2020年04月29日
アイデアよもやま話 No.4629 あるアイデアで道路の不法投棄が大幅に減少!

1月24日(金)放送の「グッとラック!」(TBSテレビ)であるアイデアによる道路の不法投棄の大幅な減少について取り上げていたのでご紹介します。 

 

兵庫県内の不法投棄の多い道路の脇に「ミニ鳥居」を設置したところ、ごみが大幅に減少したといいます。

でも、なぜ「ミニ鳥居」を設置したことでごみが大幅に減少したのでしょうか。

兵庫県北播磨県民局環境課の馬場 敏郎課長は次のようにおっしゃっています。

「このかたちを見ますと、我々日本人からしますと、やはり神聖な場所、あるいは神秘的な場所というようなイメージが持つと思うんですが、これを見たことによってごみを捨てるのを止めようという心理的な効果を期待したものです。」

 

日本人なら神聖な鳥居の近くにはごみは捨てられないはずという狙いは見事的中したのです。

数十年前から悩み続けていた問題が「ミニ鳥居」によって一気に解決したのです。

そして、現在、県道564号に13個の「ミニ鳥居」を設置して不法投棄を防止しているのです。

 

でも、そもそもこの「ミニ鳥居」は誰が作ったのでしょうか。

実はこの「ミニ鳥居」、不法投棄防止のために作られている「ごみよけトリー」という商品なのです。(メーカーは有限会社ニューマテリアル)

ちなみに、価格は5000円(税込み)です。

全国の自治体を中心に累計1万基以上も売り上げているのです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

ドライブしているとたまに「不法投棄禁止」というような看板を見かけますが、それでもいろいろなモノが投棄されているのを見かけることがあります。

しかし、今回ご紹介したように、「ミニ鳥居」の設置によりこの問題を解決したというのは、人間の心理をうまく利用したとても優れたアイデアだと思います。

 

私の実家は千葉県の外房にありますが、実家のある村の家の中では小さな祠(ほこら)を庭の一画に設置しているのを見かけます。

そして毎年お正月には、お供え物を備えるのが習慣となっています。

そうした中の実家の近くの家が売りに出されて、その家を購入された方は庭も含めて大幅に改築されましたが、以前からあった祠だけはそのまま残していました。

これも祠を廃棄した場合の祟り(たたり)を恐れたものを思われます。

このように、私たちには長い間に培われた風習、あるいは習慣により、知らず知らずのうちに善悪や縁起といったような心の持ち方が出来上がっているのです。

 

「ミニ鳥居」は、まさにこうした日本人の心の持ち方をうまく利用した「商品」だと思います。

また、不法投棄を解決出来たのですから、優れたアイデアの見本と言えます。

同様な商品にお札やお守りがあります。

こうした商品を購入すると、何となく「家内安全」や「入学」などいろいろな願い事が適うような安心感を持てます。

一方、こうした商品の中には、悪徳商法による高額なモノもあります。

こうした商品に騙されてしまうのも、その根底には心の持ち方がそうさせるという弱点を抱えている人がいるからなのです。

 

考えてみれば、こうした個々人の心の持ち方、あるいは道徳は、国や地方によって大なり小なり異なります。

ですから、場合によっては、人によって善悪が正反対であることもあるのです。

 

では、こうした状況において、私たちはどのように振る舞って行けばいいのでしょうか。

まずは、価値観などお互いの心の持ち方を認め合うことだと思います。

それから、それぞれの心の持ち方が現在の社会のあり方に照らして、かみ合っているかどうかの見極めです。

 

それを示す象徴的な事例の一つとして、“消費は美徳”という考え方です。

人々の暮らしが貧しい状態では、いろいろな施設や道路などが建設されたり、化石燃料の大量消費、あるいは家電製品などを購入することでどんどん暮らしは豊かになっていきます。

しかし、今やこうしたモノの資源の調達は既に地球環境の破壊や地球温暖化をもたらすほどまで膨れ上がってしまったのです。

ですから、無制限の消費拡大は美徳とは言えないのが現状なのです。

心の持ち方、あるいは善悪の価値観は、人類の精神の成長、あるいは地球環境問題などの進展によって変わり得る、あるいは私たち自身が自ら変えなければならないと思うのです。

 

ということで、今回は「ミニ鳥居」から心の持ち方という大きなテーマにまで話がどんどん飛躍してしまいましたが、こうしたこと1つ取り上げてもその背景からいろいろと考えさせられるものです。


 
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