2020年05月08日
アイデアよもやま話 No.4637 参考にすべきニュージーランドの新型コロナウイルス対策!

これまでNo.4626 ちょっと一休み その718 『新型コロナウイルス対策におけるビッグデータの活用で民主主義が問われている!?』アイデアよもやま話 No.4627 新型コロナウイルスとの闘い その6 社会への影響と対策 ― 台湾の事例!などで台湾や中国など海外の新型コロナウイルス対策についてご紹介してきました。

そうした中、4月18日(土)付けネットニュース(こちらを参照)でニュージーランドの新型コロナウイルス対策について取り上げていたのでその要旨をご紹介します。

 

人口500万人弱のニュージーランドは今、新型コロナウイルス感染症への対策について、国内外で高い評価を受けています。

4月15日時点での感染者は1078人、感染の疑いがある人は308人、死者は9人です。

 

こうした成果をもたらしている裏には、以下のような政府による優れた施策があります。

・国は新型コロナウイルス感染の「根絶」という高い目標を設定している

・国民の多く(88%)が新型コロナウイルスに対する政府の政策の全貌を把握し、それに納得している

  国民が納得している大きな要因は、ジャシンダ・アーダーン首相のコミュニケーションのうまさにある

各世帯を“バブル”に例え、バブルの中の誰かが感染者とわかっても、ウイルスはそのバブルの中に留まり、他のバブルには移らないと説明

・国民の多く(92%)が政府の方針に従って生活

・4段階の「警戒レベル」を独自に作成・導入

誰もが理解出来るように簡単明瞭にまとめられている

・現在の警戒レベルはレベル4で、行うべきこととして挙げられている以下の事項のほぼどれもが、根絶を成功させるための鍵となっている

手洗いや咳エチケットなどの衛生管理

世帯ごとの隔離(3月26日から4週間の予定)

   基本的に家族単位で終始自宅で過ごす

学校などの教育機関の休校による自宅学習

職場の閉鎖、自宅勤務

外出出来るのは、食料品や医薬品を買う時と、近所で散歩などの軽い運動をする時に限定

公共の場での接触の制限

   ソーシャルディスタンス(他者とは必ず2mの間隔を空ける)

人の移動に対する制限

買い物をしに外出できるのは世帯の代表者1人のみ

  ルール違反の罰則規定

ルールを何度も破るような場合は、罰金を課せられたり、逮捕されたりすることもある

しかし警察の役割はあくまで隔離を徹底することにあり、破った際の罰則は二の次という方針

・国民との細やかなコミュニケーション

アーダーン首相とアシュリー・ブルームフィールド保健省代表による毎日1日に1回行われている記者会見

更に両者ともFacebookのライブ配信を通して、一般人との質疑応答、および最新情報の提供

  新型コロナウイルス感染症に対する標語は「Unite against COVID-19(力を合わせて、新型コロナウイルスに対抗しよう)」で、現在あらゆるメディアにこの合言葉が登場している

  またアーダーン首相は、「Be kind. Were all in this together(他者に親切に接しよう。私たちは皆同じ状況下に置かれているのだから)」や、「Lets all do our bit to unite against COVID-19(各々が出来ることをやり、結束して新型コロナウイルスに対抗しよう)」といった言葉をよく口にしている。

こうしたメッセージを通して、国民11人の協力なしには新型コロナウイルス感染症に打ち勝つことは出来ないことを伝え、国民をエンパワーしている

・迅速な「接触者追跡」

保健省のウェブサイトで全感染者・感染が疑われる人のリストを掲載

「トレーストゥゲザー」(参照:アイデアよもやま話 No.4615 新型コロナウイルスの感染経路の把握の海外での取り組み!)を用いるシンガポール政府と連携

・厳しい「出入国管理」

例外を除き、居住者のみ入国可能

 

以上、記事の要旨をご紹介してきました。

 

気になる現在のニュージーランドの新型コロナウイルスの感染状況ですが、以下のように報じられています。

5月4日(月)付けネットニュース(こちらを参照)によれば、ニュージーランド政府は5月4日、新型コロナウイルスの新規感染者数が約1ヵ月半ぶりにゼロとなったと発表しました。

同国は感染防止策によって打撃を受けた経済の活性化を狙い、出入国の原則禁止による鎖国状態を緩和し、隣国オーストラリアとの往来再開を目指すとしています。

 

さて、こうしてニュージーランドの新型コロナウイルス対策を並べてみると、台湾の対策を思い起こさせます。(参照:アイデアよもやま話 No.4627 新型コロナウイルスとの闘い その6 社会への影響と対策 ― 台湾の事例!

そして、この両国と日本政府の取り組みとを比べてみると、共通点もありますが、決定的に違うのは、適切かつタイムリーな施策の実行、および首相、あるいは担当大臣により毎日行われる国民への分かり易い状況説明です。

その背景にはシステム的に物事に対して取り組む“システム思考”、あるいはリスク管理の専門家の登用といったように、合理的な思考、あるいは取り組む体制や必要とされる人材の登用が日本政府には足りないように思えて仕方ありません。

安倍総理を始め、担当大臣や官僚の方々は一生懸命取り組まれていると思うのですが、とても残念です。

 

遅ればせながらではありますが、是非ニュージーランドや台湾などの事例を参考により効果的、かつ効率的に新型コロナウイルスとの闘いを制していただきたいと思います。

 


 
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