2021年07月27日
アイデアよもやま話 No.5018 DXで成功を収める中国の大手保険会社!
3月21日(日)付けネット記事(こちらの一部を参照)でDXで成功を収める中国の大手保険会社について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

・日本の製造業は、モノを作り、売ることで完結しているので、独自経済圏の開発意欲はほとんどありません。しかし、顧客接点を作らないと生き残れないという危機感で取り組んだ企業が中国にはあります。それが「平安保険」です。製造業というよりは金融業ですが、変化を求められて対応したそのプロセスは製造業に参考になるので紹介しましょう。
・生命保険は契約が終われば、次に顧客と接点を持つのは随分先。顧客が亡くなった時ということもあります。それではもったいないと考えた平安保険は、顧客データを使って彼らの生活圏に進出するビジネスモデルを作りました。
・平安保険は、アプリを使って、金融、保険、銀行、投資という金融機能を中核に、医療、飲食、住居、移動、娯楽のデジタルサービスを張り巡らせていった。これをファイナンシャル・エコシステムと呼びます。
・エコシステムの一つである「グッドドクター」は、ユーザーがなんと3億人もいます。サービスも洗練されていて病院の予約をしたり、オンライン診療を提供している。病院に大行列ができる中国では需要が爆発しています。
・さらに日本でいうところの健康寿命の取り組みに対して、ポイントがもらえる。毎日、一定の歩数を歩いたり、スポーツをしたりと健康的な生活をしている人には、ポイントが付加されて、ECサイトでモノが買える仕組みです。
・「病院にかかるために長時間、待たなければならない」という社会課題から顧客需要を発見して、保険契約者以外にまで「グッドドクター」のユーザーを広げていった。その結果、まだ保険の未加入のユーザーに対しても保険を販売するチャネルまで手に入れた。グッドドクターのサービスが利便性が高く、優れているので、このサービスを受けると保険が頭に浮かんだ時に、「だったら平安で」となるわけです。
・しかも、エコシステムの中には良質な顧客の健康情報がある。例えばガンの診察を受けているとか、ヘルスケアにどの程度、関心があるかなど、リアルタイムに蓄積されるユーザーの行動データに基づいて保険の提案ができる。だから成約率が圧倒的に高くて、営業効率が抜群に向上しています。
・こうして、もともと大企業だった平安保険はさらなる飛躍を遂げている。同社の時価総額は2020年の世界ランキングで35位でした。そんな大きな会社が2019年には39%も純利益を増やしました。
・すでに大企業になっていた平安保険が危機感からエコシステムを開発して成功したことを考えれば、企業の大小にかかわらず、世界の企業はサービス提供を起点に、競争が激しくなることは目に見えています。
・「顧客の行動データ」×「ユーザーエクスペリエンス」が時代の潮流だと考えた時、日本の製造業のデジタルトランスフォーメーションのためには、平安保険の事例は最も理解しやすい成功例なのです。

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

日本でもデジタル化、あるいはDX(デジタルトランスフォーメーション)がこれからの企業、あるいは政府を中心とする自治体のサービスのあり方を追求するうえでのキーワードになっています。
コロナ禍における在宅勤務、あるいはリモートワークの普及もその一環と言えます。

しかし、単なるデジタル化とDXとでは次元が異なり、“似て非なるもの”なのです。
何でもかんでもひたすらデジタル化に走ってしまっては、返って効率を落としてしまう結果をもたらします。
一方、DXとは文字通りデジタル化を最大限に活用したビジネス変革であり、従って業務プロセスやサービスのあり方を根本から見直し、あるべきサービスやプロセスを定義し直し、それを支えるアプリケーションシステム、およびデータの観点から最適な組み合わせを模索して実現させる一連の壮大な取り組みであると私は思うのです。

こうした観点からみると、今回ご紹介した中国の大手保険会社、平安保険のDXへの取り組み、そしてその成果は成功事例として大いに参考になると思われます。
このような成功事例に接すると、一部の中国企業の活躍は日本企業にとって侮れない存在であると実感させられます。
記事でも指摘しているように、単なるモノづくりからサービスへと脱却しなければ企業の存続は危ういのです。

なお、DXの定義からすると、DXは企業を取り巻く環境の変化、あるいはITテクノロジーの進化と共に絶え間なく取り組んでいくべきものなのです。
ですから、一旦DXを完了させたらそれでおしまいと思ったら大間違いなのです。
また政府や地方自治体などのDXへの取り組みも例外ではないのです。

どんな組織においてもDXに真剣に取り組むことこそ、これから将来にわたって最も重視すべきものであると思うのです。

 
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