2020年08月30日
No.4734 ちょっと一休み その736 『「廃業」が多いと「開業」も多い!』

5月13日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で「廃業」が多いと「開業」も多いという状況について取り上げていたのでご紹介します。

 

「コロナ後」の産業構造の転換に向けて何が必要かについて、番組コメンテーターでピクテ投信投資顧問 シニア・フェローの市川 眞一さんは次のようにおっしゃっています。

「新型コロナウイルスで社会は変化をしていくわけですし、産業構造も変わらざると得ないと思うんですね。」

「で、(コロナ禍のような)危機のもとで、経済構造が変わっていく、産業構造が変わっていくわけですから、セーフティーネットが非常に重要だと思うんですけども、問題はセーフティーネットの張り方だと思うんですね。」

「これ2つありまして、1つは、産業構造を守る、そこで雇用を維持する方法ともう1つは産業構造の新陳代謝をむしろ進めていくと。」

「そこで一時的に例えば職を失った方などのために支援はしっかりしていく。」

「この2つのやり方があって、日本では産業構造を守って雇用を維持するということがこれまで重視をされてきて、例えばリーマンショックの時にもそれでかなり失業率を低く他の国に比べて抑制することが出来ているんですけども、その一方において産業の新陳代謝が遅れて、長期的な成長率が低下するという問題はあると思うんですね。」

「(今回のコロナは“新しい行動様式”に変えましょうということも言われているので、“新しい行動様式”に合わせた業態に変わっていかなければならない仕事も出てくるのではという問いに対して、)そうですね。」

「やはり「3密」を避けるだとか、人の移動が少なくなるということは確実に出てくると思いますので、そういった産業構造というか、社会の変化をきちっと先取りする、それを政策的に支えてセーフティーネットを張りながら、でも今までとは違うものを作り上げていくという覚悟は必要なんじゃないでしょうかね。」

 

「欧米の例を見ても、廃業率と開業率はほぼ一致する傾向がありまして、どうしても産業構造を守ろうとしてしまうと開業も生まれてきませんので、やはり新しい社会、新しい経済構造に合わせて新しいものを生んでいかなきゃいけない。」

「そのためには新陳代謝を進めていかなければいけないということだと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今はコロナ禍の真っただ中の状態です。

そして、全ての暮らし、あるいはビジネスは「3密」の回避を大前提として回っています。

こうした状況において、市川さんの指摘されているように、国の取るべき対応策として産業構造を守る一方で、産業構造の新陳代謝を進めるという2つがあります。

しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション)が話題になっているように、ITやAIといったデジタル技術が進歩しており、様々な「3密」回避対策の検討が可能になっています。

ですから、これまでの経済構造や産業構造を守ることに固執するよりも、DXの視点から“新しい生活様式”に則したビジネスを新たに展開することが企業の存続には求められます。

また、コロナ禍はニュービジネスに取り組もうとする企業にとって後押しをしてくれる絶好のチャンスとも言えます。

 

ということで、欧米の例では廃業率と開業率はほぼ一致する傾向があるということですが、これは結果であって、こうしたニュービジネスにチャンレンジする企業が増えれば、不幸にして廃業に追い込まれた企業の従業員の受け皿としても機能するので、より多くの企業にニュービジネスにチャンレンジしていただきたいと思います。

 

一方で、収入の道を閉ざされて生活が困窮している人たちを政策的に支えるセーフティーネットが必要です。

国は一人当たり10万円の給付金を既に実施済みですが、コロナ禍はこれからも当分続くとみられており、継続的な給付金の支援が必須です。

そうした中、コロナショックというこの国家的な危機を契機にアイデアよもやま話 No.4667 俳優や声優の生活がピンチ!でもお伝えしたような恒常的なセーフティーネット、すなわちベーシックインカムのような制度を検討してもいいのではないかと思います。


 
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