2020年06月23日
アイデアよもやま話 No.4676 新型コロナウイルス関連で今思うこと!

前回は、日本版のCDC(Centers for Disease Control and Prevention)、アメリカ疾病対策予防センターの必要性についてお伝えしました。

今回は4月15日(水)付けのネット記事(こちらを参照 「Voice」2020年5月号に掲載された内容)を通して、新型コロナウイルス関連について以下にCDC関連以外の内容をまとめてみました。

しかし、ざっとでも全文お読みになるのをお勧めします。

なお、この記事の執筆者はイギリス キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷 健司教授です。

・2019年12月31日に肺炎症状を合併した感染症が中国から始めてWHO(世界保健機関)に正式に報告された。実際には11月から散発例があったようだが、それは中国国内で封印されていた。この初動の遅れが響いたのか、中国が世界に公表したときには、すでに武漢では爆発的な流行期に入っていた。

・その後の中国政府の動きは凄まじかった。人口1100万人の武漢全体を文字通り封鎖したのだ。他の大きな都市でも迅速に都市封鎖を行ない、可能なかぎりの強権的な介入を行なった。

・SARSやH7N9インフルエンザの経験から蓄積されたノウハウがここで大いに生きた。サーベイランスネットワークを駆使し、検査体制を拡大させて、感染者はスマホアプリで追跡をした。医療対応も迅速だった。重症肺炎のための治療施設をフル稼働させ、感染者の隔離病棟を確保し、緊急医療チームを総動員した。さらに、多くの臨床試験を開始した。中国の科学者は、驚くべきスピードで『ランセット』『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』といった一流医学雑誌に次々と論文を掲載している。

・しかし、欧米の研究者たちはこの中国からの警告をなぜか無視し、2月後半から3月前半に欧米で感染が拡大するまで適切な手段を講じなかった。そして、それは世界のパンデミック対応の軸となるべきWHOへの国際的な対応も同様であった。

・パンデミック時にやるべきことはほぼ決まっている。まず、初期には少数の感染者を検査で探し出し、隔離によって感染の拡大を防ぐ。シンガポール、香港、そして台湾が封じ込めにいまのところ成功しているのは、徹底的にこの「検査と隔離」を行なったからである。この際に必要なことは、WHOのテドロス事務局長が力説したように「検査、検査、検査」である。どのくらい感染が広がっているかわからなければ、現在の感染フェーズの把握ができず対策も立てようがない。

・十分な集団免疫を持たないかぎり、新型コロナウイルスが終息することはない。一度封じ込めたとしても、パンデミックであるかぎり世界のどこからでも国内に入り込み、再度流行する可能性がある。封じ込めに成功した中国やシンガポール、香港なども第二波、第三波の流行を警戒している。十分な集団免疫を獲得するには、ワクチンあるいは自然感染で人口の70%程度が感染して抗体をもつ必要がある。ワクチンは既にいくつかのものが臨床試験へと進んでいるが、実用化には最低でも一年以上かかると考えられる。また、アフリカなどの開発途上国への蔓延の可能性、そして、自然感染による集団免疫の獲得にも数年かかると考えられるために、新型コロナウイルスの終息にはかなりの時間がかかるであろう。

・日本はグローバルヘルス分野には積極的に関わってきた。とくに2016年の伊勢志摩サミットにおいては安倍総理自らパンデミック対策を打ち出し、WHOの健康危機対策機能の強化、パンデミックのための保険制度、そして日本が創業メンバーとなりパンデミックワクチン開発を目的とした感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)への供出など、今回の新型コロナウイルス対策においても実際に活用されている国際的枠組みへの貢献をしてきたことは特筆すべきであろう。とくに、筆者も科学諮問委員として参画するCEPIでは、投資先のワクチンがわずか数カ月で最初の臨床試験に入った。これは異例のスピードである。

・パンデミックには国際的協調が欠かせない。なぜならば、グローバル化した世界ではウイルスから逃れることはできないからだ。一国が封じ込めに成功しても他の国が封じ込めに失敗したら、いつ何時、感染の再流行をもたらすかわからない。また、ワクチンや治療薬の開発はすべての国に裨益する。各国がエゴ丸出しの施策をし続けることは得策ではない。

・『ネイチャー』誌によると世界のリーダーと科学アドバイザーがいまやるべきことは、。廝硲呂離▲疋丱ぅ垢暴召Δ海函↓▲┘咼妊鵐垢力席顕修肇ープンな研究を推進すること、そして、9餾欟調、の三つだ。いまこそ、この基本を各国のリーダーたちは思い出してほしい。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

記事を通してまず最初に思ったことは、各国がそれぞれウイルス感染情報についてのアンテナを張り巡らせて、しかも日頃からウイルス感染対策を整備していれば、パンデミックに至らなかったのではないかということです。

No.4638 ちょっと一休み その720 『WHOは病気にかかっている!?』など新コロナウイルスに対するこれまでの中国に過度に配慮したと思われるWHO(世界保健機関)テドロス事務局長による発言やガバナンスに関する問題についてお伝えしました。

また、アメリカのトランプ大統領を始め、世界には、新型コロナウイルスの感染源である中国による情報提供の遅さを激しく非難している国々があります。

しかし、一方で台湾は中国と地理的に近く関係が深いにもかかわらず、新型コロナウイルスによる死者が5人にとどまって封じ込めに成功しており、陳建仁副総統によると、台湾は昨年12月31日、人から人への感染についてWHOに警告していたのです。

ですから、このタイミングで日本も含め、世界各国が台湾に直接状況を確認するなど自ら積極的に動いていれば、少なくともこうした国は感染を最小限に食い止めることが出来たのです。

