4月16日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコロナ禍で生まれる医療従事者への様々な支援について取り上げていたのでご紹介します。
株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(東京・中央区)が作っているのは医療用のフェースシールドです。
大野 秀晃社長は次のようにおっしゃっています。
「こちら(フェースシールド)は飛沫を防ぐものですので、医療従事者の方が着けていただいて患者さんに接しますと、あるいは手術を行いますと、飛沫があっても防ぐかたちでございます。」
医療現場からの訴えを受け、まずは500個の無償配布を始めました。
今回活用したのが3Dプリンター、ジャパン・メディカル・カンパニーは通常乳児用のヘルメット型の医療器具を製造・販売していますが、そのノウハウを生かしてフェースシールドの柄の部分を制作、そこにコクヨから無償提供されたクリアファイルを取り付ければ完成です。
今後は、広く寄付を募りながら無償提供を続けたいとしています。
大野秀晃社長は次のようにおっしゃっています。
「我々がこれを作ることによって、命をかけて命を守っている人が少しでも前向きに仕事が出来れば、今回の無償提供の意味があるんじゃないかと思っています。」
このフェースシールドをいち早く使い始めた東京慈恵会医科大学 医学部外科・統括責任者の大木 隆生教授は次のようにおっしゃっています。
「ちゃんとした製品で、視野もよくて、ちゃんと防護されているものがこういうクライシスの中にあって、医療崩壊にもつながりかねない勘所の一つがタイムリーにこうやって供給されたのは本当にありがたいと思っていますし、感謝しております。」
ちなみに、大木教授については、アイデアよもやま話 No.4701 新型コロナウイルス対策に必要な発想の転換!でもお伝えしたことがあります。
他にも医療器具の支援を表明する企業は相次いでいます。
日産自動車は4月16日、フェースシールドを4月から月に2500個のペースで生産すると発表、ANAホールディングスも医療用ガウンの製作を支援することを発表しました。
大木 隆生教授は次のようにおっしゃっています。
「これから日本がコロナと闘っていくうえで、丸腰では闘えない、武器が必要。」
「それによって私たち医療者が守られ、院内感染が防げて、新型コロナウイルスとの多くの世界の指導者が言っているように戦争に打ち勝つことが出来る。」
国保旭中央病院(千葉県旭市)では、医療従事者たちを食で支えようという取り組みが始まっています。
この病院の敷地内にあるレストラン、キッチン ツナグでは、病院内で働く医療従事者向けの日替わり弁当を販売しています。
その価格は400円と、採算度外視、格安の秘密は無償で地元の農家などから食材をもらっているからといいます。
売り上げは弁当の容器などに充てています。
この医療従事者を支える取り組みを始めたキッチン ツナグの豊田維さんは次のようにおっしゃっています。
「いつ病院さんのお世話になるか分からない。」
「その時に(病院が)通常業務が出来ていないようではかなり難しいですよね。」
「危ない状況になると思うんで、そうなる前に何か仕事として支援しようというのが最初の話でした、僕らの。」
メインは消化のいい野菜料理が中心です。
豊田さんは飲食業界でも医療従事者を支える機運を高めたいと話します。
「レストランだったり農業でなくてもいいんですが、地域医療というところで、自分の一番身近な医療機関に対して、差し入れ感覚でも構わないんで何かしてあげたらいいかなって、そういう想いはあります。」
「僕らだけじゃなくて、それぞれの地域で広めていけたらなと思っています。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
これまでお伝えしてきたように、コロナ禍で多数の感染者を看護する多くの医療機関、および医療従事者は資金的、あるいは労働環境などで大変な状況に追い込まれています。
そうした中、今回ご紹介したフェースシールドや食の提供など、医療従事者への様々な支援は多くの医療従事者の方々にとってきっと精神的にも大きな励みになっていると思います。
こうしたある業界の企業やその従事者の方々が何らかの理由で大変な状況に追い込まれた時に、お互いに支援の手を差し伸べるという社会のあり方はとても健全だと思います。
新型コロナウイルスによって求められる「3密」の回避などの行動変容により個人と社会を分断する作用が働きますが、だからこそ“心のつながり”がより一層求められるのです。
新型コロナウイルス以前には当たり前だった普通の暮らしが当たり前に出来なくなり、“新たな生活様式”が求められる中で私たちはいろいろなストレスを抱えている状況にあります。
そうした中、“心のつながり”の大切さを再認識し、自分の出来ることを行動に移すことは人間としてとても大切だと思います。