2020年11月21日
プロジェクト管理と日常生活 No.667 『ファーウェイを通しての企業の機密情報の漏えいリスク!』

前回は、TiKToK」による利用者情報の無断収集を通して、個人情報の漏えいリスクについてお伝えしました。

今回は8月16日(日)放送の「日曜報道」(フジテレビ)を通して、ファーウェイを通して企業の機密情報の漏えいリスクについてご紹介します。

 

番組コメンテーターで、自民党の衆議院議員、甘利明さんは次のようにおっしゃっています。

「(中国には)国家情報法(*)という法律があって、政府の要請に国内外、どこにいようとも中国人、中国企業は従わなければならない。」

「だから、ファーウェイのCEOが「我々はちゃんと日本国内で得た情報データは(中国政府から)要求があったって渡さない、ファイアーウォールをつくるよ」とおっしゃっているんですねど、「本当に出来ますか」と。」

「「(中国政府に)協力しなければ収監されますよ」と」

「「本人だけじゃなくて家族や従業員が、みんな捕まりますよ」と」

「それでも「俺は(中国政府から要求があってもデータを)出さない」と言えますか。」

「これ、言えないんですね。」

「法律上、行政の仕組み上、共産党の要求に逆らうことが出来ない仕組みになっている。」

「法律上も組織上もなっています。」

「だから、必ず中国と組む時には、このデータは中国企業と組んだら全部抜かれるという前提でビジネスをしていかなきゃならないんです。」

「その前提の上で、どういう余地があるか、向こうが本当に困っている、これから中国が困るというのは、水の問題、空気の問題、土壌汚染の問題です。」

「これどうにもなりません。」

「そこでしたたかにこちらの情報を好き勝手に利用されないようなビジネスをどう考えると。」

「これは日本政府もそうですし、企業ももっとしたたかに考えなきゃいけないわけです。」

 

* 2017年6月28日施行

国の情報活動を強化、および保障し、国の安全と利益を守ることを目的とする

⇒ 国民と組織は、国の情報活動に協力しなければならない

 

また、番組コメンテーターで、ジャーナリスト、国家基本問題研究所理事長でもある櫻井よしこさんは次のようにおっしゃっています。

「今、ここで名前を出していいと思います。」

「トヨタなんかは水素電池とか燃料電池の最先端の、本当に各国が喉から手が出るくらい欲しい技術を持っているんですよ。」

「それを中国に絶対渡してはならないというのがアメリカの考え方だし、私もそう思いますし、他のイギリスもフランスもみんなそう思っているんですけども、今度中国に5社くらいでしたかね、提携して向こうに工場を造るんですよ。」

「そうすると、いくら「この工場だけの技術ですよ、日本のトヨタが持っているんですよ」と言っても、今甘利さんがおっしゃったように、必ず全部技術は獲られちゃう。」

「今、(以前から話題になっている中国の通信機器大手メーカー、)ファーウェイの話ですけど、ファーウェイがいかにして今のファーウェイになったかというのは、カナダの会社から9年間にわたってバキュームカーで吸い取るように全部情報を獲って、それに中国政府が1兆円単位のお金を複数回ファーウェイに与えて今のファーウェイが出来たんですね。」

「で、ファーウェイの任社長は「いやいや私たちは中国人民解放軍とも中国政府とも関係ありません、民間です」と言うけれども、まあ“真っ赤なウソ”とはよく言ったもので本当にそういうのが中国の実態ですから、私たちは本当に今中国のことをようく見て、ここまで私たちが大丈夫とやっても、彼らはしたたかな国だからそれを乗り越えて我々の技術とか知識とか全部獲られるよということを前提に考えないと、これは日本がつぶされるし、それから日本がつぶされるだけでなくて自由主義陣営の国が負けていくんですね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組を通して以下のことが言えます

 

・中国は国家の方針により、いつでも必要に応じて全ての国内企業に対して個人情報を含めあらゆる情報の提供を求めることが出来る

・一方、求められた企業は、中国の法律に基づき、取得しているあらゆる情報を政府に提出しなければならない

 

今、覇権主義に基づいた中国の様々な政策の遂行が世界的に問題視されています。

そして、この問題の本質は自由主義陣営国家と共産主義国家、中国との違いです。

自由主義陣営国家では、自由、および人権の尊重、そして民主主義(主権在民)にありますが、中国は共産党による一党独裁の全体主義でまず共産党ファーストで、何よりも共産党の存続が優先されます。

国民の権利は二の次で、様々なかたちで犠牲を強いられるのです。

自由、および人権の尊重は軽視、あるいは無視され、国民に主権はありません。

ですから、どんなに国民の多くが政府に対して不満を抱いて、そのことについて発言したり行動に移せば、法律に基づき、速やかに処罰されてしまうのです。

また、不幸にして習近平国家主席率いる現在の中国政府は中華圏の復興を目指し、覇権主義を振りかざして現在のアメリカを中心とした国際的な枠組みを根本から変えようとしているのです。

世界各国の国民の個人情報や国家、および企業の機密情報の入手はそのための政策の一つです。

勿論、中国国内においても、中国共産党による政権維持を盤石にするために、反対勢力の封じ込めを目的に徹底的に個人情報の把握が進められています。

そして、前回ご紹介した「TiKToK」による利用者情報の無断収集はその具体的な現れの一つと言えます。

こうして得た情報の用途ですが、例えば各国のキーマンの個人情報、中でもスキャンダラスな情報は、いざという時にキーマンを脅迫して発言や行動を中国の意向に沿う方向に仕向けてしまうという強力な武器になり得るのです。

また、先進国の企業の最先端の高度な技術情報も提携先の中国企業を通じて中国政府が入手してしまうことはファーウェイの事例でも明らかなのです。

 

勿論、中国の13億人という多くの国民は膨大な需要をもたらしてくれますから、経済的に良好な関係を築くことは、日本経済にとっても中国国民にとってもとてもメリットがあります。

しかし、常に忘れてならないのは、習近平国家主席の目指す覇権国家の餌食になるリスク対応策をしっかりと遂行しておくことです。

どんな情報も一旦外に漏えいしてしまえば“後の祭り”なのです。


 
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