2021年09月25日
プロジェクト管理と日常生活 No.712 『民主主義指数の推移』
ソフトウェア開発における管理手法の一つとしてCMMIという考え方があります。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.36 『環境の変化への耐えざる順応が出来なければ・・・』
そして、レベル4では「定量的に管理された状態 (蓄積された過去のデータを統計的に分析しており、定量的な予測ができる状態)」としています。
そうした中、5月24日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で「民主主義指数」の推移について取り上げていたのでご紹介します。

「民主主義指数」の推移について、解説キャスターで日本経済新聞論説主幹の原田亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「ご覧いただきたいんですが(添付参照)、イギリスのエコノミスト誌の調査部門、EIU(エコノミスト・インテリジェント・ユニット)というセクションが毎年発表している「民主主義指数」ですけど、アメリカが7.92、日本が8.13、北朝鮮は1.08ということで非常に民主化が進んでいないということなんですけど、ベラルーシは2.59ということで10年前(3.34)に比べてかなり下がっている。」
「ベラルーシのルカシェンコ大統領は就任してから四半世紀経っているんですけど、選挙のたびに不正が指摘されているんですね。」
「(今、6期目ということで、今回の件(国家によるハイジャック事件 こちらを参照)についてはEUからも非難が起こっていますが、)EUの首脳会談で経済制裁を検討するんだろうと思うんですが、そういう動きになるとルカシェンコ大統領は恐らくロシアとか中国に接近をして陰に隠れるという感じになるんでしょうかね。」
「(専制主義的な国が集まっていくようなイメージなのかという問いに対して、)この「民主主義指数」、昨年、一昨年、その1年前を見ると、毎年悪化しているんですよ。」
「で、やっぱり専制的な国が増えている、あるいはそういう民主主義が後退するような国が増えている。」
「例えば、香港が国家安全維持法が施行されたり、今年で言えばミャンマーが現実としてあったりということで、民主主義陣営はそういう専制主義に対抗するきちんとした対応を取るべきだろうと思います。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

一口に国ごとの民主主義がどの程度成熟しているかを評価することはとても難しいです。
そうした中、冒頭のCMMIの考え方に呼応するように、今回ご紹介した「民主主義指数」は民主主義の成熟度合いを定量化したもので、いかにも欧米的な考え方に基づいたものと言えます。
そして、「民主主義指数」はいくつかの評価項目から成り立っています。
ですから、この評価項目ごとの推移を見れば、国ごとに民主主義の成熟度を高めるうえでの改善点が見えてきます。

そこで、添付の「民主主義指数」の推移で気になるのは、ここ10年ほどで、米中2大大国の指数が下がっていること、そして途上国の指数は総じて低いことです。
では、中でも途上国が「民主主義指数」を高めるためにどのようなプロセスを踏めば効率的、かつ効果的に目標を達成出来るかを考えた時にCMMIの基本的な考え方を適用することが参考になるのではと思いつきました。
ちなみにCMMIの5つのレベルは以下の通りです。

レベル1 : 初期状態 (混沌とした、いきあたりばったりで、一部の英雄的なメンバー依存の状態)。
レベル2 : 管理された状態 (反復できる状態、プロジェクトレベルで管理・プロセスの規則が存在)
レベル3 : 定義された状態 (組織の標準プロセスがあり、組織横断的に実施されるプロセスの首尾一貫性が保たれている状態)
レベル4 : 定量的に管理された状態 (蓄積された過去のデータを統計的に分析しており、定量的な予測ができる状態)
レベル5 : 最適化している状態 (継続的に自らのプロセスを最適化し、プロセスを改善する状態)

この中で最も成熟した段階はレベル5で「継続的なプロセスの改善」です。
プロジェクト開発と同様に、民主主義も継続的なプロセスの改善に取り組まなければ、民主主義における成熟度が後退してしまうことを政治家、および国民は肝に銘じておかなければならないのです。


添付:


 
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