2021年09月20日
アイデアよもやま話 No.5065 全固体電池の実力を上回る「硫化物電池」!
5月18日(火)付けネット記事(こちらを参照)で全固体電池の実力を上回る「硫化物電池」について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

・脱炭素社会の実現に向け、政府は2030年代半ばまでに国内新車販売全てを電動車にする目標を打ち出した。そのけん引役は電気自動車(EV)であり、中でも性能を左右する電池技術の行方が注目される。次世代の全固体電池だけでなく、主流のリチウムイオン電池をしのぐ「革新型蓄電池」の開発も進む。
・産総研関西センターではEV用次世代電池で複数の開発プロジェクトが進む。中でも注目は、16―20年度に実施された新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の産学連携プロジェクト「革新型蓄電池実用化促進基盤技術開発(RISING2)」だ。「亜鉛空気電池」「コンバージョン電池」など4つの革新型蓄電池をターゲットに、京都大学と同センターが中核開発拠点となった。
・ RISING2で掲げたEV用電池の開発目標は、エネルギー密度が1キログラム当たり500ワット時以上、1充電走行距離では500キロメートル以上だ。
・同センターで取り組んだ電池の一つが、正極に硫黄とバナジウムなどの金属を、負極にはリチウムを使う「硫化物電池」だ。硫黄は資源が豊富で安価、軽くて容量も大きいと電池材料で注目される。
・硫化物電池は理論エネルギー密度で現行のリチウムイオン電池の4倍程度とされる。「試作セルでは1キログラム当たり、500ワット時にめどをつけた」(栄部氏)。今後はメーカーへ橋渡ししつつ、改良を進めていく。
・電池の開発は、計算技術の発達で構造解析や材料開発の効率化が進む。ただ「最後は人海戦術で課題を一つずつつぶす作業が必要。それが面白くもあり、しんどさでもある」と倉谷氏(蓄電デバイス研究グループ長の倉谷健太郎氏)は語る。栄部氏(次世代蓄電池研究グループ上級主任研究員の栄部比夏里氏)は「(同センターは)電池の電気化学反応を分かっている人が多いのが強み。日本企業の競争力が高まる技術を提案したい」と強調する。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

要するに、産総研関西センターではEV用次世代電池で複数の開発プロジェクトが進んでいますが、同センターで取り組んだ電池の一つが「硫化物電池」であり、その理論エネルギー密度で現行のリチウムイオン電池の4倍程度とされているのです。
そして、「試作セルでは1kg当たり、500ワット時にめどをつけた」といい、今後はメーカーへ橋渡ししつつ、改良を進めていくというのです。
ここで注目すべきは「硫化物電池」が全個体電池の実力を上回るということです。
また、もし「硫化物電池」が実用化されれば、この電池を200kg搭載すると容量は100kwhですから実際の航続距離はざっと600km〜650kmということになります。
フル充電での航続距離がこの程度であれば、業務用としても十分に利用可能です。

ということで、まだまだ多くの課題があると思いますが、今後はこの研究開発をメーカーが引き継ぎ、少しでも早く市販化につなげていただきたいと思います。
国としてもこうした製品開発には資金面などで積極的な支援をすべきだと思います。

 
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