2021年09月09日
アイデアよもやま話 No.5056 ワクチン接種後の「抗体」に差!
No.5046 ちょっと一休み その789 『集団免疫に必要なワクチン接種率は?』でどのくらいの人に接種すれば集団免疫を獲得出来るかについてお伝えしましたが、どうも国民の多くがワクチン接種を2回、あるいは3回済ませば、それで変異ウイルスの感染は収束するというものではなさそうです。
8月25日(水)放送の「あさチャン」(TBSテレビ)でワクチン接種後の「抗体」に差があることについて取り上げていたのでご紹介します。 

ワクチン接種が進む中で、2回接種後に感染するケース、“ブレイクスルー感染”が増えています。
医療機関の調査では、接種後も抗体がつくられない人や時間が経つと抗体が大幅に減ってしまう人など様々なケースがあることが分かりました。

8月24日、昭和大学病院(東京・品川区)に運ばれてきた50代の男性は新型コロナウイルスに感染し、別の病院で治療を受けていましたが、症状が悪化、人工心肺、ECMO
に対応しているこちらの病院に転院してきたのです。
同じ頃、別の部屋では70台の男性が治療を受けていました。
ワクチンを2回接種したのに感染してしまうブレイクスルー感染の患者です。
こちらの病院ではブレイクスルー感染の患者が先週末から2人増えて8人になりました。
中には重症の患者もいるといいます。
更に、昭和大学病院の相良博典病院長は次のようにおっしゃっています。
「医療従事者の中でもワクチンを2回接種して、その後で感染している医師も看護師もいるんですね。」
「10人ちょっとはいるんじゃないかと思います。」
「どこまで抗体が続いているのか、高く維持されているのかに関してはかなり注意しておかなければいけないと思います。」

感染対策を徹底している医療従事者にも起こるブレイクスルー感染に危機感が強まっています。
2回目の摂取を終えた後、体内の抗体はどうなっているのでしょうか。
こちらの医療機関ではワクチン効果も独自に調査しています。
相良病院長は次のようにおっしゃっています。
「こちら(インターパーク倉持呼吸器内科)が抗体検査の機械が置いてあるお部屋になります。」

中等症以下の患者を受け入れているこちらの医療機関、院内感染を防ぐため接種を終えた患者やスタッフに体内の抗体量を調べる抗体検査を定期的に行っています。
そんな中、相良病院長は次のようにおっしゃっています。
「40人ほどのスタッフがいるんですが、驚いたことに1名は全く抗体がつかなかったんですね。」
「感染予防効果がファイザー製とモデルナ社製が95%くらいといわれているんですけど、実際に最初は我々もワクチンを打てば当たり前に免疫がつくんであろうと思っていたんですね。」

接種後、1週間ぐらいから抗体が増えるというファイザー製ワクチン、スタッフがワクチンを5月頃に2回接種しましたが、およそ40人のうち1人に抗体が出来ていなかったといいます。
相良病院長は次のようにおっしゃっています。
「感染予防効果がファイザー製とモデルナ社製が95%くらいといわれているんですねど、実際に、最初は我々もワクチンを打てば当たり前に免疫がつくんであろうと思っていたんですね。」

こちらの医療機関は2回接種を終えた157人に抗体検査を実施、抗体があった人は150人、抗体がなかった人は7人でした。
95%の予防効果が期待されるワクチンで全体の5%ほどが効果が出なかったことが分かりました。
相良病院長は次のようにおっしゃっています。
「2500、2000とか高い抗体値がついている方々と、一方(抗体が)ゼロに近いような、ほとんどついていないような人たちもいて、でその間の方たちがいるということで、(抗体量は人によって)非常にバラツキが大きいということが分かると思うんですね。」

抗体があった人の中には接種から約2ヵ月が経過しても高い抗体量を持っている人もいました。
一方で、抗体があっても安心出来ない、こんなケースもあります。
相良病院長は次のようにおっしゃっています。
「抗体価がバッと出来てはダイナミックに減っていく。」

ある医療スタッフの抗体量を日付を追って調べたものですが、モデルナ社製ワクチンを2回接種から約1週間後は14960U/mlと十分な抗体量を記録しましたが、約2週間後は8912U/mlと6割ほどに、更に約1ヵ月後には5390U/mlと約3分の1に減ってしまったのです。
相良病院長は次のようにおっしゃっています。
「まだどのくらい抗体価が防御に寄与しているのかは今、調べている最中なんですね。」
「ワクチンだけでは100%の対策にはなりませんよと。」
「他の対策もやる必要がありますよと。」

一般的に新型コロナワクチンは時間とともに徐々に後退が減少していくとされています。
しかし人によって減少のスピードはかなり差があるのです。
この差がいったい何によって生まれるのかということですが、現時点でインターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長が調査した範囲では基礎疾患があり、免疫抑制剤などを飲んでいる人は抗体が出来にくい、飲酒量が多い人、肥満の人は抗体が出来にくいなどが分かっているようですが、あくまでも現時点では傾向ということになりますので、いろんな要素、データを集めることが必要だとされていました。
そのうえで倉持先生が指摘されるのが「3回目を含めたワクチン接種はこれらの結果を考えて、抗体検査の結果、抗体量の少ない人から効率的に接種すべき」ということです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

以前から実際にワクチン接種がどの程度新型コロナウイルスの感染防止、あるいは症状の軽減につながるのか気になっていましたが、番組を通してこの疑問に対する答えがある程度分かったので以下にまとめてみました。
・95%の予防効果が期待されるワクチンで全体の5%ほどが効果が出なかったことが判明した
・一般的にワクチンは時間とともに徐々に抗体が減少していくとされているが、人によって減少のスピードはかなり差がある
・またワクチン接種後、抗体があった人の中には接種から約2ヵ月が経過しても高い抗体量を持っている人もいるし、抗体があってもダイナミックに減っていくケースもあるし、更には抗体が全く出来ない人もいる
・その差の原因について、基礎疾患があったり、免疫抑制剤などを飲んでいる人は抗体が出来にくいとされているが、より正確な原因解明のためにはいろんな要素、データを集める必要がある
・なお、どのくらい抗体価が防御に寄与しているのかは今、調査中である
・従って、ワクチンだけでは100%の対策にならないので他の対策もやる必要がある
・こうした現状においては、2回目の接種後も抗体検査を定期的に実施し、抗体検査の結果、効率的に抗体量の少ない人から3回目を含めたワクチン接種をすべきである

こうしてまとめてみると、やはり国の新型コロナウイルスの感染対策は的確な対策が不十分な状態での緊急事態宣言の繰り返しで、十分な効果を出しているとは言えず、ピントの外れた対応と言わざるを得ません。
今後も新型コロナウイルスは変異ウイルスの登場により、よりきめ細かな対応が求められるのです。
そうしなければ、コロナ禍はいつまで経っても収束に向うことは期待出来ないのです。

ということで、ワクチン接種に係わる適切と思われる変異ウイルス対策について以下にまとめてみました。
・変異ウイルスの感染拡大が収まるまでワクチン接種を継続する
・その際、定期的に抗体検査を実施し、効率的に抗体量の少ない人から3回目を含めたその後のワクチン接種をする
・サンプル的にワクチン接種の有無や回数、抗体量の減少経過、感染の有無、症状のレベルなどのデータを記録して分析することにより、収束状況を把握する
・ワクチン接種による抗体量の有無、あるいは減少スピードの差の原因を特定し、ワクチンの改良につなげる

いずれにしても、現段階ではワクチンだけでは100%の変異ウイルス対策にはなり得ないので医療施設の拡充など他の対策も機動的に実施する必要があるのです。

 
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