昨年10月6日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で経済復活のカギについて取り上げていたのでご紹介します。
浅井将雄さんは運用資産3兆円の巨大ファンドを率いるキャブラ・インベストメント・マネジメントの共同経営者で、ロンドンの金融界の大物とされます。
世界的な投資家にちなんで、“和製ジョージ・ソロス”とも呼ばれます。
その浅井さんがテレビ東京のインタビューで日本経済の復活への処方箋を示しました。
カギは意外にも菅総理が進めようとしている地方銀行の再編です。
世界の金融センター、ロンドンの超一等地、ここに世界最大級の再建系ファンド、キャプラ・インベストメント・マネジメントの拠点があります。
このファンドを率いる浅井さんは今世界経済への危機感を強めています。
企業の負債が最大のリスクだと指摘します。
「(コロナ禍によって)世界的に中央銀行経由で末端企業まで貸し出されたデッド(借金)は必ずどこかで回収されなきゃいけなくて、年末(番組放送時)にかけて早くも企業の資金繰りがまたひっ迫してくる状況は十分に考えられる。」
「企業に対する融資がひっ迫してくると、将来的には早い段階で不良債権の増大が出て来て、金融機関が連鎖的に経営不振に陥るという状況が十分にあり得る。」
ただ日本経済には成長の余地があるといいます。
その起爆剤が地方銀行(地銀)の再編と外資といいます。
「もし外資が地銀の再編に参画して、ある地方にフランスやイギリスやスペイン、アメリカでもいいんですけど、そういう企業を呼び込むような起爆剤になれば、それはそれで正しい国際金融都市、また自由化のあり方になる起爆剤になるかなと思っていますので、1600兆円という個人金融資産をベースに十分な掘り起こせるアセット(資産)がある。」
「成長産業の側面を持ち得る可能性がある部分・・・」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
浅井さんの指摘されているように、コロナ禍で経営に瀕する企業が増え、それがきっかけでそうした企業に融資している金融機関の不良債権が膨らんで連鎖的に経営不振に陥る状況は金融恐慌につながりかねません。
そこで浅井さんは地銀の再編と外資を提案されているわけです。
勿論、政府によるコロナ禍での企業の倒産リスク対応策として企業への給付金、あるいは金融機関からの超低金利かつ無担保融資などでの支援をタイムリーに実施することは必要です。
その際、コロナ禍後を見据えた企業のデジタル化投資を支援することも必要だと思います。
企業の生産性向上に寄与し、更に国のデジタル化政策にも合致するからです。
このようにコロナ禍を契機に、持続可能な社会の実現、デジタル化、およびあらゆる面での新しい生活様式を見据えたうえで、政府がこれから日本が進むべき道を示し、大きな方向性のもとに国や地方自治体、あるいは企業などがまい進することが日本の将来にとってとても重要だと思います。
その際、浅井さんの提案もその中の選択肢の一つだと思うのです。
コロナ禍は今を生きている多くの人たちにとってはかつてない程の大規模な災難をもたらしていますが、だからこそ大規模な社会変革に取り組む絶好のチャンスでもあるのです。
特に日本にとってはデジタル化、すなわちDX(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組むとても大きなきっかけになっています。
もしコロナ禍がなければ、相変わらず日本政府はデジタル化に向けて重い腰を挙げなかったからです。
ということで、菅政権には早急にデジタル化を推進し、給付金の支給などにスピーディに対応出来るようなシステムを構築していただきたいと思います。