2020年03月25日
アイデアよもやま話 No.4599 地球温暖化対策に最も積極的なイギリス その1 クリーン成長戦略とは?

イギリス大使館からの1月31日(金)付けメールでイギリスの地球温暖化対策について取り上げていました。

そこで、3回にわたってその内容をご紹介します。

1回目はイギリスのクリーン成長戦略についてです。

 

今年11月、イギリスはスコットランド・グラスゴーにて気候変動枠組条約の第26回締役国会議、COP26を開催することとなりました。

 

2020年の今年は、採択から5年経ったパリ協定の適用開始の年という重要な局面を迎え、脱炭素社会に向けた国際的な機運をさらに高めていくことが必要です。

 

イギリスは昨年6月、主要7カ国で初めて温暖化ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにすると宣言、気候変動への取り組みを更に加速させています。

 

COP26の議長国として、国際的な脱炭素社会の実現、脱炭素化と経済成長の両立を目指す Clean Growth ー すなわち「クリーンな成長」に向けて、日本との連携を深めることを目指します。

 

イギリスは今脱炭素化を目指し、どの国よりも早くCO2排出量ゼロを法制化しました。

世界最大規模の洋上風力発電設備を保有し、原子力発電所の廃止措置で実績を重ねるなど、低炭素へ積極的に取り組みつつ、経済成長を実現しています。

このイギリスの先駆的な取り組みは、日本にどのような価値をもたらすのか? 駐日イギリス大使館にイギリスの最新事情を聞きました。

エネルギー・気候変動政策担当部長のナオミ・カウワンさんは次のようにおっしゃっています。

「イギリスが脱炭素化で世界をリードしている事実は、日本ではあまり知られていない。」

「イギリス議会は2008年に気候変動法を制定し、2050年までに1990年比80%削減という法定目標を定めました。」

「2019年6月にはさらに一歩踏み込んで、2050年までにCO2ネット排出量をゼロにするという改正法案を可決。」

「先進7カ国(G7)の中でCO2のネット排出量ゼロを法制化したのは初で、今国として気候変動への取り組みを加速しています。」

 

「イギリスの低炭素化への取り組みの特徴は、経済成長を図りながらCO2排出量を減らしていく「クリーン成長戦略(Clean Growth Strategy)」を掲げていることにあります。」

「1990年から2016年までの間、イギリスはCO2排出量を42%削減しましたが、同時期に経済は67%成長しました。」

「政府はクリーンな成長の実現に向け、クリーン成長基金(Clean Growth Fund)などに大型の投資を行い、クリーン技術のイノベーションや商業化を支援しました。」

「その結果、低炭素経済は他の経済の4倍の速さで成長を続けており、低炭素セクターの雇用も上昇、低炭素に関わるサービスや製品の輸出も増加しています」

 

その中心となっているのが、世界最大規模の洋上風力発電です。

イギリスの再生可能エネルギーの電力は、同国の年間発電量の3分の1以上を占めています。

その再生可能エネルギーの中で、洋上風力発電の設備容量は2018年末に8GW(=800万kW 大きな火力発電設備1基の出力は約100万kW)に達し、世界一の規模を誇ります。(RCGRenewables Consulting Group)調べ)

イギリスの最初の洋上風力発電は、イングランド北東部のニューカッスル沿岸に2000年に建設され、現在、8カ所に洋上風力発電のクラスター(集団)があります。

以前は港町として栄えていたリバプールやハルなど、現在は経済復興が必要とされる沿岸地域での導入が進んでいます。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

記事を通して、イギリスが地球温暖化対策に以前からとても積極的であり、世界をリードしていることが理解出来ました。

そして、CO2排出量の削減と経済成長とのバランスを図るクリーン成長戦略を掲げ、昨年6月には主要7ヵ国で初めて温暖化ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにすると宣言、気候変動への取り組みを更に加速させているといいます。

このクリーン成長戦略の大きな柱である再生可能エネルギーですが、地の利を生かした世界最大規模の洋上風力発電を中心に既に同国の年間発電量の3分の1以上を占めているといいます。

しかし、この状況から温暖化ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにするというのは非常に挑戦的な目標だと思います。

 

こうしたイギリスの動きに比べて、日本のエネルギー政策は今一つ積極性に欠けていると思われます。

なぜならば、未だに低コストですが、CO2排出量の最も多い石炭火力発電の新規建設を計画していたりするからです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています