昨年12月21日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で視覚障害者を支えるカメラについて取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。
初めてクッキリと見えた、その感動を企業の技術が支えていました。
カメラを手にする男性、視覚障害を持つ秋葉茂さんは子どもの頃から目が不自由です。
近い距離で番組記者を見てもらうと、メガネをかけているか分からない、シルエットは分かるぐらいといいます。
秋葉さんが持っていたカメラは、市販のカメラのファインダーに特殊な部品を装着したものです。
そこに表示されている小さな白い点を覗きこんでみると、映像が浮かび上がってきます。
これは網膜にレーザー光で直接映像を当てる技術です。
目の一部に障害があっても、クッキリと見えるといいます。
秋葉さんは次のようにおっしゃっています。
「本当に感動なんです。」
「見えていることの素晴らしさ、(他の人は)こういう見えている景色を日常的に見ているんだなという、僕も同じ体験が出来てうれしいなという反面、うらやましいなって思いました。」
12月6日、このカメラを持って神奈川県の逗子海岸に出かけた秋葉さん、通りかかった男性に声をかけてカメラで撮らせてもらい、次のようにおっしゃっています。
「いい笑顔だと思います。」
「僕が声をかけて、こういう表情をしてくれているんだって分かるからすごく安心感があります。」
「雲のかたちっていうのが、僕は見たことがなかったので、季節によって雲のかたちって変わるという話は聞いていたので、そういうのを撮ってみたかった。」
「(このカメラを持って次に行きたい場所について、)僕、星を見たいんですね。」
「生まれてから星って見たことがなくて、「星に願いを」って言われても、多分願いを伝えられなかったと思うんですけど、そういう自然のものを見たいです。」
このカメラを開発したのが、ベンチャー企業、株式会社QDレーザ(神奈川県川崎市)の菅原充社長です。
試作段階ですが、2年以内の商品化を目指します。
菅原さんは次のようにおっしゃっています。
「日常的に使ってもらえるような素晴らしい製品にして、使っていただきたいと思います。」
「星を見ていただいて、海を見ていただいて、雲を見ていいただいて、やってきたことが間違いでなかったんだとすごく思いました。」
視力がメガネなどで矯正しても0.05以上0.3未満という方が日本に145万人、世界では2億5000万人いると言われているそうです。
多くの方に役立つ技術だということです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
目の不自由を感じない人たちは目が見えて当然ということで、当たり前に周りの人や景色を見ることが出来ます。
私などはコロナ禍でほとんどの人がマスク着用になり、コロナ禍前は顔全体が見えていたので、顔の表情がはっきりと見えましたが、マスクの着用により、顔の表情が見えなくなっただけでもフラストぎみになっております。
一方、視覚障害の方々は健常者にとっては当たり前に見えるものが見えないというのは何とか出来ないものかという思いになります。
そもそも世界中の視覚障害者の割合が3%程度という現実に驚きです。
こうした方々が秋葉さんと同様の思いで暮らしているのです。
そうした中、今回ご紹介したカメラをQDレーザは2年以内の商品化を目指すといいますが、世界中の多くの視覚障害の方々は待ち望んでいると思います。
さて、ここまで書いてきて、視覚障害者にとってはこうしたカメラよりもメガネの方を望んでいるのではと思ったところで、思い出しました。
実は、QDレーザについては、過去に2回、このブログで取り上げていたのです。(参照:アイデアよもやま話 No.4150 視力に関係なく見えるメガネ!、アイデアよもやま話 No.4341 網膜投影による画期的なメガネ!)
そして、メガネについては商品名「RETISSA Display」で価格が59万8000円(税抜き)で既に2018年10月18日から発売中なのです。
ただ、このメガネは高価格ということで、より低価格でのカメラでの実用化を目指していると思われます。
しかし、やはり視覚障害者にとっては、カメラよりメガネです。
メガネがあれば、わざわざ視覚障害者用のカメラを作らなくてもいいのですから。
ということで、視覚障害者は世界中に2億5000万人ほどいらっしゃるというのですから、世界各国からクラウドファンディングなどで開発資金を集めて、せめて10万円程度の価格で視覚障害者用のメガネを市販化出来ないものかと思います。
日本にも145万人程度の視覚障害者がいらっしゃるというのですから、もしこれらの方々が日常生活に問題のない程度まで視力が矯正されれば、人手不足と言われる中で、新たな解決策の一つとなり得ます。
ですから、国としてもこうした観点からこのメガネの開発補助金を提供することを検討する価値は大いにあると思います。
いつかこうした5万円程度の低価格のメガネが市販化されれば、世界中の2億人程度の視覚障害者が普通の暮らしが出来るようになり、世界の視野がグンと広がるのです。
更に、こうした成果はこれまで視覚障害者だった方々が健常者と同様に働けるようになるのですから、人手不足の解消にもつながると期待出来るのです。
同時に、こうしたメガネの研究・開発に係わる皆さんのモチベーションはとても高く、とてもやりがいを感じているのではないかと思われます。