2021年09月03日
アイデアよもやま話 No.5051 トヨタを追いつめるテスラの秘密兵器「ギガプレス」!
6月18日(金)付けネット記事(こちらを参照)でテスラの秘密兵器「ギガプレス」について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 
なお、日付は全て記事掲載時のものです。

天才イーロン・マスクが率いるテスラ(Tesla)が『ギガプレス(Giga Press)』という巨大マシンに多額の投資を行っていたことが明らかになりました。

テスラがスケールが大きなことをするのは、見慣れたことかもしれませんが、それでも全長20mの、このマシンの巨大さには目を見張るものがあります。

この『ギガプレス』は、史上もっとも強力なダイカストマシンです。ダイカスト(ダイキャスト)とは、金型に溶融した金属(溶湯)を圧入することにより高い寸法精度の鋳物を短時間に大量生産する仕組みのことです。製造コストが比較的安いことからおもちゃや家電を作る際に長らく使用されてきましたが、強度の高い素材を使えば自動車の車体をつくることも可能です。
テスラが大量導入を進めている『ギガプレス』は総重量400トンを超える巨大ダイカスト製造機で、輸送には20台以上のトラックが必要になるという規格外のモンスターマシンとなっています。

さて、テスラは『ギガプレス』で一体何を製造しているのでしょうか?それは、自動車のシャーシです。トヨタやGMなどの一般的な自動車メーカーが100以上の部品を組み立てて構成するシャシーをテスラはダイカスト製造によりわずか3つの部品で完成させてしまいます。

これは強度アップや重量減に役立つだけでなく、作業の大幅なスピードアップや人件費の削減に役立ちます。テスラが特別に開発したというアルミ合金を『ギガプレス』で成型することで、わずか100秒で1つのパーツが組み上がるとのこと。
フリーモント工場に設置されたまだ調整中のギガプレスでさえ既に200秒以下で1つの部品を完成させているそうです。

また『ギガプレス』のサイズからは意外かもしれませんが、メンテナンスコストも同等製造能力を持つ工場ラインに比べれば安価とのこと。
旧来の自動車部品のサプライチェーンは非常に長く複雑でさまざまな場所で100個以上の部品を製造し、品質を監視しながら組み立て工場に輸送しています。それと比べれば1つの場所、1つの作業で部品を完成させてしまう『ギガプレス』を使えばシャーシの製造コストは約40%低下させられます。これはとてつもない技術革新(イノベーション)です。
トヨタやGMなどの旧来型の企業には雇用を守るという使命が課されていますが、追う立場で比較的人数が少ないテスラは無人化がしやすいという強みもあります。
イーロン・マスク氏は「25,000ドル(約275万円)の電動自動車を発売したい」と意気込みを語ってきましたが、『ギガプレス』はそれを実現する秘密兵器に他なりません。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

テスラは既存の自動車メーカーとは全く異なる視点からEVの研究・開発に着手し、独自のEVを世に出しました。
そして、瞬く間に世界的なEVメーカーに上り詰め、今やその時価総額はトヨタの2倍以上に達しています。(参照:No.4854 ちょっと一休み その757 『 テスラの株式時価総額がトヨタの2倍以上に』
そして、当初は世界の富裕層をターゲットに高級なEVを生産・販売していましたが、モデル3でアッパーミドル層をもターゲットに取り込みました。
更に、以前、テスラは、中国・上海の工場で2万5000ドル(約273万円)の電気自動車を開発中とお伝えしましたが(参照:アイデアよもやま話 No.5023 中国発の約48万円の超小型EV!)、低価格化を可能にした背景には『ギガプレス』という秘密兵器もあったというわけです。

更に、アイデアよもやま話 No.4739 テスラのイーロン・マスクCEOの野望!でもお伝えしたように、テスラのマスクCEOは起業当初から『インターネット』、『持続可能なエネルギー』、『惑星間移住』という3つのテーマを掲げ、それぞれのテーマを同時進行で取り組んでいます。
そして、EVはあくまで『持続可能なエネルギー』社会実現の手段の一つにすぎないと考えているのです。

ということで、この記事のタイトルにもあるように、こうしたテスラの既存の自動車メーカーにはない発想でのクルマづくりは今後ともトヨタに限らず、既存メーカーにとってかなりの脅威になると思われます。

 
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