2020年05月12日
アイデアよもやま話 No.4640 広がる”イエナカ消費”!

2月5日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で今年の消費のキーワードになるかもしれない”イエナカ消費”について取り上げていたのでご紹介します。 

 

”イエナカ消費”とは文字通り家の中での食事や娯楽のことですが、消費税増税後の食費についてのアンケート調査では、税率10%の飲食店での食事(4.2%)や小売店のイートイン(1.9%)よりも税率8%の自炊(26.0%)や持ち帰って食べる(11.1%)と回答した人が多くなっています。(ホットペッパーグルメ調べ カッコ内は増加率)

これをチャンスと捉え、小売りやメーカーが”イエナカ消費”争奪戦に動き出しています。

 

全国で約170店舗を展開する高級スーパー、成城石井は様々な厳選食材を取り扱う中、売り上げの20%を占めているのが惣菜です。

その中で売り上げを伸ばしている商品があります。

五十嵐 隆執行役員は次のようにおっしゃっています。

「今、成城石井で(の惣菜)で一番売れているのが(普通の惣菜と違って、生の野菜や肉などが盛り付けられている)“レンジアップ惣菜”になります。」

「まだ生の状態で作っていますので、ご家庭で電子レンジで最後の仕上げをしていただくような惣菜になります。」

 

“レンジアップ惣菜”は出来合いの総菜にはない作りたての味を自宅で手軽に味わうことが出来ます。

買い物客のある女性は次のようにおっしゃっています。

「結構美味しそうなものを何回か試しましたよね。」

「(料理すると)お鍋を出して、洗い物が増えるわけじゃないですか。」

「だから、そういう面でもいいですね。」

 

忙しい共働き世帯や食材を買っても消費しきれない高齢者など幅広い世代に人気で、1月上旬の売り上げは1年前に比べ40%増えているといいます。

五十嵐さんは次のようにおっしゃっています。

「デジタル化の進展だとかテレワークが一般化してきていますので、”イエナカ消費”がかなり普及してきている。

 

その”イエナカ消費”に商機を見出しているのが食品メーカーの日清フーズです。

2月5日、スマート・イエナカ食をうたった新商品、25種類を発表しました。

小池 祐司社長は次のようにおっしゃっています。

「簡単に短時間で出来る製品に対するニーズが高まっています。」

「”イエナカ食”を家でどう食べるのか、どう作るのかをクローズアップして販売していきたい、このように考えます。」

 

一方、”イエナカ消費”の拡大で“ある家電”にも人気が集まっているといいます。

料理研究家の阪下 千恵さんが普段愛用しているという家電が「BRUNO コンパクトホットプレート」(8800円(税別))です。

6年前に発売され、累計販売台数173万台を超える人気商品です。

阪下さんは次のようにおっしゃっています。

「小さいので手軽に使えるというのとデザインがかわいいので、そのまま食卓に出しても調理に手を抜いた感がなくて・・・」

 

常にテーブルの上に置いておけるコンパクトさとデザインが受け、”イエナカ消費”の高まりとともに今も売れ続けているといいます。

蓋をして加熱すること約20分、出来上がったのは具沢山のスペイン料理「パエリア」、そして付属のたこ焼きプレートの窪みを使えばスペイン料理「アヒージョ」も出来ます。

阪下さんは次のようにおっしゃっています。

「ホットプレートというと、特別な日とかパーティ感があると思うんですけど、日常的にご飯として普段帰って来てからさっと出して、楽しみながらご飯を楽するというのもいいかなと。」

 

このホットプレートを販売するイデアインターナショナル(東京・港区)は、今後拡大が見込める”イエナカ消費”向けの商品を強化したい考えです。

須崎 博之取締役は次のようにおっしゃっています。

「オリンピックの問題とか働き方改革とか、家の中での消費は増えていくと思いますし、その中で我々が出来ることとしては、家の中のご飯でも毎日の食卓をパーティのように楽しんでいただける、そのプロセスを(商品で)楽しんでいただきたいと。」

 

こうした状況について、番組コメンテーターでA.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは次のようにおっしゃっています。

「(新型肺炎(新型コロナウイルス)のニュースもあるので、今人ごみを避けたい、あるいは外出を控えたい人も多い中で、今後”イエナカ消費”が増々盛り上がる可能性があるのかという問いに対して、)そう思います。」

「新型肺炎とか消費増税というのは比較的一過性の話だと思いますけど、構造的な要因として、まず可処分所得が伸びていない、それから働く女性が増えている、単身家庭も増えている、で働き方改革で家にいる時間も長くなると考えると、やはり家の中で消費をするというのは一つのトレンドだと思います。」

「(ただ、ホットプレートもそうですし、”イエナカ消費”と言ってもすそ野が広いという指摘に対して、)そうですね。」

「例えば動画配信、ホームシアター、部屋着、睡眠グッズとか、様々な家の中での消費が伸びているというのは事実ですね。」

「(この“巣ごもり消費”とかつて言われていた消費と”イエナカ消費”はニアリ―イコールなのかという問いに対して、)食だけでなく広げれば同じことだと思います。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組を通してあらためて思うのは、消費というのは暮らしそのもの、あるいは暮らしを取り巻く環境の変化に応じて変わっていくということです。

例えば、働く女性や独り暮らしの増加、あるいは消費増税や可処分所得の伸び悩み、そして今回の新型コロナウイルスの突発的な発生による長期的な外出制限というようにです。

そしてこうした消費スタイルの変化を先取りして、潜在需要を素早く取り込んだ商品やサービスが世の中に受け入れられ、売り上げを伸ばすのです。

実際に、今回の新型コロナウイルスでもテレワーク関連機器の売り上げも伸びているといいます。

また、特に小さい企業の中には、政府による資金的な支援に頼るだけでなく、持ち帰りや宅配などのサービスの提供、あるいはクラウドファンディングを利用した当面の資金的な確保などを進めています。

そしてこうした新たな消費、あるいはビジネスがある程度定着すると、社会全体として新たなライフスタイルが生まれてくると思うのです。


 
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