様々な活動の中で出来るだけCO2を排出しない
・排出したCO2をそのまま放置せず、原料として有効活用し、新たなビジネスを創造する

 
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