2021年09月15日
アイデアよもやま話 No.5061 見習うべき中国式”スマート介護”!
5月12日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で中国式”スマート介護”について取り上げていたのでご紹介します。

スマホ決済やシェアリング自転車など、IT化が進む中国ですが、その波が介護の分野にも及んでいます。
上海に本社がある在宅介護サービス業の福寿康の本社の中には巨大なモニターが設置されていて、自宅にいる利用者のリアルタイムの情報が表示されています。
ベッドでいびきをかいているマークは就寝中、心拍数や呼吸数もあります。
それを可能にするのがスマート睡眠シート(配線が敷かれた敷布のような形状)です。
眠りの深さや目を覚ました回数などの情報を解析し、利用者の健康状態を監視しています。
自宅で過ごす要介護者をデータで一括管理するのがポイントなのですが、実際に300人の利用者がいる広州の事業所を番組が取材してきました。

異常を知らせるアラームが鳴り、モニターに呼吸の回数が少ないとの警告が、スタッフはすぐに家族に電話を入れます。
「薬を飲み忘れた」、「長時間座っている」、「ベッドから30分離れた」など、利用者のちょっとした変化を見逃しません。
料金は政府の補助金を差し引くと、月額1万4000円からで、高齢者300人をスタッフ2人で見守ることで現場の介護士は健康な高齢者への訪問回数を減らし、本当に介護が必要な人に労力を割くことが出来るのです。

中国では急速に高齢化が進んでいることから、否応なしに効率化が求められたと言えます。
5月11日に発表された「2020国勢調査」でも中国の60歳以上の人口は約2億6400万人と、総人口の18%を占め、高齢化大国に、介護施設のベッド不足も年々深刻になっていて、IT技術の導入が積極的に進められたのです。

一方で、プライバシーの面では不安もあります。
転倒などの危険を察知するために一部の利用者の部屋にはカメラが設置されていて、スタッフはいつでも現在の様子を確認出来ます。
人のかたちだけが表示される特殊なカメラも導入していますが、プライバシーへの抵抗が少ない中国ではそれほど需要はないそうです。
中国式のスマート介護が世界に広まるかはプライバシーの配慮が重要なカギになりそうです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

要するに、中国の在宅介護サービス業を営む福寿康は、スマート睡眠シートやセンサー、カメラ、およびAIを組み合わせて活用することにより要介護者の体調をデジタル化し、そのデータをリアルタイムで“見える化”することにより、一括管理し、少数のスタッフや現場の介護士で効率的に多数の要介護者の健康管理を行っているのです。

その背景には中国の急速に進む高齢化があるといいますが、積極的なIT技術の導入が功を奏しつつあるというわけです。
こうしたシステムの中国における導入は近い将来、他の先進国などでも導入されていくものと見込まれますが、その際、番組ではプライバシーへの配慮が重要なカギになりそうであると指摘しています。

なお、日本の病院でも入院患者の体調管理にIT技術を取り入れて体調の“見える化”をしてナースステーションなどで一括管理していますが、今回ご紹介したような細かいデータまでは計測していないと思います。
ましてや、在宅での要介護者に対する健康管理においては今回ご紹介したような中国のシステムの導入は皆無に近いのではないかと推測されます。

ということで、日本は全般的にデジタル化、あるいはDX(デジタルトランスフォーメーション)の分野において中国に後れを取っているのです。
No.5058 ちょっと一休み その791 『アメリカを抜き初の首位となった「中国論文」』でもお伝えしたように、日本はあらゆる分野においてDX(デジタルトランスフォーメーション)で世界をリードする国を目指すべきなのです。

 
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