2020年05月27日
アイデアよもやま話 No.4653 ラベル不要のペットボトル!

今や、地球環境問題と言えば、必ずといっていいくらいプラスチックごみ(プラごみ)が話題に上がってきます。

そうした中、2月13日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でラベル不要のペットボトルについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

ペットボトルのラベルのデザインは無くて、ペットボトルに直接デザインを施すという開発が進められています。

ペットボトルの上からレーザーを照射し、無数の小さな点の傷を付けていきます。

その傷の集まりでデザインや文字になっていくということなのです。

これはリコーがこれまで培ってきたレーザープリンターの技術を応用したもので、バーコードや成分表まで細かい表現が見事に再現されています。

 

実は、ペットボトルをリサイクルするうえで、賞味期限などの小さな文字以外、本体に直接インクで印刷することは禁止されているのです。

しかし、今回ご紹介している方法なら、インクは一切使われていませんし、何よりラベルをはがす手間も省けてきます。

リコー イノベーション本部の平山 里絵さんは次のようにおっしゃっています。

「脱プラスチックの環境の流れの中で、こういったラベルレスといったところに、リコーの技術で貢献していけないかということで、このまま捨てられることに価値があると感じています。」

 

ちなみに、お茶などの色の付いた飲み物をこのペットボトルに入れると、白い飲料の場合に、文字の表示がほとんど分からないという難点があります。

 

ということで、この「ラベルレスペットボトル」はまだまだ研究開発中ですが、将来的にはインクを使わずに色を表現するということも検討中で、3年後の実用化を目指しているといいます。

 

なお、まだ研究段階にも係わらず、飲料業界から反響が既に沢山来ているといいます。

ただ、商品化するとなると、強度の確認や量産体制などの課題があるといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

ペットボトルの上からレーザーを照射し、無数の小さな点の傷を付けて、その傷の集まりでデザインや文字を表現するというのは、“コロンブスの卵”的なアイデアでなるほどとうなずけます。

また、今はペットボトルを廃棄する場合にはその都度ラベルをはがしていますが、その手間も不要になります。

ただ、現状では、白い飲料の場合に、文字の表示がほとんど分からないという難点があります。

また、ペットボトルのラベルのデザインの良し悪しは購買意欲にかなり影響を与えるので、インクを使わずに色を出せるようにしたうえで、実用化を目指して欲しいと思います。

残された課題はコストです。

なので、是非、リコーには製造からリサイクルまでのライフサイクルを通して、これまでよりも低コストでの実用化を目指していただきたいと思います。

 

なお、更なる課題として、ペットボトルそのものをプラスチックの代替素材で生産出来るようになれば、環境問題の解決策の一つとしてとても有効だと思います。

ちなみに、ペットボトル用のプラスチックの代替素材となり得るかどうか分かりませんが、プラスチックの代替素材については、これまで以下のようにお伝えしてきました。

 

アイデアよもやま話 No.3537 バイオプラスチックへの新たな取り組み!

アイデアよもやま話 No.4325 新潟発”お米を原料にしたプラスチック”!

アイデアよもやま話 No.4537 “プラスチック代替品”開発の最前線!

 

さて、今回ご紹介した「ラベルレスペットボトル」はまだ研究開発中といいますが、リコーがこれまで培ってきたレーザープリンターの技術を応用したものといいます。

このようにこれまで培われた技術を定期的に新たな需要、あるいは潜在需要に照らして見直すことにより、新たな価値を見出すことが出来るのです。

ですから、既存の技術の定期的な価値の見直しも無視出来ないのです。


 
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