昨年10月29日(木)付けネットニュース(こちらを参照)で中国で普及が進むミニEV(電気自動車)について取り上げていたのでそのごく一部をご紹介します。
なお、日付は全て記事掲載時のものです。
・日本の軽自動車に相当するコンセプトのK-Carが中国で急激に売れ始めている。しかし日本との大きな違いは、それがすべて電気自動車であるということだ。
・中国の中堅自動車メーカー、上汽通用五菱汽車が今年7月に発売した小型の電気自動車「宏光MINI EV」(4人乗り)が爆発的に売れ、業界の注目を集めている。ベースグレードの価格が2万8800元(1元は約16円)と日本円で50万円を切る価格が大きな反響を呼び、発売日の7月24日から20日間で1万5000台を販売、9月1カ月の販売台数は2万150台に達した。自動車情報アプリ「網易汽車」10月14日付によると、10月に入ってもその勢いは衰えず、1日あたり時には1000台を超えるペースで売れているという。
・ 「宏光MINI EV」が売れた原因は、詰まるところ「ついにガソリン車と真正面から勝負出来る電気自動車が登場してきた」(自動車評論家・国沢光宏氏)ことにある。
・宏光MINIは最高速105km/h(モーター出力27,2馬力)と都市高速くらいなら走れるパフォーマンスと、本格的な電気自動車に匹敵する航続距離を持つ」などと述べ、絶賛している。
以上、ネット記事のごく一部をご紹介してきました。
なお、昨年11月30日(月)付けネットニュース(こちらを参照)でも同様の内容についてについて取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て記事掲載時のものです。
・中国のEVでトップに立ったのは、中国の自動車メーカー、上汽GM五菱の「宏光ミニEV」。全長2・9メートル、幅1・4メートル。見た目は日本の軽ワゴン車に似ているが、全長がさらに30〜40センチ小ぶりのコンパクトカーだ。
・なにより世間を驚かせたのが、価格だった。家庭用電源を使った6〜7時間の充電で120キロ走れる最安モデル(エアコンなし)が2・88万元(約43万円)、エアコンありが3・28万元(約49万円)。そして170キロ走行できる遠距離モデルが3・88万元(約58万円)と中国でも飛び抜けて安い価格に設定された。短距離向けのためコストがかかる電池代を抑えられたほか、部品をほぼ国産化したことも大きい。
・高級車テスラとは客層も用途も異なる。しかし、EVが大都市だけでなく、地方都市や農村にまで広がるきっかけにもなると受け止められ、中国メディアは「国内の新エネルギー車メーカーも慌てさせた」と報じた。
以上、ネット記事のごく一部をご紹介してきました。
また、1月21日(木)付けネットニュース(こちらを参照)でも同様の内容についてについて取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て記事掲載時のものです。
・上汽GM五菱は地方都市を中心とした消費者の生活実態を、徹底的に研究してきた。普段使いなら30km以内の移動がほとんどであることや、省スペースでの駐車が重要視されていることなどを軸に仕様を詰めていった。マーケティング上のターゲットは「おしゃれな若者」とした。
・上汽GM五菱の源流は1958年に設立された柳州動力機械廠。当初は農作業に使うトラクターなどを製造していた。日本との関わりは比較的深く、三菱自動車の軽トラック「ミニキャブ」をベースとした車を生産したり、ダイハツの技術供与を受けたりしながら小型の商用車や乗用車を手掛けて成長してきた。2000年代に中国自動車大手の上海汽車と米ゼネラル・モーターズ(GM)の出資を受け、今の経営形態に落ち着いた。
・高度な技術が要求される内燃機関を、モーターで代替できるようになったことが中国国内での自動車開発のハードルを下げたのは事実だ。もちろん、日米欧の自動車メーカーとの合弁などで数十年間にわたって技術を蓄積してきたことが根底にはある。
加えて、中国国内の深刻な大気汚染が新エネルギー車の普及を必要不可欠なものとした。EVであれば外資でなく中国メーカーにも勝機があるという打算もあり、中国政府はEVを自動車産業政策の中核に据えた。
・過剰にも思えた中国のEV重視の産業政策だったが、世界的に加速している脱炭素の流れがこれを後押ししている。もともと環境問題に敏感な欧州に加えて、米国はバイデン大統領がパリ協定に復帰するための文書に署名した。
・脱炭素の流れを受けて、中国のEV熱はますます高まっている。上海では昨秋以降、新エネルギー車の「特需」が起きた。上海市交通当局が、上海ナンバー以外のクルマに市内の一部高速道路を使わせない規制を入れる方針を打ち出したからだ。「ガソリン車のナンバーの新規取得は100万円以上かかる。この機会にナンバーが無料の環境対応車を購入しようとする顧客が増えている」(上海市内の自動車販売店)
・脱炭素について、日本自動車工業会の豊田章男会長は「日本は火力発電の割合が大きいため、自動車の電動化だけではCO2排出削減につながらない」と指摘した。中国には原子力発電の積極推進が可能という強みもあり、クルマの電動化を進めれば進めるほど環境面でのメリットを得やすい。
以上、ネット記事のごく一部をご紹介してきました。
3つの記事の内容をご紹介してきましたが、何よりも驚くのは、昨年7月に発売されたばかりの中国の小型EV「宏光MINI EV」が昨年9月に早くも中国国内で2万150台を販売し、EV世界最大手のテスラを抜いたという中国のEVメーカー、上汽通用五菱汽車のスピード感です。
また、上汽通用五菱汽車は闇雲にEVの製造に乗り出したのではなく、しっかりとしたマーケットリサーチに基づいて製造すべきEVの仕様や価格を決定していることです。
日本におけるEVと言えば、今のところ日産「リーフ」の独壇場と言えますが、「宏光MINI EV」はその「リーフ」の年間販売台数(2019年 1万9789台)よりも更に多くの台数をたった1ヵ月で販売しているのです。
また、日本のクルマで言えば軽自動車に相当するカテゴリーとは言え、K−CarのEV「宏光MINI EV」のベースモデルの価格が日本円で約43万円、そしてフル充電で170km走行出来るモデルでも約58万円という破格の安さにも驚かされます。
ベースモデルでも120km走行出来るといいますから、短距離での足代わりに乗るのであれば十分です。
EVの充電費用とガソリン車のガソリン代、および販売価格の比較だけで見れば、間違いなく既に中国においてはEVはガソリン車を超えたと言えます。
ただ、バッテリーの寿命や充電インフラなども加味した比較では懸念が残りますが、これまでの販売台数からすると、こうした懸念もほとんどなさそうです。
日本では、EVの普及において軽自動車が置き去りになるのではないかという懸念の声があがっていますが、もし「宏光MINI EV」が日本に低価格で上陸したら、その懸念もほとんどなくなるのではないかと思ってしまいます。
こうした状況から中国のEV事情は、ハイペースでの売り上げ増、そして多くの競合他社の存在からは今後とも価格やフル充電でのより長い航続距離、あるいは装備といった面での競争でいろいろなバリエーションのEVが登場してくると見込まれます。
ということで、国策による後押しもあって、かつての日本の高度経済成長期と同様に中国国内でのEVの売り上げは中国国内に一通り行き渡るまで伸び続けると見込まれます。
まさに“恐るべし、中国のEVメーカー”です。
このような安価な中国製EVが日本に輸出されてきたら、と思うとあまりのスピード感の違いに恐怖感を覚えます。