2020年09月13日
No.4746 ちょっと一休み その738 『ニュートンが万有引力の法則を発見したのはペストの大流行のお蔭!?』

5月19日(火)放送の「グッド!モーニング」(テレビ朝日)の「池上彰のニュース検定」コーナーでニュートンが万有引力の法則を発見したのはペストの大流行のお蔭であると報じていたのでご紹介します。

 

17世紀から18世紀にかけて大流行したペストのお蔭で、ヨーロッパでは当時の3人に1人が亡くなりました。

こうした危機的な状況によって、中世の社会は根底から変わりました。

絶大な権力を持ち、人々を支配していた教会の権威が失墜したのです。

きっかけは人々の教会に対する不信感でした。

ペストの流行には宗教儀式も祈りも効きません。

聖職者の中には感染を恐れて教会から逃げ出す人もいました。

信じていた教会の裏切り行為です。

人々のカトリックへの信頼は揺らいでいき、それが宗教改革を受け入れる素地となったのです。

更にペストで多くの人が亡くなったため、労働力も不足しました。

その結果、農民の賃金が上がりました。

それまで封建領主によって支配されていた農民が次第に自由を持つようになったのです。

また、人々を抑圧してきた中世の教会から人間本来の精神を開放しようとする動きが広がりました。

ルネサンスです。

中世の社会システムは崩壊に向かったのです。

 

ペストはその後も繰り返しヨーロッパを襲いました。

17世紀に流行した際にはある歴史上の人物に大きな影響を与えています。

アイザック・ニュートン(1643-1727)です。

当時ペストの感染拡大でケンブリッジ大学が休校に追い込まれました。

暇になったニュートンは故郷に帰ります。

そこで思索にふけっているうちに万有引力の法則や微分・積分の考え方を生み出したのです。

“禍を転じて福と為す”です。

 

新型コロナウイルスの影響で世界中で休校が続く中、現代のニュートンがどこかで生まれることを期待しています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して、これまでの歴史でペストがいかに人類の暮らしに大きな影響を及ぼしてきたかを知りました。

その具体的な内容を以下にまとめてみました。

・17世紀から18世紀にかけて大流行したペストのお蔭で、ヨーロッパでは当時の3人に1人が亡くなった

・人々の教会に対する不信感により、絶大な権力を持ち、人々を支配していた教会の権威が失墜した

・このことが宗教改革を受け入れる素地となった

・ペストで多くの人が亡くなったため、労働力も不足し、農民の賃金が上がり、やがてルネサンスにつながり、中世の社会システムは崩壊に向かった

・ペストの感染拡大で多くの大学が休校に追い込まれた

・ケンブリッジ大学に勤務していたアイザック・ニュートンもこの影響で暇になり、帰郷して思索にふけっているうちに万有引力の法則や微分・積分の考え方を生み出した

 

こうしてまとめてみると、新型コロナウイルスは私たちの暮らしにどのような影響をもたらすのかというところに興味が湧いてきました。

そこで、思いつくままに以下に書き出してみました。

・普段の何気ない暮らしは未来永劫続くことはなく、ウイルス感染によってある日突然生活全般を一変させられるということ

・コロナ禍において多くの企業が大打撃を受けている一方で、更なる成長を続けている企業群も存在していること

・こうした分かれ目となる要件は「3密」の回避、あるいはDX(デジタルトランスフォーメーション)への積極的な取り組みにあること

・こうした流れの中で、生き残り、新たな成長を遂げていく企業群とそうでない企業群の二極分化が起きること

・研究の分野においても、これまで時間の余裕が無く、じっくりと思索出来なかったテーマについて思索出来る時間を持つことが出来たことから、ニュートンには及ばないながらも人類史に残るような大発明のチャンスが到来したこと

 

ということで、“禍を転じて福と為す”で、特に今私が期待しているのは、どんなウイルスが発生しても速やかに対応出来るワクチン、および治療薬の開発メソッド、あるいはアルゴリズムの発明です。

ですから、新型コロナウイルスの影響で時間的に余裕の出来た中、現代のニュートンがどこかで生まれることを期待しています。

と同時に、国を挙げてのあらゆる面での“持続可能な社会”の実現を大前提としたDXへの取り組みによる、世界をリードする新たな日本づくりに大いに期待したいです。


 
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