昨年11月16日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でISSでの活躍が期待されるロボットアームについて取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。
日本人宇宙飛行士の野口聡一さんら4人が搭乗する宇宙船が日本時間の今朝、アメリカ フロリダ州から国際宇宙ステーション(ISS)に向けて飛び立ちました。
野口さんが今回搭乗したのがアメリカの民間企業、スペースXが開発した新型宇宙船の運用1号機「クルードラゴン」で、新たな有人宇宙開発の時代に入ったことになります。
アメリカ航空宇宙局(NASA)のスペースシャトルが2011年に退役して以来、9年ぶりにISSに向かう手段が民間企業の手によって復活しました。
今回の新型宇宙船を開発したのは2002年に設立されたアメリカのベンチャー企業、スペースXで、電動自動車(EV)メーカー、テスラで有名なイーロン・マスクさんが創業した会社です。
スペースXは打ち上げに使うロケットエンジンを地上に着陸させて再利用、打ち上げコストは他のロケットに比べて3割ほど低いといいます。
これまで実験での失敗を繰り返しながら精度を高め、今朝の打ち上げでも使用後のロケットエンジンの着地を成功させました。
スペースXの成功で民間企業の宇宙ビジネスが今活気づいており、日本のベンチャー企業にもチャンスが広がっています。
宇宙飛行士の作業を代行するロボットを開発するGITAI株式会社は来年夏には長さ1mほどのロボットアームをISSに向けて打ち上げる予定です。
彼らはスペースXの成功が自分たちの追い風になると見ています。
GITAIの中ノ瀬翔CEOは次のようにおっしゃっています。
「我々が作っているロボットは1台で複数の複雑なタスクをこなすことが出来ると。」
「宇宙飛行士の方々はより人間にしか出来ない意義のある作業、探査とか広報、教育に関することに時間を割いていけることになる。」
ロボットはカメラで対象を認識、プログラムに従ってスイッチの操作や通信アンテナを組み立てる実験を行います。
更に社内で開発が進むのはSF映画に出てきそうなロボット、宇宙船内のスイッチは誤作動やミスを防ぐため引っ張りながら傾けないと入らない仕組みになっていました。
このロボットも人の指と同じような細かい作業をすることが出来ます。
また遠隔操作も出来るため、危険な船外活動を少なくすることにもつながるといいます。
中ノ瀬CEOは次のようにおっしゃっています。
「国際的な宇宙開発に日本企業として貢献していきたいなと思っています。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
以前にもお伝えしたように宇宙産業はビジネスにおけるニューフロンティア(新たな需要領域)と言えます。
宇宙空間はいろいろな面で地球上とは異なる環境になるので、これまで開発してきた技術をそのまま使えないことが多いと見込まれます。
ですから、従来の技術プラスαが必要になるのです。
従って、独自の技術を持ったGITAIのようなベンチャー企業にもチャンスがあるのです。
また、こうした独自の技術は巡り巡って、地球上でのビジネスにも応用出来る余地が出てきます。
ということで、宇宙ビジネスは優れた技術を持っているベンチャー企業にとっては成長の大きなきっかけになり得るのです。