2021年09月27日
アイデアよもやま話 No.5071 国産ワクチンは”ないない尽くし”!
6月1日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”ないない尽くし”の国産ワクチンについて取り上げていたのでご紹介します。

新型コロナウイルス感染拡大防止を目的としたワクチン接種は加速していますが、更に先を見据えた課題について、菅総理(当時)は6月1日開催の閣議の場で次のようにおっしゃっています。
「いまだ国産ワクチンは実用化されておらず、欧米のワクチン供給に依存している状況であります。」

政府は6月1日、国産ワクチンの開発や生産体制を強化する戦略を閣議決定しました。
現在、日本国内ではアンジェスや塩野義製薬など主に4つの企業が臨床試験を進めています。
しかし、実用化の目途は立っていません。
政府が強化する具体的なポイントは以下の3つです。
世界トップレベルの研究開発拠点の形成
治験環境の整備、および薬事承認手続きの迅速化
ワクチン製造拠点の整備

今回の発表について、アンジェスと共同開発を行う大阪大学大学院の森下竜一寄付講座教授は次のようにおっしゃっています。
「政府のワクチンに対する考え方が大きく変わったと。」

アンジェスは既に500人規模の治験で投薬を終え、結果を検証中、この次に待つのは数万人規模の大規模治験です。
ただ、森下教授は国内での大規模治験は難しく、政府の支援が欠かせないと指摘します。
「大規模な治験をどこで行うか、日本国内での発症が増えてはきていますが、欧米に比べれば非常に少ないという環境の中で非常に難しかったと。」
「そうした中で、何か変わり得る新しい考え方を示して、しかも現実性のある対策を是非お願いしたいと思います。」

政府は国産ワクチンについての戦略を発表しました。
これまでの状況の中で改善すべき点がいろいろありそうですが、解説キャスターで日本経済新聞論説主幹の原田亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「コロナでうまくいっていないというのは、ワクチンが国産出来ないというのが非常に大きいんですけど、”ないない尽くし”なんですね。」
「まず政策の優先順位が高くない。」
「で、政策順位を上げないとダメなんです。」
「今回、研究拠点をつくるということを政府が提言しています。」
「これはいいことだと思いますよ。」

「(2つ目の採算が取れないことについて、)ワクチンはいつも感染症が発生しているわけじゃないですから、需要がある日突然出てきて、どのくらいの需要かもよく分からない。」
「で、企業が投資をきちんとやんなくちゃいけないわけですから、そのお金を国が出さなくちゃいけない。」
「これも(国が)工場を支援すると(政府は)言っています。」

「(3つ目の効果などを確かめるための治験者が足りないことについて、)日本は中々治験者の数が集められないので、東南アジアと連携して治験データを集めるといったことを謳っています。」
「で、厚労省は10年前にも提言しているんですよ。」
「でもやっていない。」
「今回だけはちゃんとやんなくちゃいけない。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

一方、6月2日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で国内のワクチンの接種のスピードの背景について取り上げていたのでご紹介します。

ワクチンの接種ですが、1日100万回も視野に入るほど加速してきました。
このスピードの背景について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「基本的に一言で言えば、昭和の高度成長のスタイルだと思います。」
「まず当時、所得倍増計画を池田総理(当時)が打ち出したわけです。」
「「実現出来ないだろう」とみんな言っていたんです」
「今回も菅総理、1日100万回の目標をドンと掲げたことが大きいと思いますね。」
「そして、モデルなんですね。」
「当時は欧米に“追い付き、追い越せ”、今回もアメリカやイギリス、イスラエルというモデルがあるんです。」
「だから進みやすいんです。」
「(企業がワクチン接種会場を提供するなど工夫が出てきているが、)民間企業がそういう工夫を打ち出しているというのも今回の特徴だと思います。」
「それに自衛隊なんかも動いていて、かなりテキパキやっているわけですよ。」
「ということで、今回あえて言えば、現場でのカンバン方式やカイゼン運動みないなものも起きていると思います。」
「かなり加速の要素は整ってきていると思います。」
「(日本は目標やモデルが定まれば、その後は力強く進んでいくということではという指摘に対して、)その通りですね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

確かに新型コロナウイルスの感染拡大のように、いつ起きるかもしれない、しかも需要もどの程度期待出来るかもわからないような商品、あるいはサービスに一般企業が取り組むのはとてもリスクが大きいです。
ですから、今回の新型コロナウイルス感染拡大への対応策のような事業については特別に国がリーダーシップを取って積極的に関連企業を支援する仕組みが必要となります。

そして、今回分かったことは欧米、あるいは中国での新型コロナウイルスへの対応においては、国と企業との連携がうまくいき、世界各国にも供給出来るようになったのです。
ですから、遅ればせながら日本もようやく国産ワクチンの生産に向けて国が動き出したというわけです。
原田さんはワクチンの国産化において、政策順位を上げないとダメだと指摘されていますが、適切な軍事力の維持と同様に国家安全保障の枠組みにウイルス対策も組み込むべきだと思います。

なお、国内におけるワクチン接種の遅れについては、菅総理の「1日100万回」という一声で一気に接種が進み、今ではアメリカとほぼ肩を並べるくらいまで接種率が進んでいます。
ですから、国のリーダーである総理大臣が声高に目標を掲げることはとても重要なのです。
ちなみに、ワクチンの接種状況はこちらを参照下さい。

勿論、そこには実現に向けて国民が納得出来るような裏付けが必要ですが、何事においてもただ方向性を示すけでなく、どのような目標をいつまでに達成するといったような具体的な目標設定をすることが目標を実現するうえでとても有効なのです。
なぜならば、きちんとした裏付けがなく、ただ声高に目標を掲げるだけでは“絵に描いた餅”で終わってしまうから可能性が高いからです。

 
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