2021年01月25日
アイデアよもやま話 No.4861 政府の進める規制改革、および行政改革について その1 “脱はんこ”、オンライン化!

昨年10月9日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で政府の進める規制改革、および行政改革について取り上げていました。

そこで、3回にわたってご紹介します。

1回目は、“脱はんこ”やオンライン化についてです。

 

菅内閣で最も注目を集める閣僚、河野太郎大臣(57歳)が担当するのは以下の通りです。

・行政改革

・規制改革

・国家公務員制度

・沖縄及び北方対策

 

中でも行政改革、規制改革は菅政権の看板政策です。

その河野大臣が番組の単独インタビューに応じました。

“脱はんこ”やオンライン化など担当する政策には高い注目が集まっているのですが、こういった政策を通じて日本の将来像をどのように描いているのか聴きました。

河野大臣が託されたのは菅総理が最もこだわる前例主義の打破、つまり規制改革や行政改革です。

河野大臣は次のようにおっしゃっています。

「(報道する時に河野大臣の肩書を行政改革担当大臣と言うことが多いが、その前に規制改革担当大臣と言った方がいいのかという問いに対して、)今は新しい価値を作り出すための規制改革をやる規制改革担当大臣という自己紹介をしてますので、規制改革担当大臣と呼んでいただければうれしいです。」

「(規制改革の中でまずどこから手を付けていく考えかという問いに対して、)スタートしたのはまず「書類に押印するのを止めて下さい」ということを申し上げています。」

「今のところ、印鑑証明が必要なものや銀行印のように取り合えず今例外にしているものはありますけども、「認め印を押して下さい」というのは「これは全部いらないですよね」と各省庁にどうしても必要なら言ってきて下さいと言ってますけど、ほぼ全廃出来るのではないかなと思っています。」

 

規制改革の象徴的な柱として菅政権が最初に打ち出したのが行政手続きにおける“脱はんこ”です。

 

“脱はんこ”の動きを巡っては、昨年10月9日、上川法務大臣が婚姻届けや離婚届の押印について廃止する方向で検討していることを明かすなど、その動きが一層加速しています。

河野大臣は次のようにおっしゃっています。

「例えば引っ越した時にどれだけの手続きをやらなければいけないか、これを一つの届けで全部が出来るようになったら相当楽になると思いますし、あるいはどなたかご家族がお亡くなりになった時に死亡届に始まってやらなければいけないことが非常に沢山ございます。」

「そういう誰しもがどこかでやらなければいけないような手続きをワンストップで出来るようにするのは非常に大事なことなんではないかなと思っています。」

 

菅政権の2枚看板である規制改革とオンライン化、それを進める上である重要な会議があります。

それが「2プラス1(ツープラスワン)」、規制改革を担当する河野大臣とデジタル化を担当する平井大臣の二人が毎週各省庁の大臣を一人ずつ招いて議論、省庁が抱える問題を規制改革とデジタル化によって解決出来ないか洗い出しているのです。

河野大臣は次のようにおっしゃっています。

「平井大臣のところでデジタル化、オンライン化をするわけですけども、その前段階として規制を変えていかないとそれが出来ない。」

「例えば書類にはんこを押すのが残っていると、その部分はオンライン化出来ませんから、私のところで規制改革をやって少し前を走っていないと平井大臣が動けないということになりますので、そこは平井大臣と相談しながらどっちの方向へ走ろうかとかを決めて一緒に走っていくということに・・・」

 

この「2プラス1」の中で実現する方針が決まったのはオンライン診療の恒久的な解禁です。

河野大臣は次のようにおっしゃっています。

「(オンライン診療の恒久化にあたっての課題について、)特にないと思います。」

「(安全性の問題や誤診の懸念をどうクリアしていくのかについて、)昨日(昨年10月8日)、田村厚生労働大臣にも入ってもらって議論しましたけども、やれるんじゃないかということでしたから、特に大きな課題というのは、洗い出して見ないと分からないと思いますが、昨日の段階では何か大きな課題があるという感じではありませんでした。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

事務処理などのデジタル化を進めるにあたっての必須要件は”脱はんこ”とペーパーレス化、すなわちDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

 

その一連のプロセスは一般的にざっと以下の通りです。

・現行業務プロセスの把握

・現行のデータ処理フローの把握

・現行アプリケーションシステム(業務支援システム)の把握

・現行データベースの把握

・現行業務プロセスの見直し・設計

・現行業務プロセスの見直し結果をもとにした新しいデータ処理フローの作成

・新しいデータベースの設計

・新しい業務分野のアプリケーションシステム提供の優先付け

・優先付けに基づいた新しいアプリケーションシステムの設計・開発、およびサービスの展開

・システムの稼働後も定期的に、あるいはタイムリーにアプリケーションシステムの見直し・変更を実施すること

 

ここで考慮すべきは、現行のアプリケーションシステムに捉われることなく、あくまでも新しい業務プロセスに沿った新しいアプリケーションシステムを構築することです。

 

こうした観点から河野大臣の指摘された、引っ越しの手続きの多さなどは河野大臣がある程度現行業務プロセスについて調べたことを伺い知ることが出来ます。

また、現行の様々な申請手続きなどをワンストップで出来るようにするとの指摘は上記のような現行業務プロセスの把握から見直しを経て出てくる改善案ということになります。

そして、その際のキーワードがデジタル化、すなわちあらゆる業務データをデジタル化することなのです。

 

ですから、先ほどの一連のプロセスを経ることによって、規制改革、および行政改革を漏れなく、そしてより効率的なものへと変革出来るのです。

またこれらの改革はそれぞれ別に行うのではなく一体化して進めるべきなのです。

なぜならば、例えば一連の規制改革を終えた後に行政改革に手を付けると、新たな規制改革の必要性が出てくる可能性があるからです。

 

また「2プラス1」はあくまでも大臣レベルでおおざっぱに現行の規制や業務プロセスにどのような問題や課題があるのかを把握し、新しいアプリケーションシステムのイメージをざっくり描くためのものと言えます。

なぜならば、実際に新しい業務支援システムを構築するとなると先ほどの一連のプロセスを進めるうえで専門の技術者による各省庁ごとの、あるいは横断的な調整など、膨大な時間と労力を要する作業が必要になるからです。

ですから、「2プラス1」の中で実現する方針が決まったオンライン診療の恒久的な解禁についても大臣レベルでは課題はないということでしたが、これから専門の技術者レベルで細かく調査・検討を進めれば、いろいろ出てくると思われます。


 
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