2020年04月26日
No.4626 ちょっと一休み その718 『新型コロナウイルス対策におけるビッグデータの活用で民主主義が問われている!?』

4月2日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新型コロナウイルス対策におけるビッグデータの活用で問われている民主主義について取り上げていたので ご紹介します。

 

新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大(オーバーシュート)を防ごうと政府や東京都などから再三出されている夜間の外出自粛要請はどの程度出ているのか、スマホの位置情報から得られたビッグデータから読み解いていきます。

 

渋谷駅半径500mの範囲で午後6時から深夜0時までの間にどのくらいの人がいたのかを示したグラフで見ると、3月25日に東京都が出した、週末に加え平日夜間も外出自粛要請を出した後、3月28日(土)、29日(日)の夜間の人出は大幅に減りました。

そして3月30日(月)、4月1日(火)も要請前に比べて2割以上の減少が見られます。

まだまだ十分とは言えないかもしれませんが、このデータからは一定の効果が出ていることが分かります。

こうした一定の効果が出ている状況について、番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄教授は次のようにおっしゃっています。

「私はそういうふうにある程度思っているんですが、やっぱりポイントはこれ結構深い問題だと思っていまして、より突き詰めていくと民主主義というのが問われているのかなと思っているんです。」

「世界的なベストセラーで「サピエンス全史」という本を書いたユヴァル・ハラリという方がいますけど、彼は日経新聞に非常に面白い記事を載せていまして、今の危機というのは国家のあり方そのものが問われていると。」(参照:アイデアよもやま話 No.3643 世界が注目するベストセラー「サピエンス全史」の指摘 その1 認知革命!

「ですから先ほどのようなデータ(ビッグデータ)というのは、本当は一人ひとりの動きを監視するところまでテクノロジー的には出来るわけですね。」

「実際、それで市民の行動を抑え込んでいるのが中国なわけで、ただそれが本当に民主主義国家の場合、いいのかっていう話があると思うんですね。」

「民主主義の場合は、やはり我々市民に権利がありますから、そうすると逆に責任があるので我々一人ひとりがちゃんと情報を取りながら、それぞれの判断で外出するのは今、国や社会にとって良いことなのか、悪いことなのかという意思決定をする必要があると。」

「でもそう考えると、逆に我々がどうやって意識決定をするかというと、やはりそれは政府への信頼が必要なので、情報を提供する政府側がいかにクリーンで透明性のあるデータを早く提供するかと。」

「そういう意味でお隣の台湾なんていうのはオードリー・タンという若い大臣が新しいデータをどんどん出すことで市民の信頼を勝ち得ていると言われていますので、そういったところをより見習うといいのかなと思っています。」(参照:ロジェクト管理と日常生活 No.632 『参考にすべき台湾の新型コロナウイルス対策』

 

以上、番組の内容のごく一部をご紹介してきました。

 

民主主義とは、国民一人ひとりの意思の総意に基づいて選挙で選ばれた人たち、すなわち多くの国民の意を酌んだ国会議員や地方自治体の県会議員、あるいは市会議員などによって国政あるいは地方自治が運営されています。

ですから、民主国家における様々な運用は、大なり小なり国民一人ひとりの意識のレベルが反映されるのです。

一方、優れた政治家、中でも総理大臣、首相、あるいは大統領と呼ばれる一国のリーダーは国家の危機に遭遇した時こそリーダーシップを発揮する義務と責任があります。

なぜならば、短期間に決断しなければならないような時に、平常時のように民主的な手続きで対策を決めていては最適な解決のタイミングを逸してしまうからです。

今回の新型コロナウイルスの感染拡大はまさに“その時”なのです。

こうした非常事態においては何よりもタイミングが重視されなければならないのです。

例えてみれば、池で溺れかかっている子どもを助けようとする時にはあれこれ議論している時間はなく、すぐに救助しなければなりません。

しかも、救助する人まで溺れてしまっては元も子もありません。

優れたとっさの判断力、決断力が求められるのです。

 

国家の危機において、こうした政治家のリーダーシップとともに必要なのは、優れたとっさの判断力、決断力のベースとなるビッグデータです。

この把握出来るビッグデータの範囲、正確さ、スピードがあってこそ、優れた判断力、決断力が可能となるのです。

 

こうした観点だけで見ると、共産党による一党独裁国家である中国は、全国的に張り巡らせた監視システムにより人権を無視した個人データなどのビッグデータの活用がうまく機能しているように思います。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.630 『中国の監視社会が暗示する個人情報保護の危うさ』

また、こうした監視システムが今回の新型コロナウイルスの対応にとても役立っているといいます。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.632 『中国、ビッグデータで新型コロナウイルス肺炎の感染経路を特定!』

 

しかし、一方で習近平政権にとって都合の悪い情報はこれまで隠ぺいしてきたと言われています。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.632 『中国、ビッグデータで新型コロナウイルス肺炎の感染経路を特定!』

更に、一部の日本の報道では、中国における新型コロナウイルスの実際の感染者の数は、中国政府が公開している数よりも2桁多いとある中国人が指摘していると報じています。

他にも習近平政権を非難する人がいつの間にか行方不明になってしまったというような事例は後を絶ちません。

しかし一方で、中国の今回の新型コロナウイルス対策では、新型コロナウイルスが最初に発症した湖南省武漢の都市封鎖、あるいはビッグデータの活用は収束に向けて一定の効果を上げていることは間違いありません。

 

ですから、民主国家であろうと今回の新型コロナウイルスのような国家の危機に際しては独裁国家のようなスピード感のある対応が求められるのです。

そこで感じるのは、入山教授の指摘されているように、民主国家である日本における今回のような国家的な危機に遭遇した時の国のあり方です。

私はその要件として、次の3つを上げたいと思います。

・スピード感のある対応

  非常時対応の国家運営を可能にする法制、制度

・関連するビッグデータの活用

  あらゆるデジタルデータの活用を必要に応じて可能にする法整備

・国民との信頼感

タイムリーで正確な状況公開など

 

新型コロナウイルスのようなウイルス感染はかたちを変えて今後とも繰り返されることは間違いありません。

そうした時に、今回の経験を生かして、現行の法律はスピーディな政策運用を阻害していないか、あるいはビッグデータの収集範囲、公開範囲など、再発防止策の検討をしっかりすべきだと思います。

またこうした取り組みがなされてこそ、政府に対する国民の信頼につながると思うのです。


 
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