2020年09月21日
アイデアよもやま話 No.4753 マイナポイントはマイナンバー制度導入時に実施すべきだった。更に・・・

マイナンバーカードについては、プロジェクト管理と日常生活 No.658 『10万円給付のウェブ申請システム開発における信じられない実情!』でも触れましたが、そうした中、9月1日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でマイナポイントの導入開始について取り上げていたのでご紹介します。 

9月1日から始まったマイナポイントですが、これはマイナンバーカードを持っている人が対象となります。

所定の手続きをした後、スマホ決済ですとか電子マネーなどで2万円分の買い物をしますと、5000円分のポイントが国からもらえる制度です。

 

実はこのマイナポイント、使い方によっては更に上乗せでポイントをもらえるんです。

マイナポイントの登録にはマイナンバーカードとひも付けるキャッシュレス決済を100余りある中から1つだけ選ぶ必要があります。

例えば大手スーパーのイオンの場合は、電子マネー「WAON」です。

「WAON」は国からのポイント、最大5000円分に加えて、独自に最大2000円分のポイントを還元します。

 

マネーフォワードの調査では、マイナポイントの登録先として人気なのは、1位がスマホ決済シェアトップの「PayPay」、2位は「楽天カード」、そして「WAON」は今回の大盤振る舞いによって3位に食い込んでいます。

 

また、最近注目を集めているのがNTTドコモが展開する「d払い」です。

WAONを上回る、最大2500円分のポイント還元を打ち出し、話題となっています。

更に徳島県が県独自に最大3000円分を上乗せするなど、複数の自治体が新型コロナウイルス感染で打撃を受けた地域経済の刺激策としてマイナポイントの活用を始めています。

国のマイナポイント事業は来年3月末までといいます。

登録が未だの人は事前によく調べることが重要です。

マイナポイントを利用するために欠かせないのがマイナンバーカード、ただ持っている人は全国で18.2%と2割にも満たないのが現状です。

マイナポイントの開始を前にマイナンバーカードを申請する人は増えています。

そしてマイナンバーカードを申請してから受け取りまでには2ヵ月程度かかるといいます。

マイナンバーカードを申請すると総務省の関連団体、J−LIS(地方公共団体情報システム機構)がカードを発行、この時点で既に2〜3週間かかります。

その後役所でカードの検品作業やデータの取り込み作業などを行うため、受け取りまでに更に1〜2週間程度かかるのです。

なのでカードの受け取りまでには早くても1ヵ月程度かかります。

ちなみに品川区の場合は約3ヵ月かかるといいますから、年明けの申請ではカードの発行が間に合わず、マイナポイントをもらえない人も出てきそうです。

 

別の自治体からはマイナンバーカードの発行システムの不具合を指摘する声も聞かれました。

これに対し、総務省の担当者は、自治体の体制整備の遅れが原因ではないかと考えています。

マイナンバーカードの普及促進も期待されるマイナポイント、政府の狙い通り進むのでしょうか。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

そもそもマイナンバーカードの登録を促進させるうえでは、マイナンバーカードの登録申請開始時にマイナポイントのような登録プロモーションを実施すべきだったのです。

なぜならば、登録時点ではあまり登録するメリットがなかったからです。

更に、マイナンバーカードの発行に関しては根本的な問題があります。

それは、マイナンバーカードの狙いです。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、国民一人当たり10万円の給付をしましたが、他の国に比べて受け取るまでにとても時間がかかりました。

ですから、今後の給付の可能性も考慮して、給付する際の振込先の金融機関、および口座番号などをマイナンバーカードの申請時に登録させるべきだったのです。

ところが、今回のマイナポイントは飽くまでも既存のマイナンバーカードの内容のままでの申請を促進させるための目的だったのです。

ですから、次に何らかの理由で国民への給付金の振込においても前回と同様に時間がかかってしまいます。

単に時間がかかるだけでなく、これに伴う国や自治体の職員の作業が発生しますが、これらは全て税金で賄われることになるのです。

 

以前もお伝えしたように、国はDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた取り組みを進めるといいますが、マイナンバーカードは国民一人ひとりと国や自治体とをつなぐ重要な個人データの媒体となります。

また、将来的にはマイナンバーカードの電子化とともに運転免許証や健康保険証なども包含したものにすべきなのです。

こうした取り組みにより、国や自治体の関連業務の生産性向上や国民の利便性の向上に寄与出来るのです。

 

ということで、今回のマイナポイントによるマイナンバーカードの登録推進でも国民への給付金対応の改善というせっかくのチャンスを逃してしまったのがとても残念です。

 

ちなみに、6月1日(月)付けネットニュース(こちらを参照)では以下のように報じています。

 

菅義偉官房長官(現総理大臣)は1日の記者会見で、マイナンバーと預貯金口座のひも付けに関し、「全ての口座をマイナンバーにひも付けすることについて、年内に関係省庁と検討することになっている」と語った。

 

ですから、政府もマイナンバーにおける問題意識は持っているのです。

ただ、残念ながら他国に比べてとても対応のスピードに欠けるのが大きな課題と言えます。

ということで、菅新政権は「デジタル庁」を新設したので、世界的に後れを取っているDXの推進に期待したいと思います。


ところがとても残念なニュースが流れてきました。
9月16日(水)付けネットニュース(こちらを参照)によると、菅新総理の目玉政策のひとつ、「デジタル庁」について、政府が2022年4月の発足を目指していることがJNNの取材で明らかになりました。
しかし、最短で2022年4月の発足を目指しているというのです。

こうした政府のDXへの取り組みのスピードの遅さでは、増々米中韓などに差を付けられてしまいます。
本来であれば、既にDXへの取り組みを既に進めており、DXのグランドデザインは完了しており、2022年度にはその一部でもサービスを開始するくらいのスピード感で進めて欲しいと思うのです。


 
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