VR(仮想現実)の活用については、アイデアよもやま話 No.4677 注目される”VR会議”で先日お伝えしました。
今回は3月12日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でVRを活用したお墓参りについて取り上げていたのでご紹介します。
HITOWAライフパートナー株式会社(東京・港区)の関連会社、おそうじ本舗が提供するサービスは、依頼を受けてお墓の掃除やお参りをし、360度撮影出来る特殊なカメラでその様子を撮影するというものです。
そして依頼者は遠く離れたところから、ゴーグルを通してこの様子を見ることが出来るのです。
このサービスを始めたのは、有料老人ホーム「イリーゼ」のある入居者の次のような一言からです。
「「お寺に行きます」、「高島屋に行きます」なんて、そんな簡単にここ(介護施設)を出られないもん。」
実際に、番組ではこの一言を発した87歳の女性入居者によるこのサービス「VRお墓参り」の疑似体験を取材していました。
疑似体験後の感想は以下の通りです。
「(お花などが見えるかという問いに対して、)花見える。」
「(お墓参りしたなと思えるかという問いに対して、)なんか、そんなような感じするわな。」
「お墓参りに行きたいけど行けない」という入居者の声をスタッフが聞き、それをグループ会社であるおそうじ本舗に持ちかけたことでこのサービスは生まれたのです。
価格は、お墓の掃除、撮影、動画の提供を含め、3万8000円から(税別)です。
来年中の一般販売を目指しています。
HITOWAケアサービスの松村 萌和さんは次のようにおっしゃっています。
「行ったことのない場所、世界の観光地とかスキューバダイビングのようなことを体験を新たにしてみたいというようなお声も耳にしていますので、そういった展開を進めていきたいと考えています。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
さて、これまでも以下のように様々なお墓参りのサービスについてご紹介してきました。
No.1752 ちょっと一休み その265 『近い将来はネットでお参り!?』
アイデアよもやま話 No.2966 自宅近くの納骨堂で気軽にお墓参り!
アイデアよもやま話 No.3885 お墓参りの新たなサービス!
要するに、高齢化や施設に入居中であったりといった理由から外出が困難であったり、先祖のお墓と今住んでいる場所との距離が遠く離れているなどの理由からお墓参りが出来ず、それでも何とかお墓参りがしたいという要望があり、それを満たすサービスがいろいろと出て来ているのです。
最近では、こうした動きとは逆に、今あるお墓を“墓じまい”し、自分の住んでいる近くにお墓を移すというパターンも見かけられます。
一方、こうしたお墓を新たに造るにはかなりのお金がかかりますので、共同墓地や樹木葬などといったパターンも普及しつつあります。
いずれにしても、日本の風習として、お盆や3回忌などの法事が残っていますので、たとえ遠く離れていても親族がその開催場所に一同に会するというのが一般的です。
さて、ここまで書いてきて思いつきました。
それは、新型コロナウイルスの影響で、今、「3密」(密閉、密集、密接)を避けるべく、葬儀などの法事があると、必要最小限の親族だけに絞って出席するパターンが多いと思います。
しかし、一方でVRの活用もゲームを中心にどんどん進んでいます。
そこで、今回ご紹介したようなVRの活用まで至らなくても“オンライン葬儀”などの新たな法事サービスが登場すれば、多少の縁のある多くの人たちが人数の制限なく出席出来るようになるのです。
ということで、“新しい生活様式”の一環として、近い将来、“オンライン葬儀”などの“オンライン法事”が普及していくと思われます。
なお、新型コロナウイルスの影響を受けて、在宅勤務やテレワーク、オンライン授業、更にオンライン株主総会などが導入されています。
同様に、ネット通販や宅配サービスも拡大しているといいます。
さて、これまで公私に関係なく、人に会いに、あるいは会議などのイベントに出席するために、時間をかけて交通機関を利用して移動してきました。
しかし、考えてみれば、インターネットの普及した現在、テレビ会議サービスを活用すれば世界中、どこの誰とでも簡単にコミュニケーションを取ることが出来るのです。
ですから、新型コロナウイルスは人類に大変な被害をもたらしている一方で、“食べず嫌い”とも言えた様々な“オンラインコミュニケーション”の便利さを私たちに目覚めさせてくれたとも言えるのではないかと思うのです。
そして、今回ご紹介したようにVRなどの技術を駆使した様々な“オンラインコミュニケーション”サービスが今後とも新たに登場し、より洗練されたかたちに進化していくものと期待出来ます。
また、こうした場所に囚われないで暮らすことの出来るライフスタイルは、プライベートタイムを増やし、交通機関の混雑を軽減することにもつながるのです。