2021年09月14日
アイデアよもやま話 No.5060 賞味期限が長い商品が続々登場!
5月10日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で続々登場する賞味期限が長い商品について取り上げていたのでご紹介します。 

こちらのサラダは生野菜が入っているのですが、冷蔵保存で賞味期限が20日と、従来のものに比べて5倍ほど長いのです。
更にソーセージやベーコンは冷蔵ではなく、常温保存で賞味期限が1年もあります。
実は今、こうした賞味期限が長い商品が続々登場しています。
その理由は何なのでしょうか。

ベニースーパー 佐野店(東京・足立区)で最近売れている商品がありました。
ベニースーパー本部の谷泰久さんは次のようにおっしゃっています。
「1年前と比べると3〜4倍の売れ行きです。」
「長期保存出来るものはお客様に支持されていると思います。」

伊藤ハム「クイックディナー」シリーズの「 やわらか角煮 3袋入り」(希望小売価格 1,170円)は本格的な煮込み料理が湯煎や電子レンジで温めるだけで食べられるという商品です。
常温で約3ヵ月〜半年保存出来ます。

昨年の加工食品市場では、主食、総菜とも家で簡単に調理してすぐに食べられる「内食」の市場が拡大しました。
 主食:4.5%アップ(前年比)
 総菜:3.1%アップ(前年比)

食肉大手の伊藤ハム(東京・目黒区)では、ソーセージやハムといった冷蔵が必要な食品が定番ですが、最近力を入れているのが常温保存が可能な商品です。
コロナ禍でまとめ買いが増える中、冷蔵庫や冷凍庫のスペースを取らないのも人気の理由の一つです。
高い需要を受けて、今年の春からどんぶりシリーズを新たに追加しました。
コロナ禍で家庭で食べる機会が増え、売り上げが2倍になった「常温商品」シリーズの商品もあるといいます。
伊藤ハムの春名公喜執行役員は次のようにおっしゃっています。
「間違いなく去年が分岐点になったというふうには考えております。」
「初めて食べていただいた方がファンになっていただいて、その後買い続けていただくというかたちが生まれたと考えております。」

親会社の伊藤ハムで5月10日に発表した今年3月までの1年間の純利益は前年比1.7倍の202億円でした。
常温保存出来る食品など、加工食品が大幅な増益に寄与しました。

一方、食品メーカー大手のキューピー(東京・渋谷区)では、従来は保存しにくい食品の開発に成功しました。
キューピーの藤原かおり上席執行役員は次のようにおっしゃっています。
「出来立ての総菜を日持ちさせる新しい技術を使って作った商品でございます。」

キューピーが4月から販売を始めたのが「わたしのお惣菜」サラダシリーズの3種類の総菜サラダです。(1袋 214円)
賞味期限は冷蔵で20日間、通常の生野菜を使ったサラダなどの賞味期限は3〜4日程度ですが、5倍ほど日持ちします。
それを実現したのが冷圧フレッシュ製法という独自の技術です。
商品が入ったパッケージを冷水に入れ、高い水圧をかけることで雑菌の繁殖を抑制、また一般的な加熱殺菌よりも野菜の色や食感をそのまま保つことが出来るようになったといいます。

スーパーでは通常の惣菜コーナーに並べられているこの商品、コロナ禍で買い物に行く頻度が減ったお客のまとめ買い需要を狙います。
藤原さんは次のようにおっしゃっています。
「品ぞろえを増やして、毎日飽きずにこの商品群を使っていただけるようなラインアップにしていきたいなと思っています。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

新型コロナウイルスの感染拡大は多くの感染者を生み、経済的にも大きな打撃をもたらしています。
また在宅勤務などリモートワークといったように働き方にも影響を及ぼしています。
同様にオンライン授業といったように学校の授業にも影響を及ぼしています。
例えば昨年4月に入学した大学生の中には、入学以来1年半ほど経った今日、クラスメートと直接会話をする機会はほとんど持っていないのではないかと危惧されます。
こうした状況はかつてなかったことだと思います。

さて、コロナ禍は私たちの食生活にも影響を及ぼしています。
政府による不要の外出を控えるようにという要請もあり、外食の機会が大幅に減り、自宅での食事、すなわち内食がその分増え、買い物の量が増えました。
そうした流れの中で、総菜などおかずをスーパーで購入する際、出来るだけまとめ買いを心掛けるようになりました。
そうすると賞味期限が出来るだけ長い食品をこれまで以上に選んで購入するようになりました。
こうした消費者の声に応えて、各食品メーカーは出来るだけ賞味期限の長い食品の開発に取り組むようになったというわけです。

こうした取り組みの流れはコロナ禍の終息後も変わらないと思います。
なぜならば、地球温暖化の阻止に向けて、持続可能な社会の実現が不可欠であり、賞味期限切れによる食品ロスは廃棄処分され、そのために多くのエネルギー消費につながるからです。
更に、食品の賞味期限が長くなることはこれまで不可能とされた食品の輸出も可能になり、新たな需要創出による売り上げ増を見込めるようになるからです。

ということで、コロナ禍で沢山の弊害がもたらされていますが、一方で否応なくライフスタイルの変化が起こり、それがコロナ禍後も定着するかたちで多少なりとも私たちのくらしが改善される可能性を秘めているのです。
ですから、コロナ禍を前向きに捉え、積極的にこれまでのライフスタイルを大変革させる千載一遇のチャンスと捉えることでコロナ禍後も見据えた成長戦略を確立させることが出来るのです。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています