6月12日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で横行するコロナ詐欺について取り上げていたのでご紹介します。
第一次補正予算の目玉となった一律10万円の特定定額給付金の給付率は38.5%(6月5日時点)、支援策の実感はいまだ乏しいのが実感です。
今、こうした給付金の遅れに目を付けた詐欺やトラブルが急増しているといいます。
KDDIのホームページで紹介されているのは、10万円の給付金申請を名目に個人情報を盗み取る非常に悪質な詐欺メールだとして、注意を呼び掛けています。
特に狙われているのが???
ネット犯罪の防止に取り組む、NPO法人 デジタルリテラシー向上機構の代表理事、柳谷智宣さんは次のようにおっしゃっています。
「マイナンバーカードが必要と書いてあって、準備をさせてからURLに誘導しようとしていますね。」
「この辺が今までと違うところになります。」
「(給付金の申請で注目が集まるマイナンバー、現在は金銭の被害に直結するわけではありませんが、)マイナンバーはクレジットカードや電話番号より重要な番号で一生同じ番号を使うというのが特徴になっています。」
「なので、そこに対して紐づけていくと個人情報がどんどん蓄積されていってしまう。」
「そうすると、詐欺被害とか不正アクセスとか、なりすましとかいう犯罪に利用される可能性が高くなってくると思います。」
コロナ禍により混乱する社会で詐欺師たちが狙うのは給付金や個人情報だけではありません。
標的となっているのが職を失った生活困窮者です。
今、SNSで“メールだけ”などと検索すると、怪しい勧誘が多く見つかります。
詐欺被害者の一人が番組の取材に応じてくれました。
都内に住む20代の女性、Aさんは塾講師などの仕事を掛け持ちしていましたが、緊急事態宣言を受けて出勤停止となり、20万円ほどあった収入が4月上旬には完全に途絶えました。
次の仕事も見つからず、蓄えは底をつき、Aさんが頼ったのは在宅ですぐに出来るネット上の仕事でした。
内容は悩みを持つ人の相談に乗り、メールのやり取りをするというものです。
始めてすぐに次のようなメールが届きました。
輸入家具や雑貨を取り扱う会社の副社長をしております。
個人資産を貴方にお譲りしたいのです。
明らかに怪しい内容ですが、当時は生活が出来なくなる恐怖で冷静な判断力を失っていたといいます。
しかし、実際にはメールの送受信に費用がかかる他、いざメールを送ろうとすると画面が文字化け、その設定を解除するために追加で料金の支払いを求められました。
Aさんは次のようにおっしゃっています。
「だいたい30万〜40万円払ったのです。」
「焦りしかないですね。」
「これからどうしようと。」
「私が(詐欺に)引っかかると思ってなかった。」
「冷静さを失っていた。」
それでもいずれお金が入ると信じ、消費者金融に借金までしてお金を工面してしまったといいます。
Aさんは弁護士に相談したところ、詐欺の疑いがあるとして返金の手続きを進めていますが、消費者金融からの借金は残ったままです。
Aさんがお金を振り込んでしまった会社の電話番号にはエストニアの国番号が使われていました。
Aさんのような生活に困っている人だけでなく、コロナで家にいる時間が増えている今、誰にでも詐欺の被害に遭う危険はあるといいます。
詐欺被害に詳しい佐久間大地弁護士は次のようにおっしゃっています。
「「副業」をしたいと。」
「自宅に居ながら稼げるような、勧誘で詐欺をされている方が沢山増えていますね。」
「「絶対に稼げる」ですとか、副業であったとしても「お金を支払って欲しい」というものに関しては基本的に全て詐欺だと思っておりますので、そういった勧誘をされた時には無視するようにしていただきたいですね。」
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
アイデアよもやま話 No.4753 マイナポイントはマイナンバー制度導入時に実施すべきだった。更に・・・でもお伝えしたように、国によるマイナンバー制度の本格導入が見込まれています。
しかし、一方でこうした制度の導入による犯罪リスクも急増が懸念されます。
番組でも指摘しているように、マイナンバーはクレジットカードや電話番号より重要な番号で一生同じ番号を使うというのが特徴で、それに紐づけていくと個人情報がどんどん蓄積されていくのです。
ですから、詐欺被害や不正アクセス、なりすましなどのサイバー犯罪の格好の的になり、こうした犯罪の度重なる横行が見込まれます。
しかも、こうした犯罪技術は進化していきます。
更に、万一マイナンバー関連情報が不正アクセスによりそっくり盗まれるようなことがあれば、取り返しがつきません。
そうは言っても、個別に盗まれることは容易に想像出来ます。
そこでマイナンバー制度をより安全に運用するための仕組みとして以下のような対応策が考えられます。
(リスク対応策)
・常に最先端のセキュリティ関連技術を駆使したセキュリティ管理を継続すること
・怪しいサイトやメールなどについてはAIの活用などを通して警告すること
・サイバー犯罪に成功しても、もし逮捕された場合の刑罰の重さを考慮すると、こうした犯罪は得策ではないと容易に判断出来るほどの重刑を取り入れること
・世界各国がサイバー犯罪関連情報を共有し、各国でのリスク対応策検討の参考にすること
(コンティンジェンシープラン)
・不正アクセスなどで実際に被害が発生した際には、即座にその被害を最小限に食い止め、その容疑者を突き止められるような仕組みにすること
いずれにしても、マイナンバー制度は国民にとっても、また国や自治体にとってもとてもメリットが期待出来ますが、国民が安心感を持って、安全な運用が出来なければマイナンバー制度を定着させることは出来ないのです。