2021年05月11日
アイデアよもやま話 No.4952 気になる今後の米中関係!

1月21日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で気になる今後の米中関係について取り上げていたのでご紹介します。 

 

バイデン新政権の米中対策、米中の関係がこれからどうなっていくのかについて、番組コメンテーターでピクテ投信投資顧問 シニア・フェローの市川 眞一さんは次のようにおっしゃっています。

「これは技術の分野ではないかと思うんですね。」

「OECDによりますと、企業のIT部門の研究開発費は、通貨を調整すると2017年にもうアメリカと中国は並んだんですね。」

「とは言いましても、中国の企業は多くが国営ですから国を挙げて技術開発をしていると。」

「で、バイデン新政権はトランプ前大統領以上に中国の台頭に危機感を持っているのではないかと私は思っておりまして、特に中国にデジタル技術を渡さない、そして中国のデジタル技術を使わない、この方針を徹底してくるのではないかと。」

「更にトランプ前大統領が興味を示していなかった人権安全保障といったようなところも重視をしていくのではないかと思いますね。」

 

「(中国の強さについてはこの先も続くとみているかという問いに対して、)実は弱点が一つありまして、これは国連の人口推移を見てみますと、中国の人口は2030年以降に急速な減少と高齢化の時代を迎えるんですね。」

「これ、一人っ子政策のツケが回っていくわけなんですけども。」

「アメリカはそこまでの間に中国の台頭を抑え込めれば、この覇権戦争に勝てるという、そういう読みなんじゃないでしょうかね。」

「で、一方中国は逆にそれまでに技術力でアメリカを凌駕することによって覇権戦争に勝ちたい。」

「ここから先は周辺国を巻き込んだアメリカと中国の覇権争いはいよいよ本格化してくるなと、そういう感じがしております。」

「(日本は必ずこの覇権争いに巻き込まれることになるのではという問いに対して、)そうですね。」

「どういうスタンスになるかといったところが非常に日本にとって難しいところだと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

市川さんの指摘されている、中国の人口は2030年以降に急速な減少と高齢化の時代を迎えるということで、2030年、すなわち今後10年が米中覇権争いの重要なポイントになるという解釈はなるほどと思われます。

 

習近平国家主席は主席に就任以来、大変な勢い、スピードで経済、軍事の面でアメリカを追い上げており、OECDによると、企業のIT部門の研究開発費は2017年に中国はアメリカと並んだといいます。

 

そもそも中国は欧米を中心とした自由主義陣営の国々が築いてきた国際的な枠組みを壊して、中国に有利な枠組みに再構築するという狙いを持っているといいます。

ですから、国連における中国の影響力の増大(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.666 『国連の専門機関の支配権を強める中国!』)や一対一路、そして南シナ海、あるいは東シナ海への進出などといった一連の政策は全てこうした狙いを実現するためのステップと言えます。

そして、“アメリカに追いつき、追い越せ”というスローガンはこうした一連の流れの中で最重要であるという認識を習近平国家主席は持っていると思われます。

 

一方、アメリカはこうした中国の勢い、台頭について相当な危機感を持ってきており、バイデン新政権が本腰を入れて対中政策に取り組む体制を整えつつあるというのが現状だと思われます。

 

では日本の立場ですが、当然日本一国だけで経済的にも軍事的にも中国に立ち向かうことは出来ません。

また、自由、あるいは人権の尊重を重んじる日本が共産党による一党独裁政権で、自由や人権を軽んじる中国の影響を強く受けるような事態になることは絶対に避けなければなりません。

 

となると、やはり日本は欧米各国やインド、オーストラリア、あるいは東南アジア諸国などの途上国と歩調を合わせて、中国の脅威に立ち向かうことがとても重要です。

その際、拠り所とすべきは、以前にもお伝えしたように国際的な取り決め(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.664 『覇権国家の横暴を許さない仕組み作りの必要性!』)です。

単にアメリカの対応に追随するのではなく、国際的な取り決めをベースとした確固たる価値観で日本独自の発信力で“法治”に基づく外交に取り組むことが自由、あるいは人権の尊重を守り抜くうえでとても重要だと思うのです。

 

世界中の一人一人が自由にものが言えない、あるいは人権が無視されるような社会は絶対に阻止しなければならないのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています