2020年11月02日
アイデアよもやま話 No.4789 あなどれない新型コロナウイルス感染の後遺症!

肺に大きなダメージを受けた新型コロナウイルスの感染による重症患者の症状は死ぬほどの苦しみと報じられています。

そうした中、7月31日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新型コロナウイルスの感染の後遺症について取り上げていたのでご紹介します。 

 

病床を確保する医療現場で、今新たな課題として浮上しているのがコロナ感染後の後遺症の問題です。

後遺症に苦しむ男子大学生、Aさんは次のようにおっしゃっています。

「退院してからも倦怠感はインフルエンザのピーク以上のつらさ。」

「あと嗅覚障害も治っていないし、深呼吸した時に圧迫感とか感じるのは未だ治っていないので、やはりまだまだ続くのかな。」

 

4月初めに新型コロナウイルスを発症したAさん、40℃台の発熱と肺の激痛、呼吸困難に襲われました。

当時はなかなか病床の空きが見つからず、発症から3週間以上経った4月29日に入院、治療を受け、5月9日に退院しました。

しかし、退院から3ヵ月近く経った今も37℃台の微熱やだるさが続き、匂いも分かりにくいといいます。

味覚障害にも苦しみました。

Aさんは次のようにおっしゃっています。

「母親から送ってもらった餃子などの味は全く感じなくて、粘土とか食べてるような感覚でした。」

「結局、一人暮らしをする体力もなくて、買い物にも行けず、ずっと寝込んでいた状況になってしまって・・・」

 

母親の手料理で一番好きな餃子も味覚障害のせいでほとんど食べられなかったといいます。

衰弱して脱水症状がひどくなり、5月15日には再び入院、退院まで6日かかりました。

現在は大学を休学して実家に戻り療養しています。(放送時点)

7月に入り、ようやく症状が軽くなってきましたが、不安は残ります。

Aさんは次のようにおっしゃっています。

「未だに全快というわけでもないので、このまま本当に生活出来るのかなという不安は漠然とあります。」

「いつ治るのかも分からないという不安もあります。」

 

新型コロナウイルス患者を引き受けているふじみの救急クリニックでは後遺症を訴える患者が来ているといいます。

鹿野晃院長は次のようにおっしゃっています。

「頭痛、微熱、だるさとか、ICUに入院して人工呼吸器をつけた人は本当に肺炎がひどくて、肺そのものがかなりのダメージを負ってしまって、すごく息切れを起こしてしまうと。」

「元の生活に戻れず、寝たり起きたりのような状態が長く続いてしまってですね。」

「(身体的な症状以外にも)夜よく眠れないとか、またかかってしまうのではないかということで目を覚ますとか、身体的な後遺症に加えて精神的な後遺症があります。」

 

25万人近くが新型コロナウイルスに感染し、3万5000人が死亡したイタリアの調査では、発症から2ヵ月後も何らかの後遺症のある人が87.4%に上ると報告されています。(イタリア ジェメッリ大学病院の調査)

重症患者の治療にあたる自治医科大学付属さいたま医療センター 集中治療部の賛井將満教授もこれまで後遺症と見られる患者を診てきました。

後遺症が起きる原因について、免疫の過剰反応、新型コロナウイルスの特徴である血栓症の誘発、ウイルスの臓器への直接感染の3つが原因として考えられるといい、次のようにおっしゃっています。

「実際に腎臓や肝臓、脳の脊髄や脳そのものに感染することもだんだん分かってきました。」

「その結果、後遺症を残すことがあるだろうと。」

 

更に退院時の鼻でのPCR検査で陰性になった場合も体内にウイルスが残っている場合があると指摘します。

「鼻では陰性になっているんだけれども、肺のサンプルでは陽性であることがしばしばあります。」

「(実態調査は)すごく重要だと思いますね。」

「どのくらいの方がどういう症状で苦しんでいるのか、これは科学的に事実として突き止めなければいけない。」

「そういう人のサポートをどうすればいいかは実態を調査しないと・・・」

 

後遺症の問題の解消には実態調査が不可欠だといいます。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組の内容をざっと以下にまとめてみました。

・退院時の鼻でのPCR検査で陰性になった場合も体内にウイルスが残っている場合がある

・新型コロナウイルスの後遺症が起きる原因について、免疫の過剰反応、新型コロナウイルスの特徴である血栓症の誘発、ウイルスの臓器への直接感染の3つが原因として考えられる

・イタリアの調査では、発症から2ヵ月後も何らかの後遺症のある人が87.4%に上ると報告されている

・特にICUに入院して人工呼吸器をつけた重症患者は以下のような後遺症が残る

肺炎がひどく、肺そのものがかなりのダメージを負い、すごく息切れを起こしてしまう

元の生活に戻れず、寝たり起きたりのような状態が長く続いてしまう

身体的な後遺症に加えて精神的な後遺症がある

・重症患者でなくても以下のような後遺症が残る

  37℃台の微熱やだるさが続き、匂いも分かりにくい、あるいは味覚障害にも苦しむ

  衰弱して脱水症状がひどくなる

・後遺症の問題の解消には実態調査が不可欠である

 

特に新型コロナウイルスの若い感染者の中には全く無症状の人もいるといいますが、一方で若い感染者の中でも後遺症に苦しむ人もいるのです。

また、特に高齢者が発症した場合は重症化するケースが多く、従って死亡率も高いと報じられています。

 

ということで、新型コロナウイルス感染対策としては以下のことが求められると思います。

・感染しないように「3密」(密閉・密集・密接)を回避する

・短時間で感染の有無を正確に判定する検査機器を開発する

・感染症の治療薬を開発する

・より多くの人が感染症にかからないようなワクチンを開発する

・後遺症対策として、後遺症の実態調査を実施し、問題の解消につなげる

 

今、新型コロナウイルス感染対策として、治療薬やワクチンが注目されていますが、つらい後遺症に苦しんでいる患者のための治療薬の開発にも力を入れて欲しいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています