2021年08月02日
アイデアよもやま話 No.5023 中国発の約48万円の超小型EV!
4月9日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で中国発の約48万円の超小型EVについて取り上げていたのでご紹介します。 

ベトナムにほど近い中国の広西チワン族自治区、この町に家族3人で暮らす主婦の凌さんは最近2代目に小型EVを購入しました。
凌さんは次のようにおっしゃっています。
「小さくても4人乗り、子どもや友達もみんな座れる。」
「省エネでお金も節約出来る。」

実はこのクルマ、4人乗りですが、全長は日本の軽自動車の規格よりも50cmほど短い2.9mです。
「宏光(ホンガン)ミニEV」、昨年7月の発売以来、若者や女性に大ヒットし、20万台を販売、テスラを抜き、中国で今最も売れているEV(電気自動車)です。
人気の秘密は約48万円からという格安価格です。
その実力ですが、液晶パネルにオーディオはスマホに接続可能、滑り出しはスムーズで加速も日常的に使うクルマとしては全く不足がないといいます。

では、どのように格安価格を実現したのでしょうか。
このミニEVを開発した上汽通用五菱(ウーリン自動車)の新エネルギー車CTO、趙亮さんは次のようにおっしゃっています。
「日本の軽自動車のデータを使い、(耐久性などを)詳しく研究しました。」

手掛けたウーリン自動車は1980年代から日本の軽自動車を徹底的に研究し、小型車の開発・生産を続けてきました。
この格安ミニEVにもそのノウハウを注入したといいます。
更に趙さんは次のようにおっしゃっています。
「ユーザーの使い方を市場調査し、複雑な要素を捨ててシンプルにしました。」
「航続距離の長いバッテリーではなく、安価な短距離向けのバッテリーを採用しました。」

フル充電で120km、短距離移動の需要を狙っています。
急速充電をあえて省くことで手軽な価格を実現、そして海外進出へ動き出しています。
上汽通用五菱のマーケティング責任者、張益勤さんは次のようにおっしゃっています。
「日本や欧州へ輸出するプロジェクトが始動しています。」

まだ世界でEVのシェアは全自動車のわずか3%ほどですが、今後小型化と低価格化がカギになりそうです。
解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川龍雄さんは次のようにおっしゃっています。
「購入する時の安さを実感するかどうかというのは中国みたいにドンと補助金を付けるとか、そういうことも日本政府は考えていかないと難しいかなと思います。」
「ただ、EVというのは意外に居住性能がいいとか、最近はデザイナーが(EVは)デザイン性が高いと言って、むしろEVをデザインしたいという人が多いんですよ。」
「だから、そういうことまで考えると、やはりEVシフトが進んでいくんじゃないかなと感じますね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

また5月12日(水)付けネット記事(こちらを参照)、および6月23日(水)付けネット記事(こちらを参照)でも同様のテーマで最新状況について取り上げていたので併せてその一部をご紹介します。

・この小型EV(「宏光ミニEV」)は2020年7月、ゼネラルモーターズ(GM)と、五菱集団(現:広西汽車集団)、上海汽車集団 (SAICモーター)による合弁会社、上汽通用五菱汽車から発売されました。
・全長2920mm×全幅1493mm×全高1621mmの小さなボディが特徴で、荷台の容量は約760リットルで、フィアット500とほぼ同じ。後部座席を倒すとベビーカーや小型スーツケース2個が収まるといいます。
・バッテリー容量は9.2kWh(航続距離120km)と13.8kWh(航続距離170km)の2種類が選択可能です。モーター出力は72馬力となっており、最高速度は100km/hにまで達します。
・2020年8月に販売が始まったばかりですが、2020年の累計販売台数は4か月強で11万9255台を記録。中国市場のみならず、全世界でもテスラ モデル3に次いで2番目に多く売れた電気自動車となりました。
・さらに2021年1月には中国国内で2万5778台を販売し、中国製モデル3の1万3843台に1万2000台近い差をつけて、中国でもっとも売れた電気自動車の称号を手に入れました。
・この人気の高さは、小型ミニバンの宏光同様に価格の安さにあります。3つのグレードが用意され、それぞれ2万8800元(約46万5000円)、3万2800元(約53万円)、3万8800元(約62万7000円)となっています。
・テスラは、中国の激安EV市場に参入する計画は表明していないが、上海の工場で2万5000ドル(約273万円)の電気自動車を開発中です。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

今や日本の軽自動車はエアコンなどはほとんど標準装備されていると思いますが、価格はざっと100万円を超えます。
それに対して、「宏光ミニEV」のベースモデル価格は約46万円、最高グレードモデルでも63万円近くといいます。
それにしても50万円以下のEVが登場してきたという事実は衝撃的です。
このEVの開発を手掛けたウーリン自動車は1980年代から日本の軽自動車を徹底的に研究し、ユーザーの使い方を市場調査した結果を反映させて「宏光ミニEV」を市販化したのです。
フル充電での航続距離はベースモデルでも120kmといい、EVにはガソリン車に比べて燃料代が安く、走行時の静かさといったメリットもあります。
更に最高グレードモデルでは170kmといいますから、長距離ドライブにも耐えられます。
ただし、難点は急速充電が使えないことです。
それでも、この価格で日本でも発売されれば、特にほとんど街乗りでしかクルマに乗らないようなオーナーからの引き合いがかなり期待出来そうです。
しかも国内においては軽自動車の販売台数の割合が多いので、今後とも「宏光ミニEV」のような低価格の超小型EVが続々と登場してくると見込まれます。

なお、1月20日(水)付けネットニュース(こちらを参照)によれば、新車販売全体に占める軽自動車の割合は37%で10台中ほぼ4台が軽自動車という状態であります(2020年)。

更に最近はクルマを持たず、必要に応じてクルマをレンタルするというユーザーが増えているといい、よく「わ」ナンバーのクルマを見かけることが多くなりました。
ですから、価格が約48万円のEVであれば、そうした料金も一段と安くなることからEVの普及に拍車がかかると見込まれます。

一方、テスラも約273万円のEVを開発中といいますから、これまでEVはガソリン車に比べて価格が高いといったEVの普及に向けた高いハードルがかなり低くなりつつあるということで、「宏光ミニEV」の登場、そしてテスラの低価格車モデルの登場は世界的なEV普及の起爆剤になるのではないかと思われます。

 
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