2020年06月14日
No.4668 ちょっと一休み その725 『(続々)WHOは病気にかかっている!?』

No.4638 ちょっと一休み その720 『WHOは病気にかかっている!?』、およびNo.4644 ちょっと一休み その721 『(続)WHOは病気にかかっている!?』WHO(世界保健機関)のガバナンスに関する問題についてお伝えしました。

今回はその第三弾です。

 

6月3日(水)付けネットニュース(こちらを参照)の内容の一部を以下にまとめました。

 

・新型コロナウイルスへの対応で、アメリカから中国寄りだと批判されるWHOについて、AP通信は6月2日、独自に入手したWHOの会議の録音など、内部資料や関係者への取材をもとに、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた、今年1月のWHO内の対応を報じた

・それによると、WHOで1月の第2週に開かれた複数の会議では、ウイルスがヒトとヒトとの間で感染する可能性などについて、中国政府の情報提供が不十分だと出席者から不満の声があがっていたという

・また、アメリカ人でWHOの技術責任者のバンケルコフ氏は「適切な対策を立てるには明らかに情報が不十分だ」と指摘していたほか、WHOの中国事務所の代表も「国営テレビで放送される15分前にしか情報が提供されない」と不満を漏らしていたという

・その一方でAP通信は、録音された会議の内容から、WHOは中国政府からより多くの情報を得るため、公の場では中国の対応を評価するような態度をとり、対応に苦慮していたことが伺える

・AP通信は「WHOと中国がより早く行動していれば、多くの命が救えたことは明らかだ」とする、専門家のコメントを紹介する一方、WHOが中国により厳しい姿勢をとっていたら、状況がさらに悪化していた可能性もあるという見方を伝えている

・AP通信が、新型コロナウイルスの感染拡大初期に行われたWHOの会議で、出席者から中国政府の情報提供が不十分だと不満の声が上がっていたなどと伝えたことについて、中国外務省の趙立堅報道官は、6月3日の記者会見で「報道は事実と合わないと、はっきり言える」と反論した

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

『WHOは病気にかかっている!?』をテーマとしたこれまでの3つのブログを通して以下のようなことが言えます。

・WHOは、新型コロナウイルスの感染源と見られている中国政府からより多くの情報を得るため、公の場では中国の対応を評価するような態度をとっている

・一方で、WHOはタイムリーな情報提供が不十分な中国政府に対して不満感を抱いている

・中国と台湾との関係といった政治的な思惑から、WHOは中国に配慮し、新型コロナウイルス対策で先行して優れた取り組みをしている台湾からの情報を軽視した

 

こうしてまとめてみると、『WHOは病気にかかっている!?』という言葉の真意が見えてきます。

その時々のWHOの事務局長の置かれた立場によって幅はありますが、基本的にWHOは少しでも早く新型ウイルスの感染拡大を収束させるために感染源と見られる国に対して気を使っているのが、感染源国への対応が甘すぎると他国から見られる傾向があるのです。

しかし、今回の新型コロナウイルス対応におけるテドロス事務局長の中国への取り組みは中国に偏り過ぎたように思えます。

 

本来、今回の新型コロナウイルスのようなウイルス感染がパンデミック(世界的な大流行)にまで至らず、早期に収束させることが人類共通のゴールなのです。

ところが残念ながら、このゴール達成を阻害する以下のような要因があるのです。

・感染源と見られる国は感染状況やそれに対してどう対応したかなど、自国の対応の不備をWHOや他国から指摘されないように、実情を隠したがる傾向がある

・WHOを中心に世界各国が様々な観点で協力して対処すべきなのに、こうした感染国の対応や中国と台湾の関係に象徴されるように政治的な思惑から重要な情報がタイムリーに共有されない

・米中の覇権争いに象徴されるように、ウイルス感染が大国の覇権争いの具になっており、収束に向けた世界各国のスムーズな取り組みを阻害している

 

では、今後とも新型ウイルスの発生に際し、WHOを中心に世界各国はどのような取り組みをすべきなのでしょうか。

以下に私の思うところをまとめてみました。

・「罪を憎んで人を憎まず」と言われるように、新型ウイルスの感染源国に対して過剰な非難をしないようにWHOは世界各国に要請する

・そのうえで、WHOは感染源国に対して、正確でタイムリーな感染状況のデータの提供を要請する

・WHOを中心に、世界各国は新型ウイルス対策としてワクチン、および治療薬の早期開発にあたり、情報共有などあらゆる面で協力して取り組む

・新型ウイルスへの対応をめぐり、米中2大大国の覇権争いの様相を呈した際に、その他の国々は自由主義陣営、共産主義陣営に関係なく、どちらの言い分が正当であるかによって加勢する

 

さて、いずれにしても私たち一人ひとりは宇宙船地球号の乗客なのです。

これまでNo.2760 ちょっと一休み その436 『宇宙船地球号 その17 目指すべきは心地よく暮らせる持続可能な社会!』などで主にエネルギー問題や地球環境問題に中心に宇宙船地球号という言葉を使って伝えしてきました。

しかし、今人類共通の問題となっている新型コロナウイルスのパンデミックも人類が一丸となって取り組むことが求められているのです。


 
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