2021年11月02日
アイデアよもやま話 No.5102 魚の最新養殖技術!
これまで魚の養殖についてはアイデアよもやま話 No.1454 マグロの完全養殖で日本人の食生活を救う!などで何度かお伝えしてきました。
そうした中、7月9日(金)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で魚の最新養殖技術について取り上げていたのでご紹介します。 

有限会社東和水産(大分県佐伯市)の養殖場では緑の光を当ててヒラメを育てています。
その理由について、東和水産の増野慎一さんは次のようにおっしゃっています。
「大体ヒラメは(水槽の)底に定着しているんですよね。」
「それが見て分かるように魚が泳ぎ回っているでしょ。」

緑の光で照らした水槽の中でぐるぐると動き回るヒラメ、エサをまくと元気にエサに食べ来ます。
一方で、普通のライトで育てているヒラメは全然動いていません。
水の底にへばりついてじっとしています。
なぜかというと、緑の光を当てたヒラメは活発に動いてエサを沢山食べます。
通常は出荷するのに1年かかっていたものが、9ヵ月にまで繁殖出来るというのです。

ではなぜ緑の光で成長が良くなるのでしょうか。
この技術を開発した北里大学海洋生命科学部の高橋明義教授は次のようにおっしゃっています。
「ヒラメの生息しているところの光に合っているなどで、動きが活発になるんじゃないかなという風に推測は出来ます。」

海の中では深さによって光の届く色が違います。
ヒラメの生息する場所(水深数十m)、つまり緑色の光を再現したことで動きが活発になって食欲も増しているのではないかということでした。

もしこの技術が浸透した場合について、増野さんは次のようにおっしゃっています。
「ヒラメの(養殖)コストが下がれば、スーパーにも安く出回ることがあるんじゃないかなと思っています。」

そして、魚のエサの養殖革命を起こした企業もあります。
これまで養殖にはある課題がありました。
養殖業者の竹田洋介さんは次のようにおっしゃっています。
「どうしても無駄なエサっていうか、食べられないエサは出てくるっていうのはありますね。」

実は養殖で魚に与えるエサのうち約2割が食べ残しとなって海を汚染する原因になっていました。
そこで東京・五反田の会社が開発したのがAI搭載の自動エサやり装置「ウミトロンセル」です。
AIが魚の食欲を解析して、食べ残しが出ないようにエサの量やエサやりのタイミングを自動でコントロール、この装置を使えば海のごみが削減出来るのです。

更に、遠く離れた場所からスマホなどで魚の様子を確認しながら遠隔でエサやりが出来るのです。
「ウミトロンセル」活用の養殖業者、湯田勇太さんは次のようにおっしゃっています。
「今後は多分男性女性関係なく、楽ではないですけど、やり易くなるんじゃないのかなと思います。」

これまで養殖業者は毎日のエサやりが必要なため、1年365日休むことが出来ませんでした。
それがAIによって労働環境が改善されるだけでなく、若者や女性など新しく養殖業をやる人が増え、産業の発展につながるのではないかと期待されています。

番組ではヒラメについてご紹介しましたが、例えばフグ、サーモン、ブリなどでも光を工夫した養殖の研究が進められています。
高級魚のフグにはより深いところの水域の青い光が効果的だということで、こうした高級な魚もより安く私たちは食べらえる日が来るのではないかということでした。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

今回ご紹介した魚の養殖技術の要点を以下にまとめてみました。

(個々の魚の養殖に適した光の色の照明の利用)
・緑の光を当てたヒラメは活発に動いてエサを沢山食べ、成長が早くなる
・その理由はヒラメの本来生息している場所が緑の光であるからだと推測される
・フグ、サーモン、ブリなど他の魚でも光を工夫した養殖の研究が進められている

(エサの量やエサやりのタイミングの自動制御にAIを活用)
・養殖で魚に与えるエサのうち約2割が食べ残しとなって海を汚染する原因になっている
・そこでAI搭載の自動エサやり装置により魚の食欲を解析して、食べ残しが出ないようにエサの量やエサやりのタイミングを自動でコントロールすることにより海のごみが削減出来る
・更に、遠く離れた場所からスマホなどで魚の様子を確認しながら遠隔でエサやりが出来る
・そこで今後は性別に関係なく、養殖魚のエサやりがやり易くなると期待出来る

今回ご紹介した2つの最新養殖技術の活用により、私たちはより安く美味しい魚を食べることが出来るようになるのです。
しかも、省エネで環境保全にも貢献出来るのです。

ということで、こうした技術はどんどん開発を進め、普及させていただきたいと思います。

 
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