分身ロボットについてはアイデアよもやま話 No.4234 高齢者や身障者にも働く場を広げる分身ロボット！などでお伝えしてきました。
今回は６月１１日（木）放送の「首都圏ネットワーク」（ＮＨＫ総合テレビ）を通してこうした分身ロボットの活用の現況についてご紹介します。
働くのに様々な障壁があった人の壁を打ち破ろうとしています。
島根県松江市の自宅から大阪天王寺区にあるカフェの分身ロボットを操作しているのは山��拓弥さん（３４歳）です。
山��さんは首から下が動きません。
外出しなくても自宅からスマホで操作出来る分身ロボット、これを使いこなし、“自分は働けない”という壁を打ち破ろうとしています。
山��さんは次のようにおっしゃっています。
「「オリヒメ」（分身ロボット）を使って働ける可能性をすごく感じたので・・・」
５年前にベランダから転落し、脊髄を損傷した山崎さん、かつては居酒屋の主任として接客に自信を持っていましたが、職も失いました。
山��さんは次のようにおっしゃっています。
「ずっと同じこのままの生活を想像した時に耐えられない。」
「希望を前は全然持てなかった。」
山��さんに再び働くチャンスが巡ってきました。
ケーキ店で接客の実戦練習に参加出来ることになったのです。
しかし、迷っているお客さんに声をかけることが出来ません。
更に操作に戸惑い、突然声をかけてしまいました。
山��さんは次のようにおっしゃっています。
「捜査しながら口を動かしてしゃべりながら口を動かしてちょっとコミュニケーションのタイミングが難しかったりはしますね。」
番組の取材の日、山��さん宅を訪ねて来たのは働きぶりを見てきたケーキ店を経営する会社の採用担当者です。
操作に慣れれば山崎さんの過去の接客スキルを生かせるのではないかと勧誘に来たのです。
まずは体調を考慮し、週６時間の契約社員から始めることになりました。
“もう一度社会の役に立ちたい”、山��さんは接客の練習を始めました。
この日はお店一押しの桑の葉を使った新商品についてＰＲ方法を考えていました。
働くことになったのは人通りの多い大阪の駅ビルです。
山��さんは持ち前の接客スキルでお客に売り込みます。
操作と接客をスムーズに行い、新商品を売ることに成功し、徐々に販売数も伸びていきました。
勤務を始めて２ヵ月、山��さんの働きぶりについて話し合われました。
お店の採用担当者は次のようにおっしゃっています。
「いわゆる特別扱いみたいにしないといけないのかと思っていたのが、求める水準が普通にお願いすることが出来るなと。」
業務量や勤務時間など徐々に増やしていくことも検討、社内のボーダーも無くなり始めています。
山��さんは次のようにおっしゃっています。
「（障害者は）普通の人よりも働きにくいんじゃないかみたいなイメージがあるのかなと思っていたので、今回少し払拭出来たなと。」
「どんどんこれが仕事しているのが当たり前になっていければいいなと思います。」
時間や距離、障害が有る無しといった物理的な壁だけじゃなくて、障害のある人、ご自身、周りの人の心の中にある壁も打ち壊そうとしています。
オンラインコミュニケーションの新たな可能性を見ました。
こういった技術を使って山��さんのように働くことが難しかった方々の可能性が広がっていくといいなと思いました。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
これまでロボットのサービス業における活用については、アイデアよもやま話
No.3869 期間限定のロボットカフェ！やアイデアよもやま話
No.3943 ペッパーの新サービス − １０の業種で使いやすく！でご紹介してきました。
しかし、アイデアよもやま話
No.4261 「ペッパー」にリストラの危機！？でもお伝えしたように、現在のロボット関連技術レベルでは多くのユーザーの期待に応えられるまでに至っていないようです。
そうした中、分身ロボットの受け答えは遠隔操作によって人が担うので自然な会話がスムーズに出来ます。
また、分身ロボットであれば、遠隔操作なので体の不自由な障害者、あるいは高齢者であっても、受け答え出来る知識さえあれば、容易に分身ロボットを活用した仕事に就くことが出来ます。
ですから、まさにこうした方々のみならず家庭の主婦などにとっても新たに働けるチャンス到来と言えます。
さて、分身ロボットを活用しようとすれば毎月利用料が発生したり、購入する資金が必要になります。
しかし、ほぼ自然な会話が成り立つ自立型ロボットの完成まではまだ１０年以上はかかると思われます。
ですから、それまでは分身ロボットが活躍する時代が続くと思われます。
またこうした時代が主流になっても一部では分身ロボットの活躍の場が残ると思います。
なぜならば、自立型ロボットが完全に人の代わりを務めることはほとんど不可能だからです。
ですから、将来的には自立型ロボットに分身ロボットの機能が一部加えられるのではないかと思われます。
