2021年03月06日
プロジェクト管理と日常生活 No.683 『日本企業におけるデジタル化の課題』

昨年10月23日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でデジタル化の課題について取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付については全て番組放送時のものです。

 

政府は今日、経済財政諮問会議を開き、デジタル化の推進と規制改革について議論しました。

この中で菅総理は、新設するデジタル庁が自治体だけでなく、民間のデジタル化にも責任を持てるよう、権限を調整することやテレワーク、兼業・副業など、新たな働き方に対応した就業ルールを年内に策定することなどを関係閣僚に指示しました。

 

菅政権になってあらためて経済政策の司令塔として位置付けられたこの経済財政諮問会議ですが、その評価について解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「菅内閣になって、今回で2回目の会議なんですけども、民間議員が個人名でペーパー、提言を出したり、かなり活性化していますね。」

「菅総理自身が肝入りでやっているし、民間議員も相当やる気を出してます。」

「(デジタル化の課題について、)新浪剛史議員(サントリーホールディングス社長)のペーパーが非常に面白かったんですけども、まず日本でITの投資が(アメリカに比べて)中々進んでいないということがはっきりデータで示しています。(添付のグラフ1参照)」

「次に企業サイドの理由についてもちゃんと示しているんです。」

「これ(添付のグラフ2参照)ご覧いただきたいんですけども、赤で示されているのはIT人材の中でIT企業以外のメーカーやサービス業などで働いている人たちの比率なんですね。」

「(これは日本だけIT企業に偏っているということはITを使いこなす側の人材があまりいないということかという問いに対して、)全くその通りなんです。」

「そういうことを促すためにも人材の流動化が必要だというようなことで、かなり戦略的にいろんなことを芋づる式に洗っていこうという姿勢というのか、雰囲気は伺えますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

昨年10月23日に開催された経済財政諮問会議で新浪議員は2つのグラフを用いて、日本企業におけるデジタル化に向けた課題を指摘されていますが、極めて的を射た内容だと思います。

 

1つ目は、IT投資を増やすことです。

2つ目は、IT企業以外のメーカーやサービス業などで働いている人たちの中のIT人材の比率を増やすことです。

 

ここで何事においても、事業を進めるうえで必要な3つの要素、すなわち“ヒト、モノ、カネ”を思い出して下さい。

すると、新浪議員の指摘されている1つ目のIT投資はモノ(コンピューター機器類や通信設備)とカネ、2つ目のIT企業以外の企業のIT人材はヒトにそれぞれ対応しており、極めて基本的な指摘をされており、特別なことをおっしゃっているわけではないのです。

 

日本企業は総じてこれまでデジタル化にそれほど熱心に取り組んでこなかったのです。

こうした状況は今後の日本経済を展望すると、とても危ういことを暗示しています。

なぜならば、デジタル化、あるいはDX(デジタルトランスフォーメーション)こそ、これからの生産性の向上、あるいは新しいビジネスの展開に欠かせない要件だからです。

 

そこで、これから日本企業がデジタル化に取り組むうえで、基本的な投資を増やすことが求められているのです。

しかし、ここで考慮すべきは特にIT企業以外でのIT人材の育成です。

いくら、投資を増やしても、それを使いこなす人材が不足していては、十分な成果を上げることは出来ないからです。

ですので、量的のみならず質的にも優れた“ヒト、モノ、カネ”の投資がとても重要なのです。

ということは、これからの学校の授業においては、単にパソコンを使えるスキルを身に着けるだけでなく、コンピューターの基礎知識やアプリの作り方や使い方、あるいはシステム的な思考方法などを必須科目として加えることがとても重要なのです。


添付1、2)


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