3月12日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で産地直送を可能にするアプリについて取り上げていたのでご紹介します。
新型コロナウイルスという異常事態において、農業の注目を集める新サービスもあります。
千葉県我孫子市で農園を営む香取 岳彦さんは、主に飲食店に卸すほうれん草や人参などを育てています。
香取さんは次のようにおっしゃっています。
「(飲食店からの)予約のキャンセルも相次いでいて、半分以下のお客さんなので、野菜の消費量もやっぱり半分ということで、うちの売り上げも半分になりますね。」
そんな香取さんですが、出荷の準備をしています。
香取さんは次のようにおっしゃっています。
「これは「食べチョク」さん向けに採った野菜を袋詰めして出荷作業をしております。」
「食べチョク」とは、農家などが消費者に直接売ることが出来るサービスで、今新型コロナウイルスの影響で外出を控え、自炊する人が増える中、注文が伸びているといいます。
香取さんは次のようにおっしゃっています。
「「食べチョク」さんが(送料無料)キャンペーンをして、(「食べチョク」からの)受注数が1.5倍に増えた結果、非常に助かっています。」
こちらのサイトでは3月に入り、注文が2倍(前月比)のペースで増加、新型コロナウイルスによる人々の生活の変化が結果的にサービスの浸透につながっています。
「食べチョク」を運営する株式会社ビビッドガーデンの秋元 里奈社長は次のようにおっしゃっています。
「これまでに買ってくれなかった人たちが買っている。」
「(消費者と生産者の)両者の需要が高まっているのかなと思っています。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
新型コロナウイルスの影響で、まだまだ不要不急の外出自粛の傾向が続いています。
ですから、当然の流れとしてファミレスなど外食産業の売り上げは激減していますが、一方で自宅への持ち帰り消費、あるいは巣ごもり消費、イエナカ消費と言われる消費(参照:アイデアよもやま話 No.4640 広がる”イエナカ消費”!)がその分増えているのです。
ですから、ファミレスや居酒屋など、多くの外食産業がテイクアウトや宅配のような新サービスを展開するのは当然と言えます。
同様に、自宅にいながらにして買い物が出来るネット通販の売り上げ増は当然の帰結と言えます。
こうした流れの中で、今回ご紹介した「食べチョク」アプリは、これまでのお客だった飲食店の売り上げ減による影響で農家の売り上げも激減する中で、個々の農家が新たな顧客を獲得する手段としてとても有り難いサービスだと思います。
一方、消費者の立場からも、こうした農家のネット通販への参入は、食材の購入の際の選択肢が増えるわけですからメリットがあります。
ということで、新型コロナウイルスの影響で「食」に関する分野においても“新しい生活様式”が徐々に浸透しているように見えます。
ちなみに、私の使用しているスマホでは最近牛肉のネット通販関連のメールをよく見かけるようになりました。
そこで一度試しに購入してみたら、その価格はいつも利用しているスーパーで買うよりも安いし、味も悪くないのです。
ですから、その後何度か利用していますし、これからも利用したいと思っています。
ということで、「食べチョク」のようなアプリの登場によって、個々の農家は農協を通すだけでなく、新たな販売ルートを手に入れることが出来たのです。
ですから、こうしたアプリはやがて農協を脅かすような存在になるかもしれません。
まさに、“新しい生活様式”はこれまでのビジネス形態の再構築をももたらしつつあると言えるのです。