2021年04月09日
アイデアよもやま話 No.4925 宇宙作戦隊の訓練がスタート!

昨年12月16日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で宇宙作戦隊による訓練のスタートについて取り上げていたのでご紹介します。 

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

航空自衛隊は宇宙監視の任務を担う宇宙作戦隊の訓練の様子を初めて公開しました。

宇宙作戦隊は日本の人工衛星を他国からの攻撃や妨害から守るために今年5月に設立されました。

訓練では今月7日にアメリカと中国の衛星が接近した事例についてシミュレーターで再現し、解析を行いました。

アメリカと中国の衛星が約6kmの距離まで接近したということです。

 

宇宙空間では民間企業の活動が広がる一方で、衛星の数が増えたことで衝突事故が発生したり、衛星の残骸など、いわゆる宇宙ゴミが増加したりするなど、安定した宇宙の利用を妨げる問題も生まれています。

防衛省は今後山口県にレーダーを設置するほか、JAXA(宇宙航空研究機構)やアメリカ軍と連携した宇宙監視システムの構築を予定していて、2023年度からの本格運用を目指して訓練を進めます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

なお、宇宙作戦隊のより詳細な任務は以下の通りです。(ウィキペディアより)

JAXAやアメリカ宇宙軍と協力し、宇宙空間の常時監視体制を構築する。

・これにより、スペースデブリや他国の人工衛星等が日本の人工衛星に影響を及ぼさないかの監視や日本の人工衛星を他国からの攻撃や妨害、それに宇宙ごみから守るための「宇宙状況監視」を行う。

・電波妨害や不審な人工衛星や高度約3万6千キロの静止軌道の監視、隕石監視も行なう予定である。

 

さて、今や多くのクルマに搭載されているカーナビにアメリカ合衆国によって運用される衛星測位システム(地球上の現在位置を測定するためのシステム)、すなわちGPS(全地球測位システム)は不可欠です。

また、GPSを利用したグーグルマップなどのナビゲーションシステムも私たちの暮らしに完全に根付いています。

ですから、私たちは見知らぬ土地など、クルマや歩行によりどこに行くにもカーナビやナビゲーションシステムがあれば安心して目的地にたどり着くことが出来ます。

そして、GPSは具体的には人工衛星によって運用されています。

また、近い将来実用化される自動運転車にとってもGPSは不可欠な機能です。

更にGPSは軍事目的にも使用されており、今やGPS無しには機動的、かつ迅速な軍隊や兵器の運用は不可能とさえ言われています。

ですから、万一、GPS関連の人工衛星がどんな理由であれ、機能不全に陥ればその影響は甚大です。

 

このように今後ともGPSの継続的な機能の維持は様々な場面で必要不可欠な存在となっています。

こうした状況を考えると、宇宙作戦隊の創設はもっと早いタイミングでも良かったと思われます。

 

なお、先ほども触れたように、GPSは軍事面でも必要不可欠です。

ですから、いざ戦争が起きた場合、双方の軍隊はまず敵方のGPSを攻撃し、破壊しようとするのは当然です。

ですから、平常時から以下のようなGPS関連の対策が国に求められるのです。

・自国のGPS搭載の人工衛星を2重、3重に運用しておく

・平常時から宇宙ゴミや他の人工衛星と衝突しないような監視体制を整備しておく

・同時に仮想敵国のGPS搭載の人工衛星の運用状況を全て把握しておく

・いざ仮想敵国と戦闘状態になった場合を想定し、最大限に自国のGPS搭載の人工衛星が破壊されないような防御態勢を準備しておく

・同時に仮想敵国のGPS搭載の人工衛星を瞬時に破壊出来るような攻撃態勢を準備しておく

 

こうして見てくると、昨年創設された宇宙作戦隊の活動はようやくスタート地点に立ったばかりで、GPSに係わる私たちの生活全般、および国家安全保障の観点からすれば、沢山の任務が待ち構えているのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています