2020年08月23日
No.4728 ちょっと一休み その735 『感謝する気持ちと恐怖は一緒に感じられない!?』

4月13日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)の「コロナに思う」というコーナーで、糸井重里さんは次のようにおっしゃっていたのでご紹介します。

 

「僕は専門家じゃないので、ただの71歳のおじいさんとして、このこんがらがったものすごく沢山情報が来るし、感情の渦が巻いているし、こういうこんがらがった状況をどうやって糸をほぐすように1本のヒントからほぐせるだろうかということを考えてみました。」

「24時間起きている限りは新型コロナウイルスの話をされます。」

「そんな中で、自分もちょっと知ったような気になって、あれがこうじゃないか、これがこうじゃないかってことを考えたり、人に話したりということはあるんですけども、街にそれがサイレンの響きみたいに鳴り渡っている状態っていうのは相当自分にとっても他人にとってもストレスなんじゃないかと思いまして、「待てよ、救急車のサイレンはなんで鳴っているんだっけ」っていうふうに考えました。」

「救急車のサイレンていうのは、「急いでいますから前を開けて下さい」と言うために鳴っているんですね。」

「「大変だ、大変だ」って言ってるわけじゃないわけです。」

「「大変だ、大変だ」って言っているサイレンの音を1回みんなが止めた方がいいんじゃないかというふうに思ったというのも結構自分の気持ちを楽にしてくれました。」

 

「もう一つは、自分たちが家にいましょうだとか、止まりましょうと言っている間も、止まってはいけないものが沢山あります。」

「単純に水道だとか、電気だとか、そういうモノもそうですし、モノを通信販売で頼んで、届けてくれる人たちも止まってはいけないわけですから、動いていてくれるわけです。」

「で、何よりもこの大きな感染の渦の中にいながら治療してくれる人たち、その人たちのことを忘れないようにいつでも感謝していようと自分に約束しました。」

「で、これお医者さんから聞いたんですけど、感謝する気持ちと恐怖は一緒には感じられないんだそうです、人間は。」

「ですから、感謝している時間は恐怖を感じなくて済むっていう利点もあります。」

「(新型コロナウイルスは)いつか終わるんですね。」

「で、終わった未来の側から今の自分を見ることっていうことをやってみようと思いました。」

「で、何か未来の自分から見て、役に立つことを知っておこうというふうに思っているのが今の僕のやり方です。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通してまず感じたことは、糸井さんはさすがに冷めた目で客観的に物事を見る目をお持ちだなということです。

確かに、新型コロナウイルスの感染拡大から半年ほど経った今も「3密」の回避に気を配りながら暮らしており、こうした状況がいつまで続くのか皆目見当がつきません。

ですから、私たちは大なり小なりコロナ禍以前の暮らしと比べた非自由さにやるせなさを感じつつ、ストレスを溜めながら暮らしています。

このようにコロナ禍とまともに向き合いながらの暮らしはこれからまだ1年以上続くとも言われています。

 

こうした中で、糸井さんは私たちが少しでも気分的に楽に生きられるように次の2つの術を教えてくれています。

感謝する気持ちと恐怖は一緒には感じられないので、医療関係者などへの感謝の気持ちを持ち続けること

・時には新型コロナウイルス終息後の未来の自分から見て、役に立つことを知っておこうとすること

 

まず“感謝する気持ちと恐怖は一緒に感じられない”という言葉はとても新鮮な感じを受けます。

人間の創造主がいたとしたら、創造主が人間の心のあり方として、何かに感謝する気持ちを持つことが心を楽にしてくれる術として人間の本能として授けてくれたのではないかと思ってしまうからです。

同時に感謝される側としても、周りの人から感謝されて悪い気持ちを持つ人はまずいないと思うからです。

 

こうした人の心のあり方は、「他人の欠点にばかり目を向けるよりも、その人の長所に目を向けよう」という人もおりますが、こうした考え方にも通じると思います。

要は、目の前の心配事や恐怖心に心を奪われるのではなく、物事を客観的に捉え、前向きに生きようということなのではないでしょうか。

こうした生き方をするうえで、時には新型コロナウイルス終息後の未来の自分から見て、役に立つことを知っておこうという糸井さんの提唱はとても参考になると思います。

 

ここであらためて思い起こされるのは、“生き残るのは強い生物ではなく、環境にうまく適応出来る生物である”という言葉です。

新型コロナウイルスの感染拡大の状況において、「3密」(密閉・密集・密接)の回避こそが最善の対策であることが既に明らかになっています。

ですから「3密」の回避を大前提としたビジネス、あるいは暮らしを確立した企業や人たちこそが新型コロナウイルスとの闘いの勝者であり、生き残っていくことが出来るのです。

そして、こうした闘いが確立出来れば、次なるウイルスとの闘いにも大いに役立つわけです。

 

ということで、本来人に備わった本能も含めて、客観的な事実を踏まえ、物事に真摯に向き合い、前向きに取り組むことこそがどのような環境になろうとも最善の生き残り戦略だと思うに至りました。


 
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