2021年04月23日
アイデアよもやま話 No.4937 ”補償無し”で苦しむ非正規社員とその対応策!

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、個人向けの支援策として休業支援金や給付金が取りざたされています。

そうした中、1月8日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”補償無し”で苦しむ非正規社員とその対応策について取り上げていたのでご紹介します。 

 

政府の新型コロナ感染症の対策分科会メンバーで、東京財団政策研究所 研究主幹の小林敬一郎さんは次のようにおっしゃっています。

「(分科会の中で、これまで緊急事態宣言が出た時に補償をどうするかという議論についてなされていたのかという問いに対して、)そういう具体的な補償についての議論はもう少し後でやろうというような考え方になっていたので、まだそこに至ってない段階で急激に突貫工事で議論が進んでいったという感じなんです。」

「ですから十分に少なくとも分科会の我々の中では補償の問題は議論する時間がなかったという感覚を持っていますね。」

「(そうすると政府から出た案だということなのかという指摘に対して、)はい、そうです。」

「(今回出された支援制度(*)の評価について、)いろいろ出てきていますけども、特に飲食店の営業時間の短縮に関連して、サプライチェーンでつながっている仕入れ業者とか農家のみなさんとか、関連業界に対する支援が不十分かもしれないとか、非正規のアルバイトの方たちに対する支援が十分ではないので、不公平な感じがあるということ、それをどうするのかということですね。」

「(給付金などが企業から支払われないし、国からも救済措置がないという状況について、)本来は企業が払うべき義務があって、補償金の休業補償を受け取る権利があるはずなんですけれど、ちょっとうまくそういう制度が運用されてないんじゃないかという気がしますね。」

 

「(非正規の社員の方が弱い立場になっている、そういった方にもどうにか支援が出来ないか、何か考えて方策はあるのかという問いに対して、)私は個人の立場の弱い人に対しての支援として、所得連動型の現金給付制度を提案しておりまして、これは要するに生活困窮した人が税務署などに申請すれば、最低限の生活を補償するために月々10万円とか15万円を生活保護と同じようなレベルの給付金を毎月受け取れるというようにして、事前審査なしで迅速に支払うと。」

「事前審査は時間がかかりますから、それをやらずに支払う。」

「その代わり、年末の確定申告、納税の時に合わせて、もし所得が高かったということが分かったら、給付金は上乗せ課税として返していただくと。」

「所得が本当に低かった人からは返してもらわないというふうにして、そこで公平性を保とうと、そういう考え方なんです。」

「(実際にこの案は今皆さんに提案しているのかという問いに対して、)いろんなところで提案しているんですけど、ちょっと政府や公的な議案の中には載っていない。」

「ただ、オーストラリアの大学の学生ローンでこういう仕組みが既にあるので、前例としては世界の中では似たような制度が行われているということは強調したいと思いますけどね。」

 

   主な支援制度

企業向け:

 持続化給付金(300万円)

 家賃(100万円6ヵ月)

 雇用調整助成金(大企業も助成率10割)

 飲食店に協力金(1

店舗6万円)

個人向け:

 休業支援金・給付金(賃金の8割)

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも非正規社員の割合ですが、男性22.3%、女性56.4%といいます。(2020年公開版)

ですから、特に女性の場合は従業員の半分以上は非正規社員であるにも係わらず、小林さんの指摘されているように、支援が十分でなく、不公平感があるというのはうなずけます。

そして、男女の自殺者数のトレンドでも女性の増加率が男性を上回っているところもこうした状況が影響を与えていると見られています。

 

さて、小林さんが提案されている所得連動型の現金給付制度はこうした方々への対応策としてとても良いアイデアだと思います。

しかもオーストラリアの大学の学生ローンでこういう仕組みが既にあるといいますから、こうした取り組みを参考にして日本の政府も早急に検討していただきたいと思います。

 

なお、こうした迅速な支援策をいざ実施しようとすると、IT による支援、すなわちデジタル化が必須となります。

なぜならば、デジタル化無しにタイムリーな現金給付は出来ないからです。

しかも人手による作業では人件費がかかるだけでなく、他の日常業務への影響も当然出てきます。

 

こうしてみると、以前にもお伝えしましたが、マイナンバー制度をスタートした2015年の段階で、災害時などの給付金のタイムリーな送金など、いろいろなメリットを国民に分かり易く説明し、全国民の個人情報をデジタル化しておけば、政府によるコロナ禍対策のいくつかはスムーズに進められたと思うのでとても残念に思います。

やはり時の政権には、先見性や決断力、そして強烈な実行力の必要性をとても感じます。

そういう意味で、日本のこれまでの政治は日本をデジタル化後進国に追いやったと言わざるを得ません。

その責任はとても重いと思います。

 

ということで、遅ればせながらですが、菅政権にはスピード感を持って単なるデジタル化ではないDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいただきたいと思います。


 
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