2021年07月20日
アイデアよもやま話 No.5012 海外で進むワクチンの「交差接種」!
6月30日(水)、および7月2日(金)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で海外で進む新型コロナウイルスのワクチンの「交差接種」による免疫力強化について取り上げていたのでご紹介します。

海外で特にヨーロッパを中心にアストラゼネカ製のワクチンを使って1回目と2回目で違うワクチンを接種する「交差接種」が実施されています。
そしてワクチン不足が起きている韓国でもその対策として今月に1回目にアストラゼネカ製を接種して2回目にファイザーを接種するという「交差接種」を行う予定になっています。

イギリスのオックスフォード大学などの研究チームがアストラゼネカ製とファイザー製を4週間間隔で「交差接種」した場合の免疫効果について調べました。(調査対象:50歳以上の830人)
その結果、ウイルスの侵入を防いでくれる抗体反応の高さについて、1回目と2回目の組み合わせは以下の通りです。(上から高い順)
(1回目)   (2回目)
ファイザー   ファイザー
アストラゼネカ ファイザー
ファイザー   アストラゼネカ
アストラゼネカ アストラゼネカ

勿論、この4通り、どの組み合わせでも十分有効性は高いということでした。

次に免疫効果を見ていきたいのがT細胞です。
ウイルスが体内に侵入して細胞自体がウイルスに感染してしまった場合、この細胞ごと攻撃してくれ、破壊してくれるT細胞と呼ばれるものの反応の高さについて、1回目と2回目の組み合わせは以下の通りです。(上から高い順)
(1回目)   (2回目)
アストラゼネカ ファイザー
ファイザー   アストラゼネカ
ファイザー   ファイザー
アストラゼネカ アストラゼネカ

こうした結果から分かるのは、同じワクチンを2回接種するよりも「交差接種」した方がT細胞の反応が高くなるということです。
また、2種類のうち、アストラゼネカ製を先に接種した時の方が高い抗体の数値が得られたとしています。
研究チームでは接種の間隔を広げると更に効果が高い可能性があるとしています。

では日本でこの「交差接種」が導入されるのかですが、加藤官房長官は6月29日に次のようにおっしゃっています。
「有効性・安全性に関するデータは得られていない。」
「積極的に推奨する状況にない。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

また、6月30日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)では以下の内容についても取り上げていたのでご紹介します。

イギリスでは南アフリカで最初に確認された新型コロナウイルスのベータ株に対応した新ワクチンの臨床試験が始まりました。
アストラゼネカ社とイギリスのオックスフォード大学が共同開発したワクチンはいわゆる南アフリカ型の変異ウイルスであるベータ株に対しては効き目がかなり弱くなることが確認されています。
こうした中、オックスフォード大学は6月28日にベータ株に対応した新たなワクチンの臨床試験を開始したと発表しました。
このワクチンは既に使用されているワクチンと同じ技術を使いつつ、ベータ株に対応するように変更して作られたもので、臨床試験では通常の2回接種だけではなく既にワクチンを2回接種した人に追加接種する方法なども試されます。
年内に最初のデータが出き次第、ワクチン規制当局に提出され、承認手続きが始まるということです。

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組を通して、まず思い起こされたのはこれまで何度となくお伝えしてきた、アイデアにおける以下の基本的な2つの考え方です。
アイデアは存在し、見つけるものである。
アイデアは既存の要素の組み合わせである。

考えてみれば、私たちは病気にかかると、症状によっては何種類もの薬を飲んでいますが、これもアイデアの視点から見ると、それぞれ異なる効能のある薬の組み合わせによって最大限の治療効果を引き出そうとしているのです。

さて、多くのワクチンは2回の接種により有効性が高まり、他のワクチンとの組み合わせにより更に有効性が高まるといいます。
そして、摂取する順番を変えることにより更に有効性が高まるというのです。
また、既存のワクチンを接種した場合の有効性の研究を進めている研究者もいるといいます。
そして治療薬についてもこうした動きはあるといいます。
ということで、ワクチンや治療薬の研究開発はアイデアにおける基本的な2つの考え方に則って進められているのです。

さて、新型コロナウイルスを巡っては、今後とも変異ウイルスの感染拡大とともに感染力のより強力な新たな変異ウイルスが次々に生まれてきて、コロナウイルスとの闘いが続くと思われます。
こうした中、大きな課題として立ちふさがっているのがワクチンや治療薬の治験に必要な人の確保です。
この課題解決においては、研究者の方々にAIを駆使して何とか短期間に治験をクリアする方法を発見していただきたいと思います。

 
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