2021年07月07日
アイデアよもやま話 No.5001 超薄型の太陽電池!
6月24日(月)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で超薄型の太陽電池(太陽光発電)について取り上げていたのでご紹介します。

番組では以下の“街ナカ発電”を取り上げていました。
・ブランコをこいで発電し、その電力でスマホを充電(千葉県柏市)
・人が歩行した際に発生する振動で発電(ShinQs 発電床)(渋谷ヒカリエ)
・太陽電池

中でも右肩上がりで増え続けているのが太陽電池で、全国の戸建て住宅の約1割で導入されています。
そうした中、桐蔭横浜大学(横浜市青葉区)の宮坂力特任教授は画期的な太陽電池を開発し、なんとノーベル賞候補にも上がっています。
宮坂さんは次のようにおっしゃっています。
「私が研究しているのは超薄型の太陽電池です。」

その名もペロブスカイト太陽電池で、黒色の部分がその新素材で薄さはわずか0.0005mmです。
シリコンで作られている一般的な太陽電池の厚さは約0.2mmですが、比べてみるとなんと2000分の1の薄さ、重さも20分の1です。
ペロブスカイトは鉛、ヨウ素、アンモニアなど、簡単に手に入るものを特殊な技術で合成させて結晶化させたものです。
その溶液を薄く均等にするために溶液を高速で回転させて乾燥させれば出来上がりです。
宮坂教授は次のようにおっしゃっています。
「既存の窓、窓の表面とかビル、ビルは屋上よりも壁が相当面積があるんですよ。」

屋根だけでなく、建物の壁や窓にも取り付けることが出来るため、この新素材を使えば家庭の電気料金を約30%カットすることが出来るといいます。

なお、この新素材は軽くて曲げることが出来るため、かたちを変幻自在に変えることが出来ます。
宮坂教授は次のようにおっしゃっています。
「曲がった面にも貼れますし、一番期待したいのはクルマですね。」

例えば凹凸のあるクルマのボディ全てに貼ることが出来、EVなら4分の1の電力を賄うことが出来るといいます。
また、丸みを帯びたドーム状の建お物全てに貼ることも出来、ドーム全体で発電出来るようになるそうです。

宮坂教授の発明は実用化に向けて動き始めています。
理化学研究所の福田憲二郎専任研究員は次のようにおっしゃっています。
「(ペロブスカイト太陽電池の)厚さは全部合わせて0.003mm(髪の毛の10分の1)、世界で一番薄い(有機)太陽電池を開発しております。」

この技術は洋服にも活用出来るといいます。
福田さんは次のようにおっしゃっています。
「スマホみたいなものを充電する、そういったシステム、発電する服を作りたい。」
「高い熱を加えても壊れないとか、水に付けても壊れない。」
「こういった耐水性、耐熱性を実現することに成功いたしました。」

更に京都大学 化学研究所での取り組みについて、若宮淳志教授は次のようにおっしゃっています。
「災害のテントで発電して充電出来ればいいなという考えで・・・」

災害時にテントに張れば、30台のスマホをわずか2時間でフル充電することが出来るといいます。
若宮教授は次のようにおっしゃっています。
「将来的にはホームセンターなどで、ロールで安いフィルムの太陽電池を売っているような時代が来れば、世の中のエネルギーは変わるんじゃないかなと期待しています。」

番組コメンテーターでフォーサイト元編集長の堤伸輔さんは次のようにおっしゃっています。
「これ世界の電力事情を変えるだけではなくて、結局自然エネルギーですからCO2排出量をうんと下げることが出来るので、言わば温暖化から地球を救うことにもつながる。」
「是非、例えば建物とかそういうものに全面的に使えるように開発を進めて欲しいなと思いますね。」

更に宇宙でも使うこと、例えば人工衛星などに使えることも目指していて、研究が続けられているということです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

今回ご紹介したペロブスカイト太陽電池と呼ばれる超薄型の太陽電池について、その特徴を以下にまとめてみました。
・使われている新素材の薄さはわずか0.0005mmである(シリコン製の一般的な太陽電池の厚さに比べて2000分の1の薄さ、重さも20分の1)
・ペロブスカイトは鉛、ヨウ素、アンモニアなど、簡単に手に入るものを特殊な技術で合成させて結晶化させたものである
・屋根だけでなく、建物の壁や窓にも取り付けることが出来る
・そのため、この新素材を使えば家庭の電気料金を約30%カットすることが出来るという
・この新素材は軽くて曲げることが出来るのでクルマのボディやドーム状の建物など曲がった面にも貼ることが出来る
・従って、環境に悪影響のあるメガソーラーを不要にする可能性を秘めている
・更に、耐水性や耐熱性もあり、発電する服や発電するテントにも応用出来る
・新たな宇宙太陽電池としても活用出来る(参照:アイデアよもやま話 No.3067 最先端の宇宙太陽光発電技術!
・この新素材は世界の電力事情を変えるだけでなく、CO2排出量の削減にも貢献出来る

なお、この超薄型の太陽電池の特に優れているところは屋根だけでなくどこでも設置出来ることです。
いつ実用化される見込みなのかは分かりませんが、再生可能エネルギー発電の一角を担う存在になる可能性を秘めていると思われます。

ということで、前々回ご紹介した3Ⅾプリント住宅と前回ご紹介した画期的断熱材、そして今回ご紹介した超薄型の太陽電池の技術を組み合わせた住宅に限らず様々な建物、更にはクルマなどに適用して普及させれば持続可能な社会に向けて一歩も二歩も前進することが出来そうです。

 
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