2020年09月02日
アイデアよもやま話 No.4737 日産の新型EV「アリア」について4つの観点から見てみると・・・

7月15日(水)付けネットニュース(こちらを参照)で日産の「リーフ」に次ぐEV(電気自動車)、「アリア(ARIYA)」について取り上げていたので4つの観点からその一部をご紹介します。 

 

まず航続距離についてです。

最大航続距離は610km(2WD/90kWhバッテリー搭載モデル、WLTCモード日産社内測定値)です。

フル充電でのカタログ値でこれだけの航続距離であれば申し分ありません。

タクシーなどの業務車でも十分に実用的だと思います。

なお、これまで充電時間が30分で長いと言われてきた問題については、一度にフル充電しなくても休憩時間にちょっと急速充電スタンドを利用したり、夜間の駐車中に充電すれば解決出来ます。

 

2番目は動力性能についてです。

「アリア」の最高峰モデルは最高出力290kW/最大トルク600Nmで、0−100km加速は5.1秒、最高速度は200km/hといいますから、本格的なスポーツカー並みの動力性能を備えていると言えます。

 

3番目は自動運転技術の進化です。

先進運転支援システム「プロパイロット2.0」や「プロパイロット・リモートパーキング」の搭載により、自動運転技術を進化させました。

 

「プロパイロット2.0」は、ドライバーが常に前方に注意して道路・交通・自車両の状況に応じ直ちにハンドルを確実に操作出来る状態にある限りにおいては同一車線内でハンズオフ走行を可能としました。

「リーフ」の現行モデルではハンドルを握った状態での同一車線内の自動運転なので一歩前進と言えます。

 

また、「プロパイロット リモート パーキング」は、車外からの操作で駐車する運転支援機能で、狭いスペースに駐車するようなシーンでも、ドライバーや同乗者の乗り降りを容易に行うことが可能となります。

「リーフ」の現行モデルでもオートパーキング機能はありますが、ドライバーがハンドルを握った状態で、しかももし障害物にぶつかった場合はドライバーの責任でした。

しかし、「アリア」では車外からの操作になりますから、障害物にぶつかった場合は一切ドライバーの責任にはならないということであれば、大変な進歩であり、多くのドライバーから高い評価が得られると思います。

 

4番目は電力供給源としての役割についてです。

90kWhバッテリー搭載モデルであれば、一般家庭で「Vehicle to HOME(V2H)システム」を導入し、電気料金が夜間に安いプランで電力会社と契約すれば、ざっと1000kmの走行で2000円程度になります。

更に、夜間に充電して昼間駐車中は搭載するバッテリーを家庭用電源として使用すれば、電力会社から電気を購入するのと比べて、1kwhあたりざっと20〜30円近く得することになります。

ですから、電気代の大変な節約になります。

しかも、こうしたEVバッテリーの活用は社会的な見地からも望ましいのです。

なぜならば、昼間の電力需要は深夜時間帯に比べて2倍程度ですので、ピークカットに多少なりとも貢献出来るからです。

ちなみに、家庭用バッテリーを単独で購入すると、1kwhあたりざっと20万円ほどです。

ですから、仮に65kwhの家庭用バッテリーを購入すれば1300万円ほどになってしまいます。

ところが、65kwhのバッテリーを搭載した「アリア」のモデルの販売価格は500万円台といいます。

更にEV搭載のバッテリーは災害などによる停電時の非常用電源としての価値もあります。

ですから、現状では実用的な家庭用バッテリーの購入を検討した場合、現行の「リーフ」、あるいは来年発売予定の「アリア」を購入した方がお買い得ということになります。

しかもEVには元々移動手段としての価値がありますから、この2つの価値を考慮すれば、近い将来、どこかの時点で一気にガソリン車からEVへのシフトが起きると私は密かに確信しています。

 

ということで、「アリア」の日本での発売は2021年中頃を予定しているといいますが、1日でも早く試乗してみたい気持ちでいっぱいです。

ちなみに、私は初代「リーフ」からのオーナーで、今は2代目「リーフ」に乗り継いでいます。

 

これまでを振り返ってみると、初代「リーフ」、2代目「リーフ」、そして「アリア」の位置付けは日本のEVの歴史で言えば、ホップ、ステップ、ジャンプというイメージが浮かんできます。

「アリア」の登場により、ようやくEVは名実ともに移動手段として既存のガソリン車と肩を並べる存在になると実感しています。

更にEVには動く電力の供給源としての付加価値もあるのです。

これから先も更に完全自動運転車の実現に向けて、ホップ、ステップ、ジャンプは何回か繰り返されると思われます。

そして、完全自動運転車は早ければ2025年には実現するといいます。

そして、2030年にはEV、および完全自動運転車はかなり普及が進んでいると見込ます。(参照:アイデアよもやま話 No.4719 ノーベル化学賞受賞者、吉野彰博士からのメッセージ その2 本来のゴールとは・・・

 

ということで、近い将来、自動運転機能を備えたEVはMaaS(参照:アイデアよもやま話 No.4335 MaaSで進む交通モビリティ全体の最適化!)の枠を超えて、社会全体に貢献する存在になっていると思われます。


 
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