2020年05月21日
アイデアよもやま話 No.4648 最新ドローンと”時代の壁”!

2月10日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で最新ドローンと”時代の壁”について取り上げていたのでご紹介します。

 

アマゾンや楽天など、ネット通販各社が配送の切り札として期待しているのがドローン、無人飛行機です。

今回、番組では実用が最も近いという最新ドローンの現場を取材しました。

すると、思わぬ”時代の壁”が見えてきました。

 

岡山県の山間にある人口約1万4000人の小さな町、和気町の上空にしばしば現れるのがドローンです。

株式会社エアロジーラボ(大阪府箕面市)で開発された最新鋭ドローン、1機600万円です。

株式会社レイヤーズ・コンサルティングの草加 好弘さんは次のようにおっしゃっています。

「買い物難民と言われる方々が存在して、高齢化もかなり進んでいらっしゃって、免許も返納しなきゃいけないと。」

「新しく、なるべく安いかたちで便利に運ぶ仕組みを早く作らなきゃいけないと。」

 

そこで始まったのが、ドローンを使った配送です。

最大の特徴が“顔認証ドローン”です。

担うのは、ドローンの教習学校などを手掛ける株式会社Future Dimension Drone Institute(FDDI)です。

過疎地支援という観点から日本政府が資金支援しています。

その内訳は総務省から約1700万円、内閣府から約1200万円です。

更にコニカミノルタやファミリーマートなどの企業も参画しています。

届けるのは、コンビニの食料品が中心です。

運ぶ先は、ドローンのコントロールセンターがある町の中心部から12.6km離れた南山方地区、26世帯、59人が暮らしています。

山の上に広がる集落と麓を結ぶのは1本の険しい山道だけです。

買い物をするには、クルマで30分以上もかかります。

集落には一つも商店がないのです。

 

ドローンで注文出来る商品は、ファミリーマートや地元スーパーの200品目以上、週3回、1日1便で配送してくれます。

注文はファックスで行われます。

実は、スマホのアプリを使い、注文から決済まで出来る最新のシステムを取り入れる予定でした。

しかし、参加した住民たちはスマホを持っていなかったのです。

電話やファックスの注文は町のコントロールセンターで集約、担当者が商品をそろえる仕組みです。

FDDIの橋本 俊さんは次のようにおっしゃっています。

「(注文は)多い時で総額3000〜4000円分くらい頼んでいただけますね。」

「ファックスは前日までなんですけど、電話であれば当日の朝まで対応しております。」

 

商品を箱に詰めて、ドローンの下に取り付けます。

5kgまで搭載可能です。

午前11時半、ドローンが離陸しました。

エアロジーラボが独自に開発したドローン、2時間以上の飛行が可能で、ハイブリッドのため、燃費も従来より優れているといいます。

リアルタイムで監視し、不測の事態にはパラシュートで落下するなど備えています。

また、手動で着陸も出来ます。

 

お昼前、住民たちが集まってきました。

そこにドローンが飛んできました。

ここから日本初の顔認証システムを行います。

ホバリングするドローンの前に注文した人が立って、カメラに顔を向けます。

送られた画像と事前に登録された画像とを識別して認証します。

草加さんは次のようにおっしゃっています。

「ドローン配送を実現するためには、届け先に本当に本人のモノなのかとうことをきちんと認証しなければいけない。」

 

認証されると、荷物のロックがはずれ、商品が受け取れます。

そんな最新の技術に触れて、ある女性の利用者は次のようにおっしゃっています。

「進んでいるなあ、何かSFの世界が今ここにあるのかなって。」

 

また、ある男性の利用者は次のようにおっしゃっています。

「まだガラケーなので、携帯電話でも決済してないんで、その辺がちょっとね。」

「自分自身が遅れていますから。」

 

決済は、担当者が2週間に1度集金にやってきます。

この実証実験は1月で終了しましたが、住民たちは一刻も早い実用化を望んでいます。

中でも期待されているのが、薬の配送です。

草加さんは次のようにおっしゃっています。

「我々目指しているのは、(顔認証で)本人確認して、そのまま決済するパターンですとか、薬の配送で間違いなく本人に渡しているかという本人確認が重要だと思っています。」

 

規制の壁が立ちはだかるドローンによる配送、まずは過疎地や離島から始まると見られています。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

少子高齢化による地方の過疎化の流れを食い止めることは出来そうにありません。

そうした中、今回ご紹介したドローンによる食品や薬などの配送は過疎地に暮らす高齢者の方々にとってとてもありがたいサービスだと思います。

 

こうしたサービスの前提として、本人確認をどうするかという課題があります。

その際、本人が寝たきり状態の場合に家族が代わりに受け取るケースもカバーする必要があります。

その際、本人確認の手段として、顔認証システムが今注目されています。

 

なお、顔認証システムは無人コンビニの実証実験でも進められています。

ですから、顔認証システムによる本人確認が国により認可されれば、日々の暮らしのいろいろな局面で適用されるようになり、とても便利になると思います。

ということで、顔認証システムの更なる進化、および出来るだけ早い時期での国による認可が待たれます。

ちなみに、顔認証技術で世界をリードしているのは日本のメーカー、NECと言われています。

 

一方、注文や決済手段ですが、今やスマホを使えば、こうしたプロセスは全て出来てしまいます。

しかし、まだまだスマホを持っていない、あるいは持っていてもこうした操作に慣れていない高齢者の方々は多いように思います。

私の父も実家で一人暮らしをしており、ガラケーを持っていますが、その使い方のごく簡単な操作方法でさえいくら説明しても忘れてしまうので、必要最小限の機能しか使っていません。

しかし、コンビニの宅配サービスを利用する際に、電話での注文は出来ます。

 

そこで、思い付くのは、AIや音声解読技術を駆使して、電話オペレーターの役目を自動化することです。

今の技術レベルを考えれば、こうした分野の自動化は可能と思われます。

もし、こうしたお客様問合せ窓口が全自動になれば、今回ご紹介したような過疎地での注文に活用出来るだけでなく、その他にこれまでオペレーターを要していた様々な電話窓口業務にも適用出来ると期待出来ます。

 

もう一つは、既にいろいろな飲食店で商品の注文用に導入が進みつつあるタブレット端末の配布です。

タブレット端末にこうしたアプリがインストールされていれば、短期間のうちに慣れると思います。

また、タブレット端末が配布されていれば、公共機関からのいろいろな情報を受信することも出来るし、ネット通販での買い物も自ら出来るようになります。

また、何より高齢者にとって操作し易いところは、スマホに比べて画面が大きいことです。


 
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