2020年05月16日
プロジェクト管理と日常生活 No.641 『マスク不足に見る中国との関係の見直しの必要性』

4月21日(火)付けネットニュース(こちらを参照)でマスク不足に見る中国との関係の見直しの必要性について取り上げていたので一般公開されている範囲内でご紹介します。

なお、この記事の筆者は元・陸上自衛隊幹部学校長、陸将の樋口 譲次さんです。

 

・在中国日本企業の多くは中国共産党の統制監督下に置かれている

・在中国の日本企業が中国で生産した物資が、非常時には中国の「国防動員法」によって徴用される

・中国進出企業のみならず、日本政府もその危うさに対する対策が必要であるとかつて筆者は指摘した

・今その指摘が、日本で「必要なマスクが手に入らない」という切迫した問題となって現れている

JCASTテレビウォッチ(2020年3月6日)によると、 新型コロナウイルスによるマスク不足の原因の一つは、中国で製造した日本メーカーの製品が輸入出来なくなっていることである

・同記事の中で、マスク販売会社「ファーストレイト」の長谷川友彦社長は、同社の中国の工場にはマスクが山積みになっているが、2020年1月25日以降、出荷制限がかけられ、「残念ながら出荷できないのが現状です」と明かしている

・別のマスク輸入会社も、中国で生産した分はすべて接収されたという

・なぜ中国ではそのようなことが起きるのか、その理由の一つは、在中国日本企業を含め、ほとんどの外資系企業に中国共産党組織が設置され、その統制監督を受けているからである

 

以上、記事の内容の一部を箇条書きでまとめてみました。

 

また、4月24日(金)付けネットニュース(こちらを参照)でも同様のテーマについて取り上げていたのでご紹介します。

なお、この記事の筆者は台湾出身の評論家、黄 文雄さんです。

 

・台湾同様に、中国も他国へマスクを支援するなど「マスク外交」を展開しているが、その裏で、良品は自国用に徴収し、不良品を他国への輸出や援助に回している

JBpressの報道では、中国でマスクを生産する外国企業でも、中国当局からの命令で、マスクの出荷が差し押さえられ、不良品だけが海外へ輸出されている

・中国は世界のマスク生産力の85%を占め、日本のマスクの約8割は中国から輸入されているというが、同様のことが世界中で起こっている

・たとえばオランダは中国から医療用のN95というマスクを輸入したが、3月に到着した130万枚のうち、60万枚が不合格だったため、すべてを不良品として返品したが、そのような不良品にも品質証明書が付けられていた

・3月中旬にはスペインとチェコに送られた数十万枚の新型コロナウイルスのテストキットも不良品ばかりだった

・フィンランドでは、中国から購入した200万枚のマスクと呼吸用防護服23万個が全部不良品だった

・オランダなどの医療関係者は「中国の医療製品の製造・販売元がこのような危機的な状況を利用して、利益を上げようとしている」などとして、中国側の態度を強く批判する声明を発表している

・世界的な困難のために一致団結を呼びかけ、困っているところにマスクを届ける台湾に対し、中国は「ウイルスはアメリカがばら撒いたかもしれない」などと責任転嫁するばかりか「世界は中国に感謝すべき」とまで言い出し、ここぞとばかりに儲けに走り、しかも不良品ばかりを売りつける

・そんな中国が台湾を統一しようというのだから、台湾が中国に飲み込まれることは世界の損失でもあるといえる

・あまりに各国からの苦情が相次いだため、中国当局は医療関連物資の輸出に許可制を導入したが、中国政府が良品を押さえてしまい、輸出されるのは不良品ばかりという構造なので、どこまで効果があるかは未知数である

・コロナ感染拡大を受けて、中国では2万8,000社以上が医療分野に新規参入している(「日経新聞」電子版2020年4月17日付)

・1〜3月期のGDP成長率マイナス6.8%と発表した中国政府(この数字自体が、あまりにも小さくて嘘くさいですが)にとって、この「コロナ・バブル」は願ってもいないチャンスである

・中国の「借金の罠」に嵌っている途上国は、こうした不良品を大量に押し付けられても文句が言えず、その結果、感染が拡大する可能性がある

・今後、各国は本気で脱中国に向かわなければ、亡国の危機すらありえる

 

以上、記事の内容の一部を箇条書きでまとめてみました。

 

2つの記事を通して分かるのは、要するに在中国の日本企業のみならず、全ての外国企業が中国で生産した物資が、非常時には中国の「国防動員法」によって徴用されるという現実を今回の新型コロナウイルスで世界各国は目の当たりにしたことです。

こうした枠組みの中で、中国は世界のマスク生産力の85%を占め、日本のマスクの約8割は中国から輸入されているというのですから、日本国内でいくらマスク不足を訴えても中国からマスクが届くことはないことは始めから分かっていたのです。

こうした結果、国内でのマスク不足はいまだに続いているのです。

しかも、「マスク外交」に象徴されるように、その裏で良品は自国用に徴収し、不良品を途上国をはじめ、他国への輸出や援助に回しているのです。

 

アメリカのトランプ大統領は“アメリカファースト(アメリカ第一主義)”を掲げて大統領選挙に勝利を収めましたが、今回ご紹介してきた記事を通して感じるのは、アメリカ以上の“中国ファースト(中国)第一主義)”を超える“世界制覇”の野望です。

しかも、アメリカ以上に露骨で巧妙な方法で“世界制覇”を成し遂げようとしていることが新型コロナウイルスにおける中国の一連の対応で露見したのです。

 

こうしたことから見えてくるのは、習近平国家主席の掲げる“一帯一路”や南シナ海の軍事支配など全ての政策の究極の狙い、目的は中国の共産党政権による“世界制覇”だと容易に想像出来ます。

そして、“世界制覇”後には世界各国は全て、中国の共産党政権の枠組みの中に取り込まれ、コントロール下に置かれるのです。

アメリカならずとも自由主義陣営の国々にとって、こうした中国の動きはとても見過ごすことは出来ません。

しかし、だからといって武力行使も辞さず、真っ向から対立していけば、第三次次世界大戦を引き起こすリスクが高まってきます。

 

では世界各国は今後中国にどのように向き合うかですが、こうした中国の覇権主義に真っ向から立ち向かうのではなく、次のような方針を各国が一丸となって掲げることだと思います。

・過度な中国依存からの経済的な脱却

・中国の覇権主義的な行動については、世界各国が協力し、初期の段階で対処し、食い止める

・このような枠組みの中で、あらゆる分野において中国との“共存共栄”を図る


 
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