2020年08月04日
アイデアよもやま話 No.4712 コロナショックでも中小企業が出勤人数を減らせない事情!

4月14日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコロナショックでも中小企業が出勤人数を減らせない事情について取り上げていたのでご紹介します。 

 

4月7日の緊急事態宣言の発令に伴い、西村経済再生担当大臣は在宅勤務、あるいはテレワークの推進に向けて、次のようにおっしゃっています。

「出勤者の数を最低7割減らすことを徹底してあらためてお願いしたい。」

 

一方、日本商工会議所の三村明夫会頭は次のようにおっしゃっています。

「テレワークの難しい、例えば(従業員)50人以下の(中小)企業は現在テレワークは14%くらいしかやってないわけですね。」

「彼ら(中小企業)に対してどうするのか。」

 

大企業とは違い、中小企業の多くは簡単には出勤人数を減らせない事情を抱えています。

有限会社坪川製箱所(東京・葛飾区)は従業員10人の段ボール工場、梱包用のダンボールの他、段ボール製のお盆や枕なども作っています。

政府が出勤人数の7割減少を求めた後でも、こちらの企業ではオフィス部門の人数を5人から4人に減らすに止まりました。

専務の坪川恵子さんは次のようにおっしゃっています。

「小さい町工場は価格競争の面では大手さんにはかなわないので、いかに早くお客さんがどうしても急ぎで欲しいというものに早く対応していかないと厳しいのかなというところはあります。」

 

オフィス部門で出勤を大幅には減らせないのには他にも事情があります。

注文の9割はファックス、手書きでくることも多いといいます。

更に、ハンコ文化など、日本式の慣習が在宅勤務への移行を阻んでいるようです。

坪川専務は次のようにおっしゃっています。

「(取引先は)昔ながらの中小企業が多いです。」

「パソコンがないというところもありますからね。」

「難しいですね、テレワーク。」

 

一方、自動車部品メーカー、屏風浦工業(神奈川・綾瀬市)では約40人がオフィス部門で働いていますが、テレワークをしているのは経理担当のわずか3人のみ、設計などを担当する部門ではテレワークは難しいといいます。

組田龍司社長は次のようにおっしゃっています。

「お客様との機密保持契約の関係で、データを個人の家に持ち帰ることは禁止されているんですね。」

「ネットの環境がセキュリティ面で万全な状態をつくらない限り、ハッキング的なものが怖いですから、(テレワークが)出来ない環境を持っていますね。」

「そういった作業が出来る環境にかけるお金がないというのが中小企業の実態だと思いますよ。」

 

大企業のように大幅にテレワークに切り替えることが難しい中小企業、そこでこの企業ではこれまで午前8時から午後6時までだったオフィス部門の勤務時間を人の接触を減らすため、日中と夜間帯の2つに分けるなどの対策を行っています。

更に、組田龍司社長は次のようにおっしゃっています。

「不特定多数の人との接触を避けることをメインに、運転が出来る方については、公共交通機関を使わないで欲しいということで、会社のクルマを貸し出しています。」

「で、後は免許を持っていない方も中にはいらっしゃるんですよ。」

「そこらへんは管理職、あるいは経営層の人間が持ち回りで送り迎えをしようということで、朝晩送り迎えしています。」

 

政府の専門家会議のメンバーで日本医師会の常任理事、釜萢敏さんは次のようにおっしゃっています。

「現状で出てきているデータを見ると、まだ不十分と言わざるを得ないですね。」

「都市封鎖というような方法を取らないという選択の中で今やっていますので、あくまでも国民の皆さんの理解と協力を得て、そこ(接触を8割減)まで落そうということですから、大変厳しいとは思いますけど、何とか実現して欲しいと思っています。」

 

政府もこうした企業の実情に合わせ、ハンコによる承認の撤廃や株主総会のオンライン化の推奨など、規制改革を進める考えを示しています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

新型コロナウイルス対策の基本である「3密」(密閉・密集・密接)の回避は国や地方自治体、企業、そして個人、すなわち国全体に社会のあり方の変革を迫っています。

一方で、持続可能な社会の実現、およびそれに伴う企業に求められるSDGs(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)、そしてDX、すなわちデジタルトランスフォーメーション(*)の推進といったような動きがあります。

 

* 2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」では、DXの定義を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と、より明確かつ具体的に示しています。

 

そして、新型コロナウイルス対策の基本である「3密」の回避を突き詰めていくと、こうした動きにつながっていくことに気付きます。

例えば、満員電車は“密接”の象徴と言えますが、在宅勤務の普及により改善されることが新型コロナウイルスにより実証されています。

同様に新型コロナウイルスに伴うこうした行動変容は移動に伴うエネルギー消費の削減につながっています。

 

ということで、新型コロナウイルスは図らずも持続可能な社会の実現、SDGsの達成、そしてDXの流れを加速させる絶好のチャンスを与えてくれているという前向きな解釈が出来るのです。

そして、この絶好のチャンスを生かすために、国、企業には以下の役割が考えられます。

(国)

・国自らがハンコ文化などから脱却する制度設計を実施し、DXを体現する

・そのために必要な法改正を実施する

・DXに取り組む中小企業に対し、補助金を給付する

(企業)

・国による法改正を積極的に生かし、DXを最大限に生かしたビジネスプロセスに転換する

・業務プロセス支援アプリの開発メーカーは、法改正を最大限に生かし、かつセキュリティにも考慮した、中小企業でも容易に導入出来るようなアプリを開発し、提供する

・不動産関連企業は、在宅勤務が困難なケースへの対応やリモートオフィスの需要に応えるスペースサービスを提供する

・中小企業はこうしたアプリを導入し、生産性の向上や人手不足の解消に積極的に取り組む

 

ということで、私たち一人ひとりは新型コロナウイルスの感染拡大に恐れおののくのではなく、前向きな意識で新型コロナウイルスとの共存を図り、“新しい生活様式”の創造に向けて邁進すべきだと思うのです。


 
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