6月3日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で社会変革のカギと言われるDXについて取り上げていたのでご紹介します。
コロナ禍の中で医療に取り組んでいる、がん治療日本一のがん研有明病院の大野真司副院長は医療崩壊を防ぐ第2波への備えについて次のようにおっしゃっています。
「今後も続く感染の危険性の中で、どういうふうに医療をシステムごと変えていくか、フレキシブルでかつ治療はしながらも感染の危険性を減らすという、この2つのことを両立しないといけない。」
今、コロナ禍により様々な仕組みを変えざるを得なくなっていますが、こうした状況について早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は次のようにおっしゃっています。
「本当に社会全体が変革を迫られているんだと思うんですね。」
「やはり私はカギになるのはいわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)だと思っていまして、例えば今回の医療でいくと、感染症のお医者様に伺うと、今回一番課題になったのが医療機関と保健所と自治体を一体化してつなぐデジタルシステムが無かったことのようなんですね。」
「そうすると感染者の情報などが未だに保健所にファックスで診断結果が送られているので、それが現場にとって大変な負担になって、PCR検査の数が少なかったり、数字が間違うようなことが出て来たと。」
「厚生省が5月になって、データをオンラインで共有するシステムをつくるということは言っているんですけど、まだまだ本格的じゃないと。」
「この辺の政府のサポートですね。」
「ただ、一方で逆にいうとデジタルをうまく活用出来ているところというのはコロナをチャンスにして伸びている会社も出て来ているのは事実でして、特にスタートアップ企業で顕著なんですが、例えば最近“新しい生活様式”に合わせるために民間企業がDXを進めているわけですけども、それを扱うサービスを提供しているスタートアップはものすごい伸びています。」
「それから食べ物ですね。」
「これも我々、これから会社に戻るようになると、テイクアウトが必要なわけですけども、事前にテイクアウトを予約するITサービスも伸びていまして。」
「ですから社会全体がうまくデジタル化をしていく重要な局面にあると思います。」
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
既に多くの企業の中で生産性向上に関心の高い企業はコンピューターやパソコンをベースにIT化を進めていて、社内業務は一通りITシステム化を完了しています。
ではこれまでのITシステム化とDXでは何が違うのでしょうか。
以下は私個人の見解ですが、DXとはデジタル技術を最大限に活用した社会変革ですが、言い換えるとこれまでの部分最適(Partial Optimization)から全体最適(Total
Optimization)への大転換です。
これまでのITシステム化は社内、あるいは関連取引先という枠内で進められてきましたが、DXでは国や自治体なども含めた社会全体のデジタル化により、扱うデータをオンライン上でシームレスにつなげる社会を実現することなのです。
今回ご紹介した医療機関と保健所と自治体を一体化してつなぐデジタルシステムの必要性はその一例です。
なお、実現にあたっての課題は大きく2つあります。
1つ目はシステム設計です。
DXは全体として壮大、かつ複雑なシステムになりますから、高度な設計(デザイン)技術が求められます。
2つ目はセキュリティ管理です。
国や自治体、あるいは企業の重要データが外部に流出しないように保護されなければなりません。
同様に個人データにおいても保護されなければならないのです。
DXの実現には多くの高いハードルがあると思いますが、DXは“新しい生活様式”を踏まえたこれまでとは異次元とも言える産業界全体の効果的、かつ効率的成果、および暮らし易い社会を実現するためのカギだと思います。