2021年09月16日
アイデアよもやま話 No.5062 マスクの着け方次第で効果激減!
新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るっている中、今や外出時のマスクの着用はニューノーマルとして定着しています。
そうした中、5月12日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)でマスクの着け方次第で効果が激減すると伝えていたのでご紹介します。

東京都のアンケート結果で、若者の外出理由として3分の1と最も多かったのが「マスクをしているから大丈夫だと思う」という回答でした。
ところが、このマスク、素材や着け方によっては予防効果が激減してしまうということなのです。
わずかな差が大きな差を生んでいました。

こんなケースがあります。
青森市にある不動産会社は窓口にはアクリル板、換気もしたうえで従業員、利用者全員がマスクを着用して営業をしていました。
しかし、従業員と利用者の7人が感染、その家族なども含め、合計で27人が感染するクラスターが発生したのです。
青森市保健所の担当者によると、「エアロゾル感染」が起きた可能性があるということです。
空気中に浮遊するウイルスが口や鼻などに入って起きる「エアロゾル感染」はどのように起きた可能性があるのでしょうか。

検証のため番組スタッフが訪れたのは、聖路加国際大学 公衆衛生大学院です。
布、ウレタン、不織布、防塵マスク、4種類のマスクを用意し、空気中に漂う粒子がどれだけマスクの中に入り込むか検証しました。
布マスクの場合は漏れ率100%、空気中に浮遊している粒子がそのまま全てマスクの中に入ってしまっているということになります。
この漏れ率とは0.3〜0.5マイクロメートルの粒子がマスク内にどれだけ漏れ込んだか、つまりどれだけマスク内に粒子が侵入したかを示す数値のことです。
大西一成准教授は次のようにおっしゃっています。
「接触感染を防ぐという意味では全く意味がないわけではない。」
「ただ、粒子を吸い込んでしまうので、その粒子に感染力があれば感染リスクはグンと高まるということになります。」

不織布マスクでは、漏れ率70.29%で、3割はカット出来ているんですが、7割はマスクの中に入ってきてしまっているという状況です。

しかし、あることをして不織布マスクを再び計測してみると、漏れ率21.72%になりました。
その秘密は、隙間を無くすマスクの着け方にありました。
大西さんは次のようにおっしゃっています。
「まず指を(マスクの)真ん中に当てて半分に折ります。」

マスクのワイヤを鼻の高さに合わせてWのかたちにカーブを付けていきます。
かたちをつけたマスクを手に載せ、顔に合わせて着用した後、髪などが挟まらないように顔を密着させていくのがポイントです。
大西さんは次のようにおっしゃっています。
「顔にしっかり密着してマスクをつけているということは、外の粒子を防ぐとともに、外に放出する、拡散させるのを防ぐことにもつながります。」

従来型でも変異ウイルスでも注意する点は変わらず、マスクと行動で感染を防いでいくことが重要だと話します。
大西は次のようにおっしゃっています。
「人流を止めたりすることが出来ない。」
「そういった中でも、自分の持っているマスクの限界を知って、複数の感染対策を同時にやっていくというのが感染流行下では必要になってくると思いますね。」

なお、マスク侵入率の検証結果を一覧したものは添付の通りです。
布マスクやウレタンマスクの侵入率は100%ですが、これはあくまでもエアロゾル感染の状況を考えた場合です。
例えば、自分が感染しているかもしれない時にまとまった飛沫が飛んでいくかもしれない、これを抑えるための布マスクやウレタンマスクは非常に効果があるといいます。
また(2.5マイクロメートルの大きさの)花粉(粒子)を防ぐことも出来ますから、この結果はコロナウイルスの粒子の大きさの測定ということになります。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組を通して分かったことを以下にまとめてみました。
・マスク着用の効果は、花粉の粒子やウイルスの大きさ、そしてマスクの種類によるどの大きさのもののマスク内への侵入を防ぐことが出来るかといった関係によって異なる
・また「エアロゾル感染」をどれだけ防けるかはマスク着用の仕方、すなわち顔とマスクの間の隙間をどれだけ少なくするかによって異なる
・従って、防塵マスク以外のマスクで「エアロゾル感染」まで防ぐには限界があり、一方で人流を止めたりすることは出来ないので、自分の持っているマスクの限界を知って、複数の感染対策(“3密”の回避など)を同時に実施することが新型コロナウイルスの感染防止に必要である

なお、ワクチンを接種しても人によって抗体の増え方に違いが生じるという調査結果があります。(参照:アイデアよもやま話 No.5056 ワクチン接種後の「抗体」に差!
そして抗体が増えなければ新型コロナウイルスの感染を防ぐことは出来ないのです。
ですから、ワクチン接種も万能ではないのです。
なので、私たち一人ひとりが新型コロナウイルスに対峙していくには、新型コロナウイルスの感染拡大が終息に近づくまで以下の組み合わせの対策を施すことが求められるのです。
・外出時の正しい方法でのマスク着用
・“3密”(密閉・密集・密接)の回避
・ワクチン接種(2回目以降も必要に応じて)
・定期的な検査(PCR検査や抗体検査など)
・感染時のコロナ治療薬のタイムリーな投与


添付:


 
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