 

確かに中国の対応やWHOのテドロス事務局長の発言には納得がいかないところはありましたが、だからと言って、トランプ大統領のように自国の対応のまずさを棚に上げてWHOや中国の対応のまずさばかりを非難するというのはどうかと思います。

まず各国が自国の新型コロナウイルスの感染拡大阻止に全力投球し、世界的に一段落したところでWHOを中心に各国が共同で再発防止策を検討すればいいと思うのです。

 

次にWHOのテドロス事務局長が力説したように「検査、検査、検査」、検査の必要性です。

どのくらい感染が広がっているかわからなければ、現在の感染フェーズの正確な把握が出来ず、対策も立てようがないからです。

しかし、アイデアよもやま話 No.4621 新型コロナウイルスとの闘い その1 日本がパンデミックにまでならない理由!で、日本は当初、PCR検査の数を控えて、クラスター(感染者集団)を見つけて、クラスターをつぶしていたことがオーバーシュート(爆発的な感染)を防いできたと見られていること、また新型コロナウイルスは80%の人には誰にも感染させていないとお伝えしました。

しかし、東京都では、それまで感染者数は1日当たり40人ほどの枠内に収まっていましたが、6月14日から2日続けて再び感染者数が40人を越えてきました。


その理由は、夜の繁華街で働く接客を伴う飲食店の関係者が集団検査を受けた結果だといいます。

このことから、一部で言われていたように、日本はPCR検査を受けた人数が少ないことから、実際の感染者数はこれまで公表されてきた数よりも非常に多いということが実証されたかたちになりました。

では、これまで公表されてきた感染者数の推移は一体何だったのかと思ってしまいます。

さて、ここで新たな疑問が湧いてきました。

アイデアよもやま話 No.4658 注目の”K値”で第2波を察知可能!?でお伝えした“K値”ですが、PCR検査を受ける対象者数を急に増やしたり、あるいは夜の繁華街のような特定の地域で急に集団検査をすると、“K値”による今後の感染者数の正確な察知予測は出来ないのではないかということです。

どんな素晴らしい目的を持った計算式でも、そこで使用されるデータの精度が悪ければ、有効性は期待出来ないのです。

ということで、まだまだ新型コロナウイルスへの取り組みは試行錯誤が続きそうです。

 

次にあらためて思ったのは、十分な集団感染を経て集団免疫を持たないかぎり、新型コロナウイルスが終息することはないということです。

また、十分な集団免疫を獲得するには、ワクチンあるいは自然感染で人口の70%程度が感染して抗体をもつ必要があるということです。

また、ワクチンは既にいくつかのものが臨床試験へと進んでいますが、実用化には最低でも一年以上かかると見込まれているということです。

更に、6月16日に報じられていたネットニュースは以下のように報じています。(詳細はこちらを参照)

 

新型コロナウイルスへの感染歴を調べる抗体検査について、厚生労働省は16日、陽性率が東京010%、大阪017%、宮城003%だったと発表した。専門家は、国内では多くの人が抗体をもっていないとみて、「第2波」に向けた対策の必要性を指摘している。

 

こうしたことから、集団免疫の獲得にも数年かかると考えられるために、新型コロナウイルスの終息にはかなりの時間がかかることを前提に物事を考えることが妥当と考えるべきなのです。

ですから、まさに“新しい生活様式”をベースに、個人の暮らしも企業による消費者に提供する商品やサービスも考えなければならないのです。

ということは、“幸いを転じて福と為す”のことわざにもあるように“新しい生活様式”をベースにこれまでにないようなアイデアのビジネスモデルを展開するベンチャー企業にとっては千載一遇のチャンスでもあるわけです。

 

次は、安倍総理は新型コロナウイルスへの取り組みでは対策の実施が遅いとか、アベノマスクに象徴されるように適切な対策が取られていないということで、内閣支持率も大幅にダウンしていますが、別な素晴らしい面もお持ちだということです。

日本はグローバルヘルス分野には積極的に関わってきて、2016年の伊勢志摩サミットにおいては安倍総理自らパンデミック対策を打ち出し、今回の新型コロナウイルス対策においても実際に活用されている国際的枠組みへの貢献をしてきたというのです。

 

マスコミは、往々にしてその時々で発生した良いこと、悪いことについて報道していますが、なぜそうしたことが起きたのか、そしてどのような影響があるのか、あるいは今後の展開はどのように予想されるのかなどといった、全体像を必ずしも報道しているとは限りません。

往々にして、それぞれのマスコミは個々の視点から実態を断片的に取り上げる傾向があります。

ですから、こうした報道の受け手である私たちは、こうした断片的な情報について、複数の情報源からより全体像の把握に近づけるような努力が求められるのです。

また、こうした努力を少なくするうえで、無視出来ないのは客観的な目を持ったジャーナリストの存在です。

ですから、ジャーナリストの存在は、私たちの情報源としてとても重要だと思うのです。

 

最後は、現在のようなグローバル化した世界では、ウイルスを含めてあらゆる面で否応なく各国間で大なり小なり影響を与えあっているということです。

ですから、パンデミック対応には国際的協調が欠かせないのです。

そして、特に影響力のある米中2大大国の意向はとても重要です。

ですから、トランプ大統領、習近平国家主席のお二人には、こうした役割を肝に銘じて責任を果たしていただきたいと思います。

経済や軍事などの面においても同様です。

また、『ネイチャー』誌が指摘しているように、世界のリーダーと科学アドバイザーが今やるべき3つのことは全くその通りだと思います。

ですから、WHOには一部の国の意向に偏らないような客観性を維持していただきたいと思います。


 
